ソーシャルディスタンシングはクルマとの付き合い方も変えるのか?
新型コロナウイルス感染拡大は世界を大きく揺るがしました。この危機に対する“免疫”を持つ者はおらず、自動車業界も例外ではありません。普通乗用車の販売はグローバル規模で20%~25%は落ち込むとの予測もあったほどです。しかし、良い兆しも見られます。イプソスが新たに発表したCOVID-19 Impact on Auto Global Studyによれば、コロナ以前に自動車購入意向があった人たちのなかには、事態が収束したら早速クルマを買いたいとする向きもあり、予想より酷いことにならないかもしれないのです。そして、購入意欲を掻き立てる要因は、実は感染拡大と密接な関わりがあります。そう、それは、身の安全や予防です。
コロナ後にクルマを買いたいと思っている人たちに理由をたずねたところ、アメリカや中国、欧州、ブラジルなど、調査したすべての地域で、より安全で守られていると感じるからとの回答が多く見られました。
安全はいつの時代もクルマを選ぶ際の重要なポイントですが、この結果は、混み合う公共交通機関の利用から、ソーシャルディスタンシング(社会的距離の確保)による安全を取る方向への、明確なシフトを意味しています。この消費者インサイトは、今後のマーケティングメッセージにおいて重要な意味を成すはずです。
イプソスの調査によると、アメリカの消費者は経済的な見通しが不透明な中でも楽観的に捉えていることが明らかになりました。アメリカでコロナ以前に自動車購入意向があった人の3割は、感染拡大が収まれば以前にも増してクルマを買いたくなるだろうと回答しており、反対に購入意欲は減るとした人は2割以下となっています。中国の消費者も同様に楽観的で、過半数は購入意欲が高まると回答しています。一方、ブラジルやユーロ5(イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン)、および日本の消費者は、より慎重な姿勢を示しています。
購入意欲が低くなる理由としては、日本を含めた各国で、経済的な不安が最も多く挙げられています。それに対しては、メーカー側が多様な購入プランを用意することで、消費者の負担感を和らげる効果が期待できます。
そのほか、自動車業界が迅速に対応すべき動向として、オンライン/バーチャルショッピングという選択肢の開発・拡充が挙げられます。消費者が販売店を訪問できないのであれば、販売店のほうから消費者に近づき、ホンモノと同じように試し、楽しむ体験を提供しなければなりません。こうしたバーチャルショッピング体験はこれまでにも試行錯誤が行われていましたが、コロナ禍はバーチャルリアリティが“リアリティ”になる状況を作り出しているのです。日本でも、自動車購入がオンラインで完結することに対し、30%近くが「非常に関心がある/やや関心がある」としています。
オートモーティブ&モビリティSVPのJohn Kiserは、次のように述べています。「新型コロナウイルス感染拡大は、クルマの買われ方を変えるはずです。オンライン購入者は近い将来増加が見込まれ、バーチャルショッピングが増えれば、試乗のための来店は減っていくと思います。新しい販売プロセスを迅速に整備できるメーカーが、購入者獲得競争で優位に立つのではないでしょうか。」
このほか、公共交通機関/ライドシェアサービスの利用動向、自動車の購入方法に対する意向、販売店への要望など、イプソスのCOVID-19 Impact on Auto Global Studyは、自動車に関わるすべての人たちがコロナ後の世界を歩むうえで、すぐに活用できる、たくさんの新しい消費者インサイトを提供いたします。
本調査について:
イプソスは、アメリカ、中国、日本、ブラジル、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス、ロシア、インドの11ヶ国で18歳から74歳までを対象にオンライン調査を実施し、合計11,000人の回答を得ました。
今後18ヶ月以内に自動車の購入またはリースを予定している人を購入意向者と定義しています。
回答データは各国の最新人口動態統計に基づいてウェイトバック集計され、各国の属性構成比率を反映するものになっています。また、グローバル全体を求めるため、国ごとのウェイト値もかけ合わせています。オンライン調査は、フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、日本、スペイン、アメリカについて、生産年齢人口に対して代表性があるとされています。ブラジル、中国大陸、インドの回答結果は、より都市部の、より教育水準が高く裕福なサンプルの傾向として見る必要があります。
調査をご購入いただくと、すべての結果をご覧いただけます。詳しくは以下の資料をご参照ください。
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