コロナ禍後、柔軟な働き方が求められている
世界経済フォーラムが29カ国の就業者を対象に行った調査によると、4人に1人がパンデミック前よりも頻繁に自宅で仕事をするようになり、パンデミックが終わった後も半分はリモートで仕事をしたいと考えていることがわかりました。
2021年7月15日、ニューヨーク — イプソスが世界経済フォーラムと共同で実施した新しい調査によると、29カ国の就業者の平均23%が、コロナ禍以前よりも在宅勤務の頻度が高くなっていると回答しています。ペルー、シンガポール、インド、アルゼンチンでは、在宅勤務の頻度が高くなった調査対象者の割合が3分の1を超えています。
5月21日~6月4日、約12,500人の被雇用者を対象に実施されたオンライン調査によると、29カ国の平均で現在、常に/ほとんど/時々在宅で仕事をしている人の割合(39%)は、パンデミック前(24%)よりも15ポイント高くなっています。現在、少なくとも一部の時間に在宅で仕事をしている人の4分の3は、新型コロナウイルスの影響でそうなっている回答しています。
今回の調査では、世界的に労働形態の嗜好が見直されていることがわかりました。コロナ禍が収束し、すべての規制が解除されたときに、現在就業している人が週5日の稼働日の中で在宅勤務をしたいと考えている日数は、調査対象国全体の平均で2.5日です。中国、ベルギー、フランスでは最低の1.9日、インドでは最高の3.4日となっています。
世界平均では、調査対象となった就業者の3分の2が以下のように回答しています。
- 新型コロナウイルスによる規制が解除されたら、雇用主は従業員のオフィス出社についてより柔軟に対応すべきだ (66%)
- フレックスタイム制など柔軟性のある労働時間のほうが生産性が高い (65%)
- オフィスに出社する時間量を柔軟に変えたい (64%).
このような考え方は、教育水準や収入が高い人、女性、若年層、18歳未満の子供を持つ親に多く見られます。
一方、およそ3分の1は以下のように回答しています。
- 自宅は生産性を上げるのが難しい場所だ (38%)
- 自宅で仕事をすると、仕事への意欲がなくなると感じる (37%)
- 自宅で仕事をしているときの方が、仕事で燃え尽きてしまうと感じる (33%).
18歳以下の子供を持つ親は、そのように感じる傾向が強くなっています。
10人に3人(30%)は、もし雇用主がフルタイムの自宅外勤務を要求してきたら、同じ給料と責任のある別の仕事を探すことを考えると答えています。35歳以下の層、親である層は、その傾向が強いようです。
調査結果の詳細
コロナ禍中の在宅勤務
世界平均では、39%が少なくとも時々は在宅勤務をしていると回答しています(25%が常にまたはほとんど、14%が時々)。南米(ペルー、アルゼンチン、チリ、コロンビア、ブラジル)、シンガポール、南アフリカ、マレーシアでは調査対象者の少なくとも50%がそう答えていますが、中国では15%、ロシアでは21%でした。一方、パンデミック前に「少なくとも時々は在宅勤務をしていた」と答えたのは24%に過ぎず、現在よりも15ポイントも低い数値でした。
全体では、29カ国の調査対象となった全就業者のうち、平均23%がパンデミック前よりも自宅で仕事をする頻度が高くなっています。ペルー、シンガポール、インド、アルゼンチン、チリ、コロンビアでは10人中3人以上がリモートワークの頻度が高くなったと回答しているのに対し、ロシア、日本、ポーランド、ハンガリー、中国、韓国では10人中1人程度にとどまっています。
現在、少なくとも時々は自宅で仕事をしていると回答した人のうち、新型コロナウイルスをきっかけに自宅で仕事をするようになったと回答した人は、すべての調査対象国で過半数を占め、世界平均で76%となっています。
「コロナきっかけのリモートワーカー」の期待
パンデミックのために自宅で仕事をしている人は、住んでいる場所によって、いつ自宅外での仕事に戻るかの考えが大きく異なります。世界平均では「コロナきっかけのリモートワーカー」の27%が6ヶ月以内にコロナ以前の仕事のやり方に戻ると予想し、24%が6ヶ月から1年の間に、15%が1年以上後に、18%が以前のやり方に戻ることはないと考え、17%がわからないと答えています。
- フランス、サウジアラビア、オランダ、ハンガリーは、コロナきっかけのリモートワーカーの約半数が速やかに通常の状態に戻ることを期待している数少ない国である。
- 1年以上かかると考えている人が最も多いのは韓国(35%)である。
- オーストラリアでは半数近くが、南アフリカとイギリスでは3分の1が、「以前の状態に戻ることはない」と考えている。
コロナ禍後の労働形態の嗜好
世界平均では、35%が「パンデミック後は完全に在宅勤務をしたい」「以前よりも頻繁に在宅勤務をしたい」と回答しています。一方、ほぼ同数(33%)が「完全に家を離れて仕事をしたい」「パンデミック前よりも在宅勤務の頻度を減らしたい」と答えています。10人に1人は「以前と同じくらい在宅勤務をしたい」と答えています(10%)。
「パンデミック後は完全に在宅勤務をしたい」「以前よりも頻繁に在宅勤務をしたい」と回答した割合が高い国は、南アフリカ、シンガポール、英国、米国、インド、オーストラリアなどです(いずれも43%~48%)。「完全に家を離れて仕事をしたい」「パンデミック前よりも在宅勤務の頻度を減らしたい」という意向は、サウジアラビア、メキシコ、ポーランド、トルコで最も多く見られました(いずれも45%~53%)。
世界29カ国の平均では、25%がパンデミックが収束し、すべての規制が解除された場合、毎日自宅で仕事をしたいと答えています。南アフリカ、メキシコ、サウジアラビア、ペルー、インド、アメリカでは3分の1以上の人がその意向を持っています。一方、別の25%の人は、曜日に関係なく自宅で仕事をしたくないと答えています。ベルギー、ポーランド、フランス、日本、ドイツ、スペインでは3分の1以上がその意向を持っています。週5日勤務のうち、自宅で仕事をしたいと考える日数は、インドでは3.4日、中国、ベルギー、フランスでは1.9日と、幅があります。
調査対象国全体では、平均して30%の人が、もし雇用主がフルタイムで自宅外での勤務を求めた場合、同じ給料と責任のある別の仕事を探すことを検討すると回答しています(「強く同意する」が12%、「やや同意する」が18%)。この意見に同意する割合が高かったのはインド、サウジアラビア、ペルー、マレーシアで、一般的には35歳以下で高くなっています。しかし、日本、韓国、ロシア、フランス、ドイツ、ベルギー、スウェーデン、シンガポール、中国では「強く同意する」が10%に満たないという結果です。
働く人々は柔軟性を求めている
働く人々は在宅勤務に対して肯定的なイメージを持ち、より柔軟な対応を望んでいます。
- コロナによる規制がなくなった場合、雇用主は従業員のオフィス出社に関する要求をもっと柔軟にすべきだという意見が、どの国でも過半数を占めている(ドイツの53%からインドの81%まで、世界平均では66%)
- ほぼすべての国で、過半数の人がオフィスでの在勤時間を柔軟にしたいと回答(中国、シンガポール、サウジアラビア、韓国では4人に3人以上)
- フレキシブルな勤務形態の方が生産性が高いという意見に反対する人はほとんどいない(世界平均では11%、賛成は65%)
一般的には、高学歴層、富裕層、女性、若年層、18歳未満の子供を持つ親がこのような意見を持つ傾向にあります。
在宅勤務の欠点
自宅で仕事をすることの欠点について、世界平均では・・・
- 52%が「同僚と一緒にいられないのが寂しい」
- 38%が「自宅は生産性を上げるのが難しい場所だ」
- 37%が「自宅で仕事をすると仕事への意欲がなくなると感じる」
- 33%が「在宅勤務だとより仕事で燃え尽きると感じる」
このような考え方は、サウジアラビア、トルコ、インド、マレーシアで見られ、より一般的には18歳未満の子どもを持つ親に多く見られます。
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