アースデイ 2021:「気候変動に対処する計画は?」世界の人々の疑問
イプソスが2021年2月19日~3月5日、30市場の成人を対象にオンラインで実施した新しいグローバル調査によると、世界平均では「政府、企業、国民自身がどのように協力して気候変動に取り組むかについて自国の政府が明確な計画を持っている」という意見に同意しているのはわずか31%であることがわかりました。34%は同意していません。
2021年4月22日、ロンドン – 2021年は、気候、生物学的多様性、食料、海洋に関する主要な協定が進行中で、国際的な環境政策にとって「スーパーイヤー」となります。しかし、環境への関心が高いにもかかわらず、この計画に対する一般の人々の認知度は低いため、もっと効果的に環境問題の解決に関わってもらうことができるのではないかと考えられます。
今回の調査対象となったすべての国はパリ協定に署名しており、ほぼすべての国が気候変動に取り組むための計画である初期のNDC(国が決定する貢献)を提出・公表しています。これらのNDCは2021年に更新される予定であり、グラスゴーで開催されるCOP26では、これらの計画をより野心的なものにするよう働きかけることが大きな焦点となります。
同時に、人々は責任の重さを感じており、72%が「一般の人々が気候変動対策のために今すぐ行動しなければ、将来の世代を失望させることになる」という意見に同意しています。全調査対象者の68%が「企業が気候変動対策を行わなければ、従業員や顧客を失望させることになる」という意見に同意、また65%は「政府が気候変動対策を行わなければ国民を失望させることになる」という意見に同意しています。
調査結果から
- 世界平均では「政府、企業、国民自身がどのように協力して気候変動に取り組むかについて自国の政府が明確な計画を持っている」という意見に同意しているのはわずか31%です。この意見への支持が高いのはサウジアラビア(64%)、中国(61%)、インド(58%)で、低いのは米国(18%)、日本(16%)という結果となりました。なお、今回の調査は、ジョー・バイデン大統領が2020年1月20日に米国をパリ協定に復帰させた後に実施したものです。
- 特定の日までに温室効果ガスの排出量をネット・ゼロにするという法的拘束力のある公約をしている国では「自国の政府が明確な計画を持っている」という意見に対する国民の同意は高くありません。世界平均の同意は31%ですが、英国(28%)、フランス(24%)、ハンガリー(24%)では、2050年までにネット・ゼロに到達することを約束しているにもかかわらず、同意率はそれほど高くありません。2045年までにネット・ゼロを達成するという法的拘束力のある協定があるスウェーデンでは、政府が明確な計画を持っていると回答した人は23%にとどまっています。
- 優先事項が競合する年に「自国の政府が気候変動対策を行わなければ国民を失望させることになる」という意見に対する同意の世界平均は65%で、2020年調査(68%)よりもわずか3%低下しました。2020年調査は昨年3月12日にWHOがコロナウイルスをパンデミックと宣言する直前に実施されました。同意率が最も高いのはチリ(84%)、南アフリカ(83%)、コロンビア(82%)で、最も低いのはロシア(42%)とサウジアラビア(38%)です。
- しかし、コロナ禍からの景気回復において、気候変動への対応を優先すべきか、あるいは優先すべきでないかについては意見が分かれています。世界平均では、気候変動を景気回復のための優先事項とすべきではないとする意見が36%、反対が35%となっています。気候変動への対応を優先すべきではないという意見は、インド(52%)で最も高く、コロンビア(28%)で最も低くなっています。
- COVID-19とその蔓延を抑制するための行動により、航空機での移動、自動車での移動、必要に迫られてではなく楽しみのために買い物をするなど、環境への影響が比較的大きいいくつかの行動が制限されました。いったん規制が解除されると、これらの行動はパンデミック前よりも持続可能性の低いライフスタイルに戻ってしまうのではないかという懸念もあります。しかし、今回の調査によると、一般の人々はそのような事態になるとは考えていないようです。
- パンデミックによって行動が変化しました。すべてではないにしても、こうした変化の一部はすべての制限が解除された後も継続する可能性があります。例えば、39%の人は、パンデミック前よりも規制が解除された後の方が、食品廃棄物を出さないようにすることができると考えています。また、約3分の1(34%)の人が、車ではなく徒歩や自転車での移動が増えると予想しており、同様の割合の人(34%)が、楽しみのための買い物ではなく、本当に必要なものだけを買うようになると予想しています。また、10人に3人(31%)が、パンデミック前よりも通勤時間を短縮し、自宅で仕事をするようになると答えています。
- 世界平均では69%が「気候変動への取り組みにおいて自分の役割を果たすために、どのような行動をとるべきか理解している」と回答しています。しかし、イプソスのPerils of Perception 調査によると、必ずしもそうではないことがわかっています。私たちは、ベジタリアンになることや飛行機に乗ることなど影響の大きい行動を過小評価し、過剰な包装を避けることなど影響の小さい行動を過大評価しています。これらの行動はすべて変化をもたらすものですが、それぞれの相対的な影響を理解することも重要です。
来年以降のさらなる行動変化の可能性は?
- 2021年は政治的な気候変動対策にとって「スーパーイヤー」であるにもかかわらず、国民が自らの気候変動対策を例年よりも加速させようとしているというエビデンスはありません。今後1年間で環境に配慮した変化をすることへの期待は、2020年3月12日にWHOがコロナウイルスのパンデミックを宣言する直前からほとんど変化しておらず、2014年と同程度です。
- 今後1年間で気候変動に対処するためにどのような変化を起こそうとしているかを尋ねたところ、過剰な包装を避けることは依然として最も人気のある変化であり、世界平均で59%が今後1年間でこの変化を起こすと回答しています(2020年は57%)。食生活の変化(「乳製品の摂取量を減らそうとしている」と回答したのは39%、「その可能性は低い」は44%、「肉類の摂取量を減らそうとしている」と回答したのは43%)、フライトの回避(今後1年間で回避する可能性があると答えたのは45%)など、影響度の高い行動については変化の意図が低いものの、2020年以降これらの対策についての変化への期待はわずかに増加しています。
- すでにできる限りの対策をとっていると感じている人の割合は、COVID-19パンデミックが本格的に発生する以前の2020年初頭とほぼ変化がありません。
環境に関する「Perils of Perception 認識の危険性調査」も併せてご覧ください