中国の建設機械・機器市場
インフラの発達は、どのような経済においても、成長の基本である。インフラによって、政府や産業界にとってふさわしい環境が創生され、その環境によってGDPの力強い成長が促進される。また、「発展途上」から「経済先進」へと変わりゆくプロセスで見ると、インフラがあればこそ、そのプロセスの各段階における経済発展につながるのである。中国のインフラに対する巨額の投資については、文書などで十分に裏付けられ、理解もされている。しかし、中国国内や地域、小区域のインフラを発展させるという観点では、まだやるべきことがたくさん残されている地域がたくさんあるのが現状だ。中国に加え、インド、アフリカ、中東、東南アジア、およびラテンアメリカはすべて、インフラの継続的な発展を見据えた野心的な計画がある地域だと言える。また、5大陸の発展途上国では、都市化だけでなく、建材セグメントで最新技術への移行も急速に進んでいる。すなわち、建設産業では、将来高い収益性が見込めるのは明らかなのである。
特に中国に目を向けると、イプソス・ビジネスコンサルティング(Ipsos Business Consulting)は、建設機材の市場においてグローバル企業、地域の企業、および現地の企業に、興味深い成長の機会がまだまだあると考えている。世界経済の舞台に中国が参入すると同時に、成長期が長い間続いてきたが、同国の建設車両産業は、困難な時期に直面している。2011年に中国国内で販売された建設機材(以下、CE: construction equipment)のユニット数ピークを迎え、その数は97万5,000であった。しかし、2015年の販売ユニット数は、64万8,000にまで減少している。中国は、ヨーロッパ、中東、アフリカの経済中心部と国内のインフラを結ぶという「ワンベルト・ワンロード」構想の完遂を野心満々に計画しているものの、このように、販売ユニット数が減少している状態が、同産業界の至るところで感じられている。
とは言え、中国全体に見られる建設業の減速が、そのまま「建設業への投資を避けるべきだ」と意味するわけではない。昨年、CEの売上は大変好調であった。これは、中国で稼働しているCEの多くが、保証期間を過ぎているか、あるいは、保証期間の期限に近づいていることを示している。すなわち、企業が、適切に市場戦略を計画・実行すれば、潜在的な収益性が高い、長期間継続するアフターマーケットが、今まさに開放されてきていると捉えられる。
新しい建設機材の年間売上---中国