ポピュリズムと民族主義の意見はまだ優勢

イプソスの最新の調査によると、一部の国ではポピュリストと民族主義の感情が高まっています。一方、後退している国もあります。

著者

  • Chris Jackson Public Affairs, US
  • Nicolas Boyon Public Affairs, US
  • Mallory Newall Public Affairs, US
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世界的なレベルでは、「制度が崩壊した」という認識は、ドナルド・トランプ氏の選挙の数週間後や、英国の有権者の大多数が欧州連合を離脱することを選択した数カ月後と同じくらい、いまも広まっています。イプソスが世界27カ国の18,000人を対象に実施した最新の調査で、それ以来、世界全体でポピュリズム的な感情はほとんど変化しておらず、民族主義的態度がある程度増加していることがわかりました。また、一部の国では、ポピュリズム的な意見(スウェーデン、南アフリカ、アルゼンチン、インドなど)や民族主義的な意見(メキシコ、スウェーデン、日本など)が上昇している一方で、イスラエル、イタリア、ハンガリー、アメリカなど他の国では下降していることがわかりました。

世界の市民の過半数は、自国での「常態」から取り残されていると感じています。

  • 70%が「経済は富裕層や権力者を優遇するように操作されている」に同意(2018年12月から2019年4月にかけて1ポイント上昇)
  • 66%が「従来の政党や政治家は自分たちのような人々を気にかけていない」と感じている(2ポイント上昇)
  • 54%が「自国の社会が崩壊している」に同意(4ポイント低下)

このような背景で、多くはより実践的なリーダーシップや市民優先の視点を求めています。

ポピュリズム的な感情が広がっています。

  • 64%が「自国が富裕層や権力者から国を取り戻すには、強力な指導者が必要だ」に同意(1ポイント上昇)
  • 62%が「自国の専門家は自分たちのような人々の生活を理解していない」と感じている(2ポイント上昇)
  • 49%が「国を建て直すためには、ルールを破る意志のある強い指導者が必要だ」に同意(変化なし)

民族主義的な見方はすべて当然のことです。

  • 60%が「雇用が不足している場合、雇用主は移民よりも自国の人々の雇用を優先すべきだ」に同意(4ポイント上昇)
  • 60%が「自国に来たいと思っているすべての移民を受け入れた方が自国が豊かになる」に不同意(1ポイント上昇)
  • 43%が「移民が自国の国民から重要な社会サービスを奪っている」に同意(4ポイント上昇)

崩壊した制度

スウェーデンを除くすべての調査対象国で「自国の経済が富裕層や権力者を優遇するように操作されている」という意見に過半数が同意しています。ラテンアメリカ、東ヨーロッパ(ポーランドを除く)、南ヨーロッパでは、70%以上の人が同意しています。2018年12月以降、スウェーデン、日本、アルゼンチンでそれぞれ11ポイントずつ上昇し、いずれの国も過去一年間で消費者信頼感が下降しています。しかし、いくつかの国では低下しており、とりわけ、2019年4月の選挙の数日前に調査が実施されたイスラエルでは15ポイント低下し、ハンガリーとセルビアで各5ポイント、メキシコとアメリカでは各3ポイント低下しています。

「従来の政党や政治家は自分たちのような人々を気にかけていない」という意見に同意しないと回答した人は、世界の全調査対象国で11%に過ぎませんでした。2016年以降、「従来の政党や政治家は自分たちのような人々を気にかけていない」という認識は広まっており、特に南アフリカ(13ポイント上昇)、イギリス(11ポイント上昇)、日本、アルゼンチン(どちらも9ポイント上昇)、スウェーデン(8ポイント上昇)で顕著です。反対にイスラエル(8ポイント低下)、セルビア、イタリア(どちらも5ポイント低下)では低下しています。

一方、「社会は壊れている」という認識は2016年から2019年にかけてやや下向きです(4ポイント低下)。この意見への同意は韓国(29ポイント)、イタリア(19ポイント)、メキシコ(15ポイント)、ベルギー(13ポイント)、スペイン(9ポイント)、セルビア(9ポイント)、トルコ(7ポイント)、イスラエル(7ポイント)、フランス(6ポイント)、アメリカ(6ポイント)で大きく低下しました。唯一、二桁の上昇が見られたのはカナダ(15ポイント上昇)で、その他にはインド(8ポイント)、ペルー(8ポイント)、イギリス(7ポイント)、ポーランド(5ポイント)がそれぞれ上昇しました。

ポピュリズム

世界的にみて、「自国が富裕層や権力者から国を取り戻すには、強力な指導者が必要だ」という意見に同意する人の割合は、2016年から2019年の間、ほぼ変化していません(1ポイント上昇の64%)。調査対象国の中で同意の割合が引き続き50%を下回っているのはドイツ、スウェーデン、日本です。しかしスウェーデン(10ポイント上昇)は同意率の上昇幅が最も大きく、南アフリカとインド(どちらも9ポイント)が続いています。低下幅が最も大きい国はイタリア(8ポイント)、イスラエル(6ポイント)、韓国(6ポイント)です。アメリカはやや低下(3ポイント)しています。

「国を建て直すためには、ルールを破る意志のある強い指導者が必要だ」という意見に同意する人の割合は49%で、2016年12月以来変化がありません。この意見の広まりについては国によって大きく異なり、明確な地域的パターンは現れていません。最も上昇したのはスウェーデン(13ポイント上昇)で、ベルギー(11ポイント)、南アフリカ(9ポイント)、アルゼンチン(8ポイント)、インド(7ポイント)が続いています。反面、セルビア(13ポイント低下)、イスラエル(11ポイント)、ハンガリー(7ポイント)、イタリア(6ポイント)、米国(5ポイント)などは軒並み低下しました。

「自国の専門家は自分たちのような人々の生活を理解していない」という意見は、ほとんどの国の国民の過半数に共通しています。知的エリートが市民の現実からかけ離れているという認識は、スペイン語圏とフランスで最も広まっています。2016年以降、調査対象国全体では2ポイント上昇しました。これはドイツ(11ポイント上昇)、日本(10ポイント)、スウェーデン(9ポイント)、イギリス(8ポイント)、アルゼンチン(8ポイント)、南アフリカ(7ポイント)の上昇率が大きいことを反映しています。5ポイント以上低下した国はイスラエル(13ポイント低下)だけです。

民族主義

調査対象となった世界27カ国では、「雇用が不足している場合、雇用主は移民よりも自国の人々の雇用を優先すべきだ」という意見に同意している人の割合が2016年から4ポイント上昇し、現在は60%になっています。少数の例外を除いて、東欧、ラテンアメリカ、アジアでは世界平均を上回り、西欧と北米では平均を下回っています。このような民族主義的な意見が過去数年で広まった国には、スウェーデン(17ポイント上昇)、日本(15ポイント)、メキシコ(14ポイント)、そして程度は低いが、ポーランド(8ポイント)、韓国(6ポイント)、カナダ(5ポイント)、ベルギー(5ポイント)が含まれます。イタリア(7ポイント低下)は4ポイント以上低下した唯一の国です。

「移民が自国の国民から重要な社会サービスを奪っている」という意見に同意したのはは、世界の全調査対象者の43%ですが、これは2016年から4ポイントの上昇しています。同意率が50%を超えている国は、トルコ、マレーシア、セルビアの3カ国で、同意率が最も低いのは日本(25%)、次いでポーランド(26%)です。二桁の同意率の伸び幅を見せたのは5カ国(そのほとんどは難民の流入を経験)で、メキシコ(25ポイント上昇)、ペルー(23ポイント)、セルビア(17ポイント)、スウェーデン(13ポイント)、ブラジル(10ポイント)となっています。またドイツ(8ポイント上昇)、日本(8ポイント)、ポーランド(7ポイント)、カナダ(6ポイント)でも上昇しています。5ポイント以上の下げ幅を見せたのはハンガリー(10ポイント低下)とイスラエル(9ポイント)のみです。アメリカは4ポイントの低下となっています。

「自国に来たいと思っているすべての移民を受け入れた方が自国が豊かになる」という意見に同意したのは世界の全調査対象者のわずか15%にすぎません。この割合は2016年から2019年の間にほとんど変化しておらず(わずか1ポイントの上昇)5ポイント以上の増減があった国はありません。調査対象となった世界27カ国のうち24カ国の人々の圧倒的多数がこの意見に反対しています。

これらの調査結果は、イプソス グローバルアドバイザー調査(Ipsos Global Advisor)オンラインプラットフォームを利用してイプソスが世界27カ国で実施したものです。調査は2019年3月22日~4月5日に実施されました。
調査対象者は18,528人(アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、チリ、フランス、ドイツ、イギリス、ハンガリー、インド、イタリア、マレーシア、メキシコ、ペルー、ポーランド、ロシア、サウジアラビア、セルビア、南アフリカ、スペイン、スウェーデンでは16~74歳、カナダ、イスラエル、南アフリカ、トルコ、アメリカでは18~74歳、韓国では19~74歳)です。
各国のサンプルサイズは、オーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、日本、スペイン、アメリカでは各国1000人以上。その他の国では各国500人以上。
調査データは、各国のサンプル構成が最新の国勢調査データに基づく成人人口構成を最もよく反映するように加重されています。合計グローバルサンプルでは各国に等しく加重されています。

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  • Chris Jackson Public Affairs, US
  • Nicolas Boyon Public Affairs, US
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