イプソス グローバル ヘルスサービスモニター(Ipsos Global Health Service Monitor)は、現在人々が直面している最大の健康上の課題と、その課題に取り組むために自国の医療サービスがどの程度整備されていると考えられているかを調査する年次調査です。イプソス・グローバルアドバイザー Global Advisor online platform のオンライン調査プラットフォームで、2022年7月22日~8月5日にかけて、世界34カ国で調査を実施しました。
主な調査結果
- 新型コロナウイルスは流行3年目も、世界中の人々が直面する最大の健康問題(世界全体の47%、2021年の70%から減少)として位置づけられている。
- メンタルヘルス(36%)は、2021年から5ポイント上昇し、2番目に大きな懸念事項となった。3 位となった「がん」(34%)を初めて上回った。
- 国民の医療サービスに対する認識は依然として良好で、半数が自国のサービスを肯定的に評価し、53%が最高の治療を受けられると信じている。
- しかし、今後数年間で医療サービスが向上すると考えている人はわずか3分の1(33%)であり、医療制度が手薄であること(61%)、医療へのアクセスとスタッフの不足が最大の問題(42%)であることは一致している。
健康上の懸念
新型コロナウイルスは3年連続で1位を維持し、世界各国平均で47%が言及していますが、2021年に比べて23ポイント減少しています。新型コロナウイルスへの懸念が最も高い国は日本(73%)で、2位はペルー(66%)です。
自国での健康上の懸念について考えるとき、「メンタルヘルス」が初めて2位を占め、「がん」を追い越す結果となりました。メンタルヘルスは、スウェーデン(63%)、チリ(62%)、アイルランド(58%)で懸念事項として最も多くなっています。2020年以降、前年比5ポイント上昇し、現在36%となっています。
がんは依然として顕著な懸念事項であり、3分の1強(34%)が最大の懸念事項であると認識しています。ポルトガルの懸念度は79%と他国を大きく上回っており、圧倒的に大きな懸念となっています。次いで、2 位のベルギーでは、59%ががんを主な健康上の懸念事項として挙げています。
医療に対する認識
パンデミックはまだ続いているものの、今回の調査で対象となったほとんどの国で、半数以上が自国の医療制度の質を「良い」と評価しています。中南米と中央ヨーロッパでは、医療が行き届いていないとする回答が見られます。南米のブラジル(31%)、メキシコ(31%)、ペルー(35%)、同様に、中央ヨーロッパのハンガリー(53%)とポーランド(43%)も際立っており、かなりの割合の人が自分たちの医療サービスは貧しいと考えています。
将来について尋ねると、その見通しはまったく楽観的ではありません。3分の1(33%)は今後数年間の医療の質は向上すると考えており、20%は悪化すると見ています。ラテンアメリカの人々は、現在の悲観的な見方とは逆に、世界の他の地域との比較において自分たちの将来をより楽観的に考えているようです。コロンビア(71%)、ブラジル(62%)、ペルー(59%)はいずれも医療の質が向上すると見ていることがわかりました。一方、ハンガリー人の約半数(45%)は悪くなると考えており、フランス(43%)、英国(43%)も否定的な見方を示しています。
各国の医療体制が危機に瀕していることは、広く認識されています。世界の5人に3人(61%)が自国の医療制度が手薄であることを認識しています。今回調査に新しく加わったポルトガルが87%で1位、次いで英国(83%)で、その懸念は長年にわたって一貫しています。
医療の課題
また、自国の医療制度が抱える主な問題点として「治療へのアクセス/待ち時間」が浮上し、世界各国平均で10人に4人が選択していることがわかります。2018年にこの調査を開始して以来、初めて「職員の人手不足」と共に1位となりました。治療にかかる費用は、世界で3番目に選択された問題です(31%)。官僚主義を最大の医療課題としている国はありませんが、それは主要な問題の中で広く認識されています。
ハンガリー、チリ、ポルトガルでは、待ち時間が特に大きな問題となっています(各国とも65%が待ち時間を課題と回答)。しかしながら、「職員の不足」については、このパターンは当てはまりません。スウェーデン(76%)、フランス(69%)、オランダ(67%)が上位を占めています。
リストの中ではやや下位に位置していますが、回答者の4分の1(25%)にとって官僚主義は依然として課題となっています。アルゼンチンでは、投資不足(44%)に次いで、43%がこの問題を課題として挙げています。他のラテンアメリカ諸国では、メキシコ(41%)、ペルー(39%)が課題に挙げています。
上位の課題以外では、予防医療への投資不足(22%)、一般的な投資不足(20%)が次点に挙げられています。アジア諸国の一部では、人口の高齢化が課題として捉えられています。日本(52%)、韓国(51%)、中国(46%)です。
本調査について
これらは、イプソス・グローバルアドバイザーのオンライン調査プラットフォームで実施された34市場の調査の結果です。2022年7月22日(金)~8月5日(金)にかけて、米国、カナダ、マレーシア、南アフリカ、トルコの18~74歳、タイの20~74歳、インドネシアの21~74歳、その他27市場の16~74歳の成人を対象に、23,507人のオンラインインタビューを実施しました。