2023 年 6 月のグローバル消費者信頼感指数、経済大国間で対照的な動きをみせる
イプソスの世界消費者信頼感指数は今月も安定しており、先月から0.2ポイント上昇し47.4となりました。調査対象の 29 カ国のうち、8 カ国では消費者景況感の大幅な上昇を示し、7 カ国では顕著な低下が見られました。世界の現況指数と投資指数は約0.5ポイント上昇していますが、期待指数と雇用指数はほぼ横ばいです。
ドイツが正式に不況に陥ったとの発表を受け、今月の消費者信頼感が急激に低下しました(-3.4ポイント)。米国でも景況感が低下しており(-2.8ポイント)、その原因としては、米国債の上限引き上げをめぐる議会での数カ月間に及ぶ争いと、米国の債務不履行に対するアメリカ人の懸念が考えられます。
一方、英国では景況感が大幅に上昇し(+4.5ポイント)、過去15カ月で最高となっています。
グローバル消費者信頼感指数は、調査対象国すべての総合または国別指数の平均値です。イプソス・グローバルアドバイザーのオンライン調査プラットフォームGlobal Advisor online platformで行われた、29カ国の75歳以下の21,000人以上を対象とした月次調査に基づいており、今回の調査は、2023年5月26日~6月9日に実施されました。
世界29カ国における消費者景況感
29カ国のうち、インドネシア (65.9) が今月も引き続き最も高い国別指数を示し、60を超える国別指数を保持する唯一の国となっています。
他に国別指数が 50 を超えてるのは8か国です:タイ (58.7)、ブラジル (58.6)、メキシコ (58.5)、インド (56.0)、シンガポール (55.0)、オランダ (53.2)、カナダ (51.4)、英国 (50.9)です。ブラジルにとって、今月のスコアは2013年3月以来最高値となります。
対照的に、国別指数が40を下回っているのは7カ国です:チリ (39.9)、韓国 (39.7)、日本 (38.9)、南アフリカ (37.5)、ハンガリー (37.4)、トルコ (35.9)、アルゼンチン(34.8)です。
12 カ月前との比較では、スウェーデン (-7.2) が最も消費者景況感を悪化させ、ブラジル (+12.3)、トルコ (+9.5)、メキシコ (+8.0) が引き続き最も上昇を示しています。
トレンド
イプソスのグローバル消費者信頼感指数 (調査対象 29 カ国全てに基づく) は、現在 47.4 で、先月から安定しています (+0.2 ポイント)。 2010年3月以来調査対象である「レガシー20カ国」のみに基づくと、45.5 となります。
現在の個人の経済状況、購買や投資意欲、雇用の安定性を反映する現況指数は、29 カ国全体で先月からわずかに上昇し、0.5 ポイント上昇して 37.6 となりました。 前月比で現況指数が大きく上昇(2ポイント以上)した国は10カ国にのぼり、一方で大きく下降した国は5カ国にとどまりました。
10 か国が現況指数で前月比で大幅な上昇 (少なくとも 2 ポイント) を示していますが、大幅な低下を示しているのは 5 か国のみです。
消費者の投資意欲を示す投資指数も29カ国の平均で前月から0.4ポイント上昇し、39.7を記録しました。 8 カ国が大きく上昇し、5カ国のみが大きな減少を示しています。
消費者の今後の経済状況に対する期待を示す期待指数は比較的変化がなく(-0.1 ポイント)、56.4 です。経済の見通しが最も悪化したのはトルコで、3月から5月にかけて11ポイント以上上昇した後、前月比で9.2ポイントという驚異的な下降となりました。トータルで 7 カ国が期待指数の大幅な上昇を示し、6カ国が大幅な下降を示しています。
期待指数と同様に、雇用の安定と雇用市場に関する認識を反映する雇用指数はほとんど変化を示さず(-0.2)、今月は 57.2 に留まっています。 10 カ国が雇用指数で大幅な上昇を示している一方、9カ国は大幅な下降を示しています。
注目すべきは、4つのサブ指数すべてにおいて大幅な下降(少なくとも 2 ポイント)を示しているマレーシア、イスラエル、ペルーの 3 カ国です。対照的に、英国、ベルギー、スペインの 3 か国では、 4 つのサブ指数すべてにおいて、前月比で大幅な上昇を示しています。
本調査について
この調査は、イプソス・グローバルアドバイザーのオンライン調査プラットフォームと、インドではIndiaBusプラットフォームを使用し29カ国で実施されている月次調査のデータに基づいています。これらの調査結果は、Refinitiv/Ipsos’ Primary Consumer Sentiment Index (PCSI) により毎月報告されるものです。
この調査結果は、インドでは18歳以上、カナダ、イスラエル、マレーシア、南アフリカ、トルコ、米国では18~74歳、タイでは20~74歳、インドネシアとシンガポールでは21~74歳、その他の国では16~74歳の成人21,200人以上を対象に実施された調査に基づく結果です。