データで読み解く日本の世論と政治ー2026年3月
「国が正しい方向に進んでいる」という認識が改善傾向にある現状は、高市政権が掲げる「強い国家ビジョン」や外交・安保への信頼が、足元の「生活の苦しさ」を辛うじて上回っている状態だと言えます。
しかし、懸念事項のツートップに「貧困と不平等(32%)」と「インフレ(31%)」が並んでいる点は、看過できません。これは、株価の上昇や企業の好業績といったマクロ経済の好転が、依然として多くの家計にまで波及しておらず、「持てる者と持たざる者」の二極化が加速している現状を如実に物語っています。
また、課税への不安(29%)についても、防衛費や少子化対策といった国家の基盤強化自体は一定の支持を得つつも、その負担が自分たちの生活をさらに圧迫することへの強い警戒心が、数字として明確に表れています。
特筆すべきは、気候変動(28%)への懸念が前月比で6ポイントと急上昇した点です。これは、3月の記録的な暖冬や激しい寒暖差を通じて、多くの国民が「日本の季節感の揺らぎ」を肌で感じた結果と言えるでしょう。
国は正しい方向に進んでいるのか?
「国が正しい方向に進んでいる」という認識は41%から42%へと1ポイント増加しました。前年同月比では+25%と大幅に改善しています。
国際的には、39%が「自国が正しい方向に進んでいる」と答えていて、前月から-2ポイント低下しました。最下位はフランスで、「正しい方向に進んでいる」と回答した国民はわずか9%です。
日本での懸念事項
日本では貧困と社会的不平等(32%)が最重要課題であり、次いでインフレ(31%)、29%が課税を挙げています。気候変動(28%)は前月比+6ポイントで大幅に増加しています。
国際的には、犯罪への懸念(33%)がトップで、次いで29%の回答者が失業・雇用、インフレ、貧困・社会的不平等を挙げています。
日本の経済状況
日本の経済状況を良いと考える人は19%で、前月と横ばいです。また、前年と比較すると+8%と高い水準です。
世界の動向
2026年3月の調査では、米国の汚職、アルゼンチンの失業、コロンビアの医療、オランダの税金、オーストラリアの移民管理がいずれも過去最高水準の懸念として挙げられました。
一方で、韓国では経済状況を良好と評価する割合が42%に達し、過去12ヶ月で大幅に改善しました。
詳細は 世界が懸念していること – 2026年3月をご覧ください。
著者

イプソス日本 代表取締役
内田 俊一(うちだ しゅんいち)
1985年ニューヨーク州立大卒業後、日本の商社、欧州のメーカーを経て、1993 年現イプソス株式会社の前身日本統計調査株式会社入社。2008年同社代表取締役就任。2017年より一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会 会長。