消費者はエネルギー供給事業者にイノベーションを求める
最新のイプソスの調査によると、世界の消費者の83%が「早急に自分たちの習慣を変えなければ環境破壊に向かう」という意見に同意しています。消費者、企業、政府すべてが、気候変動の有害な影響と闘う責任を共有しているという強い信念があるのです。オンラインでは、#sustainability のソーシャルボリュームが過去1年間で倍増するなど、消費者はすでにこの問題への関わりを示しています。

ESG の中で社会的な要素の言及が増えたものの、環境関連のトピックが依然として勝っています。消費者に、以下の3つの行動のうち、温室効果ガスの削減に最も効果があると思うものはどれか、と尋ねたところ、再生可能エネルギーの電力購入への切り替え(30%)が、リサイクル(49%)に次いで2位となっています。
しかし、実際には、エネルギー分野(特に熱や電気を生産するための化石燃料の燃焼)が、世界の温室効果ガス排出量、ひいては地球温暖化に最も大きな影響を及ぼしているのです。世界的に見ると、温室効果ガスの主な排出源は、電気と熱(31%)、農業(11%)、輸送(15%)、林業(6%)、製造業(12%)です[1]。
オンラインでは、消費者の間で、エネルギーのサステナビリティ活動の一翼を担い、地球の健康を支えるためにできることをしようという関心が明らかに高まっています。太陽光発電は、サステナビリティに関する話題の中で最も多く取り上げられているものの一つです。また、気候変動に関連するソーシャルメディア上の会話では、「化石燃料」と「天然ガス」が否定的な感情を伴うフレーズの上位に挙げられています[2]。

エネルギー産業の課題はこれだけにとどまりません。イプソスによる最新の「レピュテーションカウンシルレポート Reputation Council report 」では、世界で最も尊敬される企業のシニアコミュニケーター117名に、現在どの業界が最大のレピュテーションの課題に直面しているか質問しています。ウクライナ紛争、生活費の危機、ネットゼロ、エネルギー安全保障、風評税など、世界的な状況を考えると、当然のことながら、カウンシルメンバーの半数近く(46%)がエネルギー/石油・ガス業界をレピュテーションの課題に直面しているトップの業界であると回答しています。メンバーの一人は「大手石油会社やエネルギー会社は、二酸化炭素排出量を削減していることを示すよう強く求められていると思う。そこに大きなスポットライトが当たっているのだと思う」と述べています。
ソーシャルデータと調査データの双方から、エネルギー効率の分野におけるイノベーションに対する消費者の強い要望がうかがえます。このことは、世界のエネルギー事業者にとって、二酸化炭素排出量削減の努力をする消費者をサポートし、エネルギーコストも削減できるようなソリューションを開発するプレッシャーであると同時に、チャンスであることを示しています。
エネルギー事業者が消費者の意識の変化に対応し、イノベーションの新しい機会を見出すために、イプソスとSynthesioは新しいシンジケートサービスを開始しました。Energy & Utilities consumer pulseです。 ソーシャルデータから得られるオンデマンドのインサイトと分析により、事業者は以下のことが可能になります。
- 主要なトピックや競合他社の動向を把握することで、自社の市場やブランドに対する認識を深めることができる。
- エネルギー業界における消費者のアンメットニーズや消費者主導の新しいアイデアを見出す。
- ESGのミッション、メッセージング、コミュニケーション戦略に影響を与える可能性のある新たなトレンドを特定し、予測する。