コンジョイント分析とは?基本から新製品開発への応用まで分かりやすく解説

コンジョイント分析とは?
コンジョイント分析とは、製品のどの要素(価格、機能など)を消費者が重視しているかを分析し、最適な組み合わせを探る調査手法です。
消費者は製品やサービスを選ぶ際、価格、デザイン、機能、ブランドといった様々な要素を無意識のうちに天秤にかけて、総合的に「これが一番良い」という判断を下しています。
例えば、「価格は少し高いけれどデザインが魅力的」なA案と、「デザインは普通だが機能が充実していて価格が安い」B案があった場合、どちらがより多くの消費者に選ばれるでしょうか。
このように、複数の要素が絡み合う複雑な選択(トレードオフ)の中から、消費者がどの要素をどれくらい重視しているのかを統計的に明らかにするのがコンジョイント分析です。 単純なアンケートで「どの機能を重視しますか?」と聞くと、多くの人が「価格は安い方がいい」「機能は多い方がいい」と答えてしまいがちですが、これでは製品開発のヒントは得られません。
コンジョイント分析では、要素を組み合わせた具体的な製品・サービスのパターン(プロファイル)を複数提示し、回答者に最も買いたいものを選択してもらうことで、より現実の購買行動に近い「本音」を引き出すことができるのです。
コンジョイント分析の進め方
コンジョイント分析がどのように行われるのか、新しい「ノートパソコン」の開発を例に、具体的なプロセスを見ていきましょう。

〈ステップ1:属性と水準の決定〉
まず、製品を構成する重要な「属性(要素)」と、その具体的な選択肢である「水準(選択肢)」を洗い出します。
属性(要素)
価格、CPU性能、メモリ容量、画面サイズ、ブランド
水準(選択肢)
- 価格:10万円、15万円、20万円
- CPU性能:Core i5、Core i7
- メモリ容量:8GB、16GB
- 画面サイズ:13インチ、15インチ
- ブランド:A社、B社
〈ステップ2:評価カード(プロファイル)の作成〉
次に、これらの水準を組み合わせた仮想の評価カード(製品プロファイル)を作成します。 全ての組み合わせを作成すると数が膨大になるため、「直交表」という統計的な手法を用いて、評価に必要な最小限の組み合わせを効率的に作成するのが一般的です。
【評価カードの例】
製品A:15万円 / Core i7 / 8GB / 13インチ / A社
製品B:10万円 / Core i5 / 16GB / 15インチ / B社
製品C:20万円 / Core i7 / 16GB / 13インチ / B社
〈ステップ3:アンケート調査の実施〉
作成した評価カードを回答者に提示し、「最も買いたいもの」や「購入したい順位」などを選んでもらいます。 これを複数回繰り返すことで、各回答者の選好データを収集します。
〈ステップ4:データ分析〉
収集したデータを統計的に分析し、後述する「重要度」や「効用値」を算出します。この結果から、「消費者はCPU性能よりも価格を重視する傾向がある」といったインサイトを導き出し、新製品の最適なスペックや価格設定を決定します。
コンジョイント分析で分かる指標
コンジョイント分析によって、主に以下の3つの指標が得られます。これらを読み解くことで、消費者の選択メカニズムを深く理解できます。
1. 重要度(相対的重要度)
「重要度」とは、製品を選ぶ際に、どの属性がどれくらい影響を与えているかを示す割合です。 例えば、分析の結果、価格の重要度が40%、CPU性能が30%、ブランドが15%...といった数値が算出されます。この場合、消費者はブランドよりも価格やCPU性能を強く意識して製品を選んでいることが分かります。
2.効用値(部分効用値)
「効用値」とは、それぞれの水準が持つ魅力度を数値化したものです。 効用値が高いほど、その水準が好まれていることを意味します。 例えば、価格の効用値が「10万円:+5.0」「15万円:+1.0」「20万円:-6.0」となった場合、10万円が最も魅力的で、20万円になると購入意向が大きく下がることが定量的に把握できます。
3. 市場シェア(選択確率)シミュレーション
算出した効用値を基に、特定の製品プロファイルが市場でどのくらいのシェアを獲得できるかを予測するシミュレーションが可能です。競合製品のスペックを入力し、自社の新製品がどの程度の価格・機能であれば競争力を持つのか、発売前に様々なシナリオを検討することができます。
コンジョイント分析を行うメリット

消費者の本音(無意識の判断基準)を明らかにできる:トレードオフの関係にある選択肢を評価させることで、建前ではない、より現実的な購買行動に近い選好を明らかにできます。
最適な製品・サービスの組み合わせを発見できる:どの機能に絞り、どの価格帯で提供すれば最も売れるのか、データに基づいて最適な組み合わせを特定できます。
価格弾力性がわかる:価格の変更が購入意向にどの程度影響するか(価格弾力性)を測定できるため、戦略的な価格設定に役立ちます。
市場シェアを予測できる:新製品投入後の市場シェアをシミュレーションし、売上予測や投資判断の精度を高めることができます。
コンジョイント分析を行う上での注意点
属性・水準の設計が重要:分析結果は、最初に設定する属性と水準に大きく左右されます。現実的でない、あるいは消費者の選択肢にない要素を含めると、正確な結果は得られません。
調査設計の専門性:直交表の作成や分析には統計的な専門知識が必要です。
回答者の負担:複数のプロファイルを比較・評価するため、回答者にはある程度の集中力が求められます。設問数が多すぎると回答の質が低下する可能性があります。
イプソスのコンジョイント分析

世界有数の市場調査会社であるイプソスは、長年にわたりコンジョイント分析を活用し、クライアントの製品・サービス開発を支援してきました。
イプソスのコンジョイント分析の強みは調査実績をもつ業界の幅広さ、圧倒的なノウハウ、そして調査の柔軟性です。日用消費財からテクノロジー、耐久財、サービスまで、幅広い業界でコンジョイント分析を活用した成功実績を持っています。イプソスの45年以上にわたり蓄積された製品開発のノウハウをもとに、お客様の複雑な課題に柔軟に対応し、最適なインサイトを提供するコンジョイント分析を実現します。
またイプソスは、従来のリサーチャーによる高品質の調査に加え、近年のビジネススピードの加速化にも対応しています。アジャイルなコンジョイント分析プラットフォーム「Ipsos-Conjoint.Net」や、コンジョイント分析を活用した製品ラインナップ最適化ソリューション「InnoLine」をグローバルで段階的に拡大させています。
イプソスがコンジョイント分析を製品開発に活用した事例

活用事例:若年層をターゲットとした新メニューの開発:グローバルレストランチェーン
調査目的
パンデミック後、あるグローバルレストランチェーンが「シェフズセレクション」シリーズを追加してメニューを再設計しようとしていました。この新メニューは、特に持続可能な食生活に関心のある若年層の来店を促進し、既存メニューとのカニバリゼーションを最小限に抑える必要がありました。
実施した調査
InnoLineプロジェクト: 消費者に、新しいアイテムと既存のアイテムが混在する商品の選択肢から選んでもらうInnoLineプロジェクトを実施しました。各選択画面で、最も注文する可能性が高いアイテムと低いアイテムを回答してもらいました。
評価基準: 各新メニューオプションを以下の3つの基準で評価しました。
・注文シェア
・既存アイテムに対する増分性
・持続可能性を意識するグループや非来店者などの主要ターゲットグループにおける強み
調査結果の活用
イプソスは、季節ごとに2〜3の新しいアイテムを含むローテーションメニューを構築するための最適な組み合わせを提案し、メニューの再設計に貢献しました。
まとめ:コンジョイント分析は製品開発に有効な調査手法
コンジョイント分析は、消費者が製品やサービスをどのように評価し、選択しているのかというリアルな「心のメカニズム」を解き明かす、非常に有効な調査手法です。勘や経験だけに頼るのではなく、データに基づいて顧客のニーズを深く理解することで、製品開発の成功確率を飛躍的に高めることができます。製品開発や価格戦略でお悩みの際は、コンジョイント分析の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
イプソスによるコンジョイント分析の詳細は、イプソスの製品開発チームにお問い合わせください。