Flair Ivory Coast 2019:私たちは一つか?
イプソス・フレアの最新版は、アフリカの国々から初めて取り上げた「コートジボワール」です。「アフリカで最も急速に成長している国」として知られるこの国についてイプソスは、経済、消費者動向のほか、ジェンダーの不平等や若者が伝統的なライフスタイルに背を向けるといった社会の変化を分析しています。コートジボワールに関する10のポイントは以下の通りです。
1.コートジボワールはフランス語圏アフリカの中核国であり、その中心はアビジャン
ダカールは台頭しつつあるが、アビジャンは依然としてフランス語圏アフリカのファッション、音楽、メディア、デジタルの中心である。アビジャンはフランスの放送局CANAL+の汎アフリカチャンネル、A+の拠点だ。TVチャンネルVoxAfricaは最近、アビジャンにアフリカ事務所を開設した。フランスのメディアグループLagardère Activeは、コートジボワール最大の都市で2つの新しいラジオチャンネルを立ち上げ、そこからアフリカのコンテンツ事業を運営している。ソニー・ミュージックもユニバーサルも、アビジャンにあるレコーディングスタジオを使って、次なるアフリカのポップスターを見つけようとしている。
2.コートジボワールは魅力のある投資先
最近の度重なる危機にもかかわらず、コートジボワールの経済は過去7年間で回復している。現在は「アフリカで最も急速に成長している国」として知られている。コートジボワールの2017年の成長率は8%で、GDPはアフリカ54カ国中5位である。2012~2016年の投資の平均成長率は44%で、投資先は、大規模なインフラ・プロジェクトによる建設(25%)、技術(17%)、アグリビジネス(15%)、運輸(13%)、プラスチック(5%)などである。
3.しかしコートジボワールは経済を多角化しなければならない
コートジボワールの経済の脆弱性は最近のココア価格の25%の下落によって再び浮き彫りになった(1980年以来繰り返されている問題)。ココアは同国のGDPの40%を占めており、経済はこの作物の非常に不安定な価格に依存しすぎている。コートジボワールの国家開発計画は、主に経済の多角化に基づいている。通信、金融、建設、運輸は、将来の経済成長を支えるはずだ。これらの分野では、都市人口の増加から恩恵を受けるはずであり、政府は製造業と農業生産からの転換に向けて、海外からの直接投資を呼び込もうとしている。
4.コートジボワールにはもっと購買力が必要
2012年以降の急速な成長(毎年8%から9%)は、貧困率にわずかな影響しか与えておらず、2012年の48.9%から45%へとわずかに低下したにすぎない。今日では、インフレと賃金の停滞、衛生設備を口実とした近隣地域全体の立ち退き、慢性的な水と電力の不足、大卒者の大規模な失業、高い犯罪率などすべてが、大きな不満の原因となっている。誰がこの経済成長の恩恵を受けているのか、という疑問が高まっている。地元の人々が言うように、「橋の上の人々だけに食べ物を与え、汚名を着せることはできない。」(“You can’t just feed people on bridges and tar.”)
5.極端な階級社会
有力な一族が政治やビジネスを支配している。独立以来60年間、その後の政権交代によっても彼らの既得権益は損なわれなかった。全人口のわずか15%に過ぎない中流階級は、制度化された相互扶助(アフリカ社会の特徴)に頼って社会の階段を上り、「ガラスの天井」を破ろうとしている。下級公務員や職人、商店主といった「上級労働階級」は、生存ギリギリのラインと経済的安全圏の中間に位置する。彼らの野望は、わずかな、しかし成長しつつある中流階級に加わり、その習慣と価値観を取り入れることだ。人口の40%は、月10万CFAフラン未満で貧困ライン以下の生活を送っている。失業、低賃金、文盲が彼らの運命だ。
6.コートジボワールの女性は立ち上がる
男女格差は依然として大きい。女性の平均所得は男性より59%低い。読み書きのできないコートジボワール人の71%は女性であり、農業従事者人口の68%を女性が占めているにもかかわらず、慣習法によって相続権や土地所有権を否定されている地域もある。アビジャン大学の学生6万人のうち、女性は10%に過ぎない。それにもかかわらず、ますます多くのコートジボワールの女性たちが、自らの運命を自らの手に委ね、伝統的な家父長制社会の束縛からの解放を決意している。コートジボワールの女性の2人に1人(49%)は公式に雇用に就いているが、非公式な雇用を含め、女性全体の72%近くは労働しているはずである。女性の四人に一人(24%)が世帯主である。
7.コートジボワールの若者は待ちきれなくてイライラしている
若者たちは伝統的なライフスタイルや価値観に背を向け、インターネットやソーシャルネットワークに熱心だ。彼らは、その瞬間を生き、支出する新しい生活様式を生み出している。この層は巨大で、35歳未満の人口が全体の78%を占め、また、15歳から34歳の人口が全体の36%を占める。この「慌ただしい世代」は、豊かさへの近道を求めている。彼ら定義するのは、起業家精神、言論の自由、快楽主義、経済的自立といった項目だ。
8.コートジボワールは移民の国
コートジボワールは人を歓迎する国だ。多くのフランス市民がまだアビジャンに住んでいる。2014年の国勢調査では、総人口の24%が外国生まれであることがわかった。コートジボワールには数十万人の不法移民が住んでいることがわかっている。忘れてはならないのは、アフリカの人口移動の86%は複数のアフリカ諸国間で起きており、アフリカ大陸へ、または、アフリカ大陸からの移動ではないということだ。このようなホスピタリティの伝統は、膨大な人手を必要とするコートジボワール経済の強さの要因であると同時に、同国の脆弱な民族宗教的バランスにおいては真の難問でもある。アイデンティティの問題は深刻な政治的・社会的危機を引き起こしたが、傷はゆっくりと癒えつつある。民族間、宗教間の共生は、今日のコートジボワール社会が直面する主要な課題の一つである。
9.コートジボワールではデジタル化が進む
わずか6年で、携帯電話のユーザー数は1600万人から2450万人に、インターネットのユーザー数は20万人から1000万人に増加し、Facebookのユーザー数は300万人を超えた。800万人以上のコートジボワール人がモバイル銀行口座を持っており、毎日の送金額は150億CFAフラン以上になる。デジタル化は、モバイル通信とeコマースの急速な発展を促した。他のアフリカ諸国と同様、デジタルソリューションはハード面のインフラの不足を補うことができる。2015年に設立されたコートジボワールのバーチャル大学は、大規模でオープンなオンラインコースを提案することで、優れた教育への需要の高まりに国が対処するのを支援しようとしている。すでに7000人近くの学生が在籍している。
10. コートジボワールは祝う行事でいっぱい
伝統的な祭りや文化行事は年を区切りるものだが、民族や宗教の多様性が高まるにつれてその数は増えてきている。ボヌアのポポ・カーニバル、仮面カーニバル、ヤム・フェスティバル、アビッサ、独立記念日、そしてパキヌー、クリスマス、ラマダンなどの宗教的な祭事・・・このような祭りは全て、消費とビジネスを刺激する。最近では、バレンタインデー、フェムア(ウルバイネス音楽祭)、ミュージックデー、グリルフェスティバル(sic!)、芸術文化フェスティバルなどのイベントも追加された。これらのイベントは、ブランドと消費者のコミュニケーションの機会を多く提供している。