世界が懸念していること – 2023 年 1 月

インフレは10ヵ月連続で懸念事項のトップですが、前月と変わらず安定しています。

生活費に対する懸念は、数年にわたる継続的な上昇を経て5分の2(40%)にとどまっています。これは2022年11月がインフレに対する懸念のピークであった可能性を示唆しています。

イプソスが毎月実施している「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」では、10年分のデータをもとに、一般の市民が現在最も重要な社会問題や政治問題は何であると考えているのかを調査し、最新のスコアとその背景を探ります。今ウェーブは、2022年12月22日~2023年1月6日に実施されました。

世界の懸念トップ 5 - 2023 年 1 月

 

主な調査結果

  • 先月はインフレに対する懸念に動きがなく、今月も変化はみられない。2022年11月にインフレはピークを迎えた可能性がある。
  • それでも、インフレは10ヶ月連続で世界の懸念事項のトップである。40%が自国が現在直面している主要な課題の一つであると回答。
  • アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、英国、ハンガリー、ポーランド、サウジアラビア、米国、トルコの12カ国は、インフレを最大の懸念事項として挙げており、これは12月の11カ国から増加している。
  • 調査対象国全体では、インフレに次いで、貧困/社会的不平等(31%)、失業(27%)、犯罪と暴力(26%)、金融/政治腐敗(24%)が続く。これらが世界の懸念事項のトップ5となっている。
  • 気候変動は、世界平均で 16%が懸念しており、18の懸念事項の中では、税金に関する懸念が1ポイント増加したため8位に後退した。
  • 新型コロナウイルスに対する懸念は2ポイント増加し、2022年8月以来の高水準となった。昨年の今頃は35%で世界的な懸念事項のトップであった。
  • 10人に6人(60%)が、自国は間違った方向に向かっていると考えており、2022年12月から2ポイント低下。アルゼンチンでは88%、南アフリカ共和国では83%に上昇した。

2022 年 1 月と 2023 年 1 月の最高値と最低値の比較

正しい方向/間違った方向

  • 最高値:サウジアラビア 81% ('22) vs サウジアラビア 96% ('23)
  • 最低値:ペルー 16% ('22) vs アルゼンチン 12% ('23)

インフレーション

  • 最高値:アルゼンチン 53% ('22) vs アルゼンチン 69% ('23)
  • 最低値:スウェーデン 4% ('22) vs インド 22% ('23)

気候変動

  • 最高値:オーストラリア 32% ('22) vs オーストラリア 32% ('23)
  • 最低値:ペルー 2% ('22) vs アルゼンチン/イスラエル 3% ('23)

COVID-19

  • 最高値:韓国 58% ('22) vs マレーシア 37% ('23)
  • 最低値:コロンビア 16% ('22) vs イスラエル 1% ('23)

貧困と社会的不平等

  • 最高値:ブラジル/コロンビア 43% ('22) vs インドネシア 45% ('23)
  • 最低値:米国 17% ('22) vs サウジアラビア 15% ('23)

犯罪と暴力

  • 最高値:スウェーデン 66% ('22) vs チリ 60% ('23)
  • 最低値:ポーランド 3% ('22) vs ハンガリー 3% ('23)

財政的および政治的腐敗

  • 最高値:南アフリカ 56% ('22) vs 南アフリカ 56% ('23)
  • 最低値:スウェーデン 9% ('22) vs フランス/スウェーデン 7% ('23)
インフレを懸念している上位 5 カ国 - 2023 年 1 月

 

インフレ

12月に比べ、インフレに対する懸念(40%)に変化は見られませんが、過去10ヶ月間と同様、依然として懸念事項のトップです。11月と比較すると2ポイント低下しており、物価上昇への懸念がピークに達した可能性を示唆しています。

今月のスコアは2022年初頭より20ポイント高く、2021年1月よりさらに31ポイント高くなっています。トルコ(60%)は12月以降、8ポイントの急上昇を記録しました。アルゼンチン(69%)とポーランド(67%)は依然としてトップで、ともに4ポイントの増加となりました。

今月は、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、英国、ハンガリー、ポーランド、サウジアラビア、米国、トルコの12カ国がインフレを最大の懸念事項として挙げています。

気候変動

6 人に 1 人 (16%) が、気候変動は自国に影響を与える最大の問題の 1 つだと述べており、12 月から変化はなく、2022 年 1 月から1ポイントの上昇にとどまっています。。

今月はオーストラリアが1位(32%)で、同国にとって3番目に大きな懸念事項として位置づけられています。オランダ(28%)が 1ポイント 増加したのに対し、ドイツ(27%)は 2ポイント 減少し、フランス(25%)は 1ポイント 減少しました。

気候変動は、オランダとドイツでは貧困/社会的不平等、インフレに次いで3番目に高い懸念事項となっています。

イスラエルはアルゼンチン(ともに3%)と並び最下位となりました。2022年1月、イスラエルは9%、アルゼンチンは2%でした。

新型コロナウイルス

今月は新型コロナウイルスが2ポイント増加しました。これは、2022年8月以降で最も高い数値です。2022年1月には世界の調査対象者全体で3分の1以上(35%)が懸念事項として挙げ、ランキングの第一位でした。

日本 (33%) は今月まで最も懸念していた国でした。日本が 2 ポイント上昇したにもかかわらず、マレーシアは 12 月から18 ポイント上昇し、トップとなりました。現在、マレーシアでは3番目に大きな懸念事項となっています。この地域に他の国でも上昇しており、インド(26%)が11ポイント上昇、韓国(21%)が5ポイント上昇と推移しました。
日本ではインフレ以上に懸念されており、貧困/社会的不平等、税金に次ぐ第3位となっています。先月は、ブラジル(-6ポイント)とペルー(-8ポイント)では減少しています。

貧困/社会的不平等

世界のほぼ 3 人に 1 人 (31%) が、貧困/社会的不平等に対して懸念を抱いており、これは先月と同水準です。

インドネシア(45%)は今月わずかに増加(+1ポイント)し、依然として最高値を維持しています。2 位はハンガリー、3 位はタイ(ともに 42%) となっており、トルコ(38%)は5ポイント上昇し、オランダは9ポイント低下しました。アルゼンチンも5ポイント低下しています。

ブラジル、ベルギー、タイ、オランダは、不平等が最大の懸念事項である国です。
不平等への懸念が最も低いのはサウジアラビア(15%)で、米国(19%)が続きます。イスラエルは以前は5番目に懸念が少ない国でしたが、7ポイント上昇し31%となりました。

経済への注目

グローバルの平均では、自国の現在の経済状況を「良い」と回答する人の割合わずかに上昇し、先月から2ポイント増加の36%となりました。

マレーシア(+10)とオランダ(+10)の2カ国は、今月のスコアを2桁に伸ばしました。次いで、タイ(+9)とメキシコ(+8)が前月比で大きく上昇しました。

一方、前月から最もスコアを下げたのはスウェーデンで、7ポイント減の35%となり、過去最低のスコアとなりました。以下、インド(-5)、南アフリカ、ベルギー(ともに-4)が続きます。

また、現在の経済状況を「良い」とするイタリア人の割合が7ポイント上昇したことで、イタリアは過去最高のスコア(2021年10月の32%)に並びました。


本調査について

イプソスの「世界が懸念していること What Worries the World調査」は、10年を超えるデータをもとに、世界29カ国の市民が現在最も重要な社会問題や政治問題は何であると考えているのかを調査し、最新のスコアとその背景を探ります。

この調査は、2022 年 12 月 22 日~ 2023 年 1 月 6 日に、カナダ、イスラエル、マレーシア、南アフリカ、トルコ、米国の18~74歳、インドネシア、タイの20~74歳、その他21カ国では16~74歳の成人を対象に、20,570人のオンライン調査を実施しました。

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