世界の消費者は化石燃料からの転換を支持 ー エネルギー価格の高騰による購買力低下を懸念

気候変動政策よりも、市場の変動や地政学的緊張を価格上昇の原因として挙げる人が多いようです:世界経済フォーラムのためのイプソス調査

イプソスが世界経済フォーラム World Economic Forum のために実施した新しいグローバル調査によると、世界中のほとんどの消費者がエネルギー価格の上昇によって購買力が影響を受けると予想しているにもかかわらず、原因として気候変動政策を挙げる人はほとんどいないことがわかりました。この調査では、調査対象となった30カ国すべてで、化石燃料からの脱却の重要性についてコンセンサスが得られています。

Global views on sustainable energy: key findings

この調査は、2月18日~3月4日、イプソスのオンライン調査プラットフォーム「Global Advisor」で、75歳以下の成人22,534人を対象に実施されました。  

調査結果の詳細

エネルギー価格高騰が消費者の購買力に与える影響 

調査対象者には、交通機関、自宅の冷暖房、料理、家電製品の電源など、毎日使うすべてのエネルギーとその料金を考え、エネルギー価格の上昇が全体の購買力にどの程度影響を与えるかを評価してもらいました。平均して55%が値上げが自分の購買力にある程度影響を与える、または大きな影響を与えると回答していますが、国によって大きな差があります。南アフリカ、日本、トルコでは3分の2以上がそう答えているのに対し、スイスとオランダでは3分の1強にとどまっています。

世界的に見ると、エネルギー価格の継続的な上昇によって自身の全体的な購買力に大きな影響が及ぶという予想については、人口層による違いはほとんど見られません。ただし、低所得者層と35-49歳においては、懸念が若干高くなっています。

エネルギー価格上昇の原因について画一的な見方はない  

ほぼすべての国において、消費者はエネルギー価格上昇の主な原因について多様な見解を示しています。グローバル平均では、約4分の1(28%)が石油・ガス市場の変動を、さらに4分の1(25%)が地政学的緊張を、18%が需要増に対する供給不足を、そして13%のみが気候変動政策を、それぞれ挙げています。1つの例外を除いて、どの国でも過半数を占める理由はありません。

  • 市場変動は、メキシコ(40%)、韓国(38%)、ペルー(36%)、サウジアラビア(36%)で価格高騰の原因として最も多く見られた 

  • 地政学的緊張は、オランダ( 54% - 唯一過半数を占める理由として挙がる )、ベルギー(46%)、イタリア(42%)で最も非難される原因である 

  • 供給不足は、南アフリカ(37%)、マレーシア(28%)、アルゼンチン(28%)で多く挙げられている。

  • 気候変動政策は、インド(24%)、ドイツ(20%)、ポーランド(19%)で非難する声が最も多い。人口層別ではビジネス意思決定者(19%)が多い。しかし、どの国、どの人口層でも、気候変動政策が理由の第1位というわけではない

化石燃料からのシフトの重要性についてのコンセンサス

世界の調査対象者の平均5人に4人以上(84%)が、今後5年間に自国が化石燃料からより気候変動の少ない持続可能なエネルギー源に移行することが重要であると回答しています。ロシアでは72%、米国では75%、南アフリカとペルーでは93%と、どの国でも過半数がそう答えています。特に新興国の市民は、そのことを強く望んでいます。 

世界的に見ると、化石燃料からの脱却は、全ての人口層で非常に高い重要性を持っています。唯一男女間の違いは、化石燃料からの脱却を重要視する割合が、男性(81%)より女性(87%)の方が6ポイント高いということです。

世界経済フォーラムの記事を読む(英語)


これは、2022年2月18日~3月4日、米国、カナダ、アイルランド(共和国)、マレーシア、南アフリカ、トルコでは18歳~74歳、その他24カ国では16歳~74歳の成人を対象に、イプソスのグローバルアドバイザー オンライン調査プラットフォームで実施した30カ国の調査結果です。

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