気晴らしは食べ物で:コロナ禍で食べ過ぎと運動不足を認める傾向は女性のほうが強い

専門家によると、女性はさまざまな心理的要因のために「感情的な食事」に走る傾向があります。

Women and overeating, exercising during Covid-19 | Coronavirus | Ipsosコロナウイルスが世界的大流行している中での隔離期間中に、ソーシャルメディア上には料理のレシピや、人々が食べたり料理したりしている画像がたくさん上がっています。

私たちはいろいろな社会的行動をを制限されているため、食事や食べ物のことを考える時間が多くなっています。SNS上の画像などで、おいしそうな食事を見ると満足感があるように感じるかもしれません。しかしこのコロナ禍の間、ストレスや不安を和らげるために食べ過ぎている人はどれくらいいるでしょうか。

世界16カ国で16,000人以上を対象にしたグローバル調査によると、コロナ禍が原因で悩まされている健康上の問題のなかで、運動不足、不安感に次ぐ第3位が「食べ過ぎ」です。

対象の16か国のうち、15カ国で女性のほうが男性よりも食べ過ぎを認める傾向が強く、最も男女差が大きいのはカナダとロシア(いずれも13ポイント差)、次いでイギリス(12ポイント差)、インド(10ポイント差)、オーストラリア、韓国、アメリカ(いずれも9ポイント差)と続きました。

女性で食べ過ぎと回答した割合が高かった国はブラジル (39%) 、南アフリカ、メキシコ (いずれも29%) 、カナダ (28%) 、イギリス(25%) でした。

専門家によると、新型コロナウイルスによる追加の負担に加えて、女性特有の対処メカニズム、社会的固定観念、日常生活の乱れが組み合わさって、女性が普段よりも多く食べていると感じている可能性があります。

Who's most likely to overeat due to Covid-19? | Coronavirus | Ipsos

感情的な食事、食事の量、固定観念

モントリオールにあるマギル大学のBarbel Knaupe教授 (健康心理学研究所所長) は、ネガティブな感情に反応して食べ過ぎてしまう 「感情的な食事」 は、男性よりも女性の方が常に多く見られると述べています。

「一般に、これは男性よりも女性の方が抑うつや不安感の発生率が高いことと関連している可能性があり、感情的な食事はネガティブな感情に対処するための多くの対処メカニズムの1つだ」とKnaupe教授は言います。

「女性と男性で食事に対する考え方が異なるわけではなく、むしろ感情的な食事は、抑うつや不安感の可能性が高い女性にとってはより一般的な対処メカニズムであると考えられる。」

不安感はこの調査で2番目に多く挙げられた健康上の懸念であり、11カ国で少なくとも4分の1の人々がこれに悩まされていると回答しました。また、抑うつは5番目に大きな懸念でした。男性の方が抑うつを感じる割合が高かった日本と中国を除くすべての国で、女性は男性よりも不安感と抑うつを挙げる傾向が強くなっていました。

ルクセンブルク大学で臨床および健康心理学の教授を務めるClaus Vogele教授と臨床心理学の博士研究員であるAnnika Lutz氏によると、女性は男性よりも頻繁に過食を報告し、また体重や体形を変えるために食事制限をするため、食事での障害をより頻繁に経験することで知られているそうです。

「このため女性は、自分のダイエット計画よりも多く食べていると考えるので、食べ過ぎと回答する傾向が強くなる可能性がある」と彼らは述べました。

「適切な食事量に関する社会的固定観念も男性と女性で異なる。その結果、男性の方が社会的に受け入れられる食事の量が多いため、男性の食べ過ぎと回答する割合が比較的少なくなる可能性がある。」

ウィスコンシン大学医学部・公衆衛生学部の心理学者であるShilagh Mirgain教授も、男性は食事の量が多いことを認める傾向が高い一方で、女性は自分の食べる量をコントロールできなくなり、体形の不満など、悪い結果を経験する傾向があると述べています。

「女性はまた、男性よりもストレスを溜め込み、精神的に自分を責める傾向がある」とMirgain教授は述べました。「感情的な過食は男性よりも女性に多くみられるが、これはおそらく女性が表現、経験する感情の強さの表れだろう。」

体形については、メキシコ、スペイン、中国、ブラジルを除くすべての国で、「運動不足」と回答した割合は女性のほうが男性よりも高いという傾向が見られました。

仕組みの喪失、退屈感、年齢

専門家は、これらの社会的要因と生物学的対処メカニズムは、コロナウイルスの大流行によるソーシャルディスタンスと隔離によって悪化していると述べました。

Mirgain教授によると、人々は組織の喪失や、ジムに行くなどの定期的な対処戦略の喪失を経験しており、また、食料品の買い物や買いだめも影響している可能性があります。

「普段食べている食品が手に入らないと多くの不安が生じる。自分ではどうすることもできないと感じ、不安や無力感が増すと、気晴らしのために食べ物に頼るのはとても簡単なことだ」とMirgain教授は述べました。「大きなストレスの下では、ほとんどの人は自動的に過去の対処戦略に戻る。女性の場合、感情的な食事に頼ってしまうことも含まれる。」

一方、Knauper教授は、感情的な食事の主な理由の一つは退屈であり、人々はほとんどの時間を自宅で過ごしているので、より退屈していると付け加えます。

「さらに分析すると、これが一人暮らしと関係があるかどうかを調べることができる。例えば、若い女性は年上の女性よりも退屈を感じ、過食を起こしやすくなる。」とKnauper教授は言います。

調査によると34歳以下の若い女性は、すべての年齢層の中で最も過食を挙げる傾向がありました。また、不眠や不安感、抑うつに悩んでいると挙げる傾向も最も強いという結果でした。

Vogele教授とLutz氏は、食事の問題は思春期と青年期の最初に頻繁に発生し、これには過食、ダイエットだけでなく摂食障害の臨床症状も含まれると述べました。

Mirgain教授はまた、私たちが成人期に入り、高等教育を受けたり、結婚したり、パートナーと一緒に親の立場となって暮らしたりするなどのライフスタイルの変化を経験するのは、この時期であると述べました。

「この発達段階では、迷子になったように感じたり、舵が取れないと感じることはよくある。その結果、女性は対処戦略として食事に目を向けるようになり、過食への対応力が最も弱くなる可能性がある。」

これに加えて、女性は家族の面倒を見ることが多く、コロナ禍により、普段家庭で行っていることに加えて、その責任が増加している可能性があります。その結果、定期的な運動や健康的な食事などのセルフケアが「後回しにされている」可能性があります。

食べ過ぎをさけて対処するためには

過食や運動不足で体重が増やさず、糖尿病などの長期的な病気にかからないようにするために、女性が食べ物以外のもので自分を落ち着かせる方法はいろいろあると専門家は言います

Knauper教授は、Netflixを見ながら食事をするなど、前よりも多く実行するようになった、過食を打破できそうな取り組みやすい行動、すなわち既に進んでいる新しい行動を特定してモニターすることが重要だといいます。

「幸いなことに、新しい習慣はまだ十分に確立されていないので、変更するのは比較的簡単だ。」

Mirgain教授は、女性は自分の感情を 「詰め込む」 のではなく、日記に書いたり、信頼があり安心できる人と話したり、表現することを手助けするものを作ったりすることで、感情を処理することを勧めています。

「何かを造ることで自分の感情を表現しよう。芸術作品、ビジョンボード、コラージュ、お菓子作り、TikTokダンス、ガーデニング、書くこと、なんでもいい。人と連絡を取ったり、ビデオチャットをしたり、バーチャルな社交の時間を計画したりして、サポートの基盤を築こう」と彼女は言いました。

Mirgain博士はまた、自分自身に思いやりを持ち、定期的な睡眠のように私たちの免疫システムを健康に保つのを助けるために、セルフケアを優先することが重要であると言っています。

「感情やきっかけを十分に認識し、自分が一人ではないこと、他の人が同じように感じていることを知り、言葉、触れ合い、行動を通じて自分に優しさを与る」と述べました。

一方、Vogele教授とLutz氏は、家や外で運動する時間を見つけ、その時間帯を守ることを勧めています。しかし、あなたが食事に夢中になっているなら、ゆっくりと楽しんでください。
「味や食体験に気持ちを向け、特別な日にしよう」と彼らは言いました。「そうすれば、食べ物をがつがつ食べる代わりに、食べ物をご褒美にできる。」

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