データで読み解く日本の世論と政治ー2026年4月

イプソスが毎月実施する国際調査「What Worries the World(世界が懸念していること)」は、世界30か国の人々が抱える政治的・社会的課題への意識を定点観測するものです。日本人は今、何に不安を感じ、政治に何を求めているのでしょう。

日本国民は「日々の生活コストの上昇」に極めて敏感になっています。直近1ヶ月の「160円台への円安進行」と「原油高」というニュースが連日報じられたことで、将来の生活防衛意識が急速に高まりました。

この「原油高」と「ミクロの痛み」を決定的に増幅させている背景が、今回のイラン紛争です。中東産原油への依存度が90%以上という極めて高い水準にある日本にとって、この紛争は決して対岸の火事ではありません。国家としての「エネルギー安全保障の確保」という重大な課題を改めて浮き彫りにし、燃料価格の高騰やインフレの加速、さらには供給リスクという形で、企業や消費者に容赦ない圧力をかけています。

遠く離れた中東での紛争というマクロな事象が、ガソリン代や電気代の高騰を通じてミクロな家計の「生活の苦しさ」に直結しているという構造が、消費者の財布の紐を固くし、国全体の経済に対する冷ややかな評価(「日本の経済は良い」がわずか14%)や、インフレへの強い懸念(36%)として明確に表れています。
今後、政府や日銀が、こうした地政学リスクに端を発するインフレの抑制と景気下支えのバランスをどう取り、国民の不安を払拭するような具体策をどう分かりやすく提示していけるかが、次回の調査結果を左右する最大の焦点になるでしょう。

 

 

国は正しい方向に進んでいるのか?

「国が正しい方向に進んでいる」という認識は42%から39%へと3ポイント減少しました。

国際的には、38%が「自国が正しい方向に進んでいる」と答えていて、前月から1ポイント低下しました。最下位はフランスで、「正しい方向に進んでいる」と回答した国民はわずか9%です。

 

 

日本での懸念事項

日本ではインフレ(36%)が最重要課題であり、次いで貧困と社会的不平等(34%)、国家間の軍事的な対立(29%)を挙げています。特にインフレは前月比+5ポイントと過去10年間で最高値、国家間の軍事的な対立+8ポイントとなり、イラン紛争の影響が日本での懸念事項にも反映されています。

国際的には、インフレ(33%)がトップで、次いで犯罪と暴力(31%)失業・雇用、貧困・社会的不平等(それぞれ28%)となっています。 

 

 

日本の経済状況

日本の経済状況を良いと考える人は14%で、前月から-5ポイントです。

 

 

世界の動向

2026年4月の調査では、安全保障不安が目立ち、米国で軍事的対立懸念が27%(+15pt)に伸長、ポーランドでは47%と際立ちました。経済面では、日本でインフレ懸念が36%と過去10年で最高、フランスの自国経済「良い」は7%と同10年で最低、ドイツでは不平等が主要課題(36%)に。中東では、イスラエルで「国は正しい方向」が45%へと前月比+14ptの回復が目立ちました。

詳細は 世界が懸念していること – 2026年4月をご覧ください。

 

 

著者

イプソス 内田俊一

イプソス日本 代表取締役

内田 俊一(うちだ しゅんいち)

1985年ニューヨーク州立大卒業後、日本の商社、欧州のメーカーを経て、1993 年現イプソス株式会社の前身日本統計調査株式会社入社。2008年同社代表取締役就任。一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会 前会長。

 

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