中絶は合法であるべきー世界の5人に3人がそう回答

調査対象27カ国中22カ国で、賛成派が反対派を上回っています

イプソスが27カ国で行った調査では、平均で59%の調査対象者が「中絶はすべてあるいはほとんどのケースで合法であるべきだ」と答え、26%がすべてあるいはほとんどのケースで違法であるべきだと答えています。中絶を合法とする人が、合法でないとする人を上回ったのは22カ国で、特にスウェーデン、ベルギー、フランス、オランダの4カ国では、より多くの人が合法であるべきだと答えています。反対が優勢なのは、ペルー、インド、マレーシア、コロンビアの4カ国だけでした

中絶を合法とすべきかどうかについての見解は、状況によって異なります。27カ国を平均すると、調査対象の5人に4人は、妊娠が女性の生命や健康を脅かす場合、4人に3人はレイプの結果である場合、そして3人に2人は、赤ちゃんが重度の障害や健康問題を抱える可能性がある場合に、中絶が許可されるべきと答えています。妊娠6週目までの女性の中絶は合法とする意見は過半数(62%)で、妊娠14週目までは45%、妊娠20週目までは27%となっています

Should abortion be legal?

本調査は、75歳以下の成人20,523人を対象として、2022年6月24日~7月8日に、イプソス・グローバルアドバイザーのオンライン調査プラットフォームで実施されました。

調査結果の詳細

合法的な中絶の権利に関する見解の地理的・人口統計的な違い

中絶に対する考え方は様々で、世界の平均では、10人に3人が「すべてのケースで合法であるべき」(30%)、「ほとんどのケースで合法であるべき」(29%)と回答しています。一方、「ほとんどの場合において違法とすべき」が16%、「すべての場合において違法とすべき」はわずか10%であります。また、「わからない」「意見を言いたくない」という人も16%いました

合法的な中絶の権利に関する意見は、27カ国によって大きく異なります。すべてのケース、あるいはほとんどのケースで中絶が合法であることへの支持は、世界の平均では59%ですが、スウェーデンの86%からペルーのわずか31%までと幅があります。またすべての場合、またはほとんどの場合において違法であるべきだという意見は、世界の平均では26%ですが、インドの49%から日本とフランスのわずか8%まで幅があります。

世界の平均では、すべての、あるいはほとんどのケースにおいて中絶の法制度に対する支持は、男性よりも女性で、50歳未満よりも50~74歳で、そして、そうでない人よりも大学レベルの教育を受けている人の間でやや高い傾向がみられます。しかし、このような偏りは一様に当てはまるわけではありません。国別に分析すると、次のようになります:

  • 妊娠中絶の肯定的感情における男女差は、南アフリカ、アルゼンチン、韓国、ポーランドで最も顕著(男性より女性の方が少なくとも10%ポイント高い)であるが、コロンビア、マレーシア、オランダ、日本といった国々では皆無か逆転している。
  • また、年代によるギャップも国によって全く違う方向へ進んでいる。ドイツ、ルーマニア、スウェーデンでは、高齢層は若年層よりも中絶の合法性にかなり好意的な傾向がある(50~74歳では35歳以下よりも10ポイント以上中絶賛成派が多い)。しかし、ブラジル、マレーシア、ペルー、チリでは逆である(35歳以下では50-74歳よりも10ポイント以上中絶賛成派が多い)。

悲惨な状況下での中絶を容認することへの支持拡大

中絶が合法であることに対する支持は、いくつかの状況下でより広がっています:

  • 女性の生命や健康を脅かす妊娠の場合、世界の平均で80%、調査対象各国のすべてで過半数
  • レイプによる妊娠の場合は76%、うちマレーシアを除くすべての国で過半数
  • 赤ちゃんが重度の障害や健康問題を抱えて生まれてくる可能性がある場合、67%、マレーシアと日本を除くすべての国で過半数
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妊娠期間の問題

Center for Reproductive Rightsによると、妊娠期間の制限は世界的に大きく異なっています。要求に応じて中絶を許可している国では、最も一般的な妊娠期間制限は12週間ですが、この制限が過ぎても、さまざまな状況下で中絶が許可されることがよくあります。

本調査では、妊娠期間によって「どんな女性」でも中絶できる合法性についての見解が異なっていることが指摘されています。

  • 妊娠6週目までの女性の中絶は合法であるべきだとする人(62%)は、違法であるべきだとする人(21%)を41ポイント上回った。マレーシアとペルーを除くすべての国で違法とする人を上回った。
  • 妊娠14週目までの女性の中絶は合法であるべきだとする人(45%)は、違法であるべきだとする人(34%)を11ポイント上回った。調査対象国のうち17カ国で違法とする人を上回った。違法とする人が合法とする人を上回っているのは、アルゼンチン、チリ、コロンビア、インド、韓国、メキシコ、マレーシア、ペルー、南アフリカ、トルコの10カ国である。
  • しかし、妊娠20週目までの女性の中絶は合法であるべきだとする人(27%)は、違法であるべきだとする人(47%)よりも20ポイント下回った。7カ国(オーストラリア、カナダ、スペイン、フランス、英国、オランダ、スウェーデン)でのみ多数を占めた。

違法な人工妊娠中絶に対する罰則についての見解の相違

中絶が違法な状況で行われた場合、中絶を行った女性が罰せられるべきだと答えた人は、中絶を行った人(44%)や中絶を手配した人(42%)よりも少ないようです(27カ国平均で32%)。中絶に関連するすべての事柄について、違法な中絶に関与した様々な当事者を罰することに対する考え方は、国によって大きく異なっています。

  • ペルー人とコロンビア人は、それぞれ罰則を受けるべきと答えた人が最も多い。:当該女性(それぞれ61%と55%)、実行した人(75%と66%)、手配した人(73%と65%)である。
  • 日本人は、それぞれ罰則を受けるべきであると答えた人が最も少ない(10%、12%、14%)。

また、世界の平均では、それぞれの立場において、「罰するべきだ」と答えた女性の割合は、男性の割合より7~9ポイント低く、違法な中絶に加担した者を罰するべきかどうかについては、顕著な男女差があることがわかりました。

トレンド

イプソスが2022年に採用した回答の選択肢は、2014年から毎年実施されている過去の調査で用いられたものと異なります。しかし、今年の調査結果では、特定の状況下での中絶に対する支持が高まっているようです。世界で、そして多くの国で、レイプによる妊娠の場合は中絶を合法化すべきだと答えた2022年の調査対象者の割合は、2021年に「いつでも女性が必要とした時」または「レイプされた場合など特定の状況下」において許可すべきだと答えた人の合計よりも高くなっています。世界の平均で5ポイント上昇し、ベルギー、ブラジル、コロンビア、日本、マレーシア、メキシコ、ペルー、トルコ、米国では少なくとも7ポイント上昇しています。唯一低い(5ポイント差)国はインドです。


本調査について

これらは、2022年6月24日~7月8日に、米国、カナダ、マレーシア、南アフリカ、トルコの18~74歳、その他22カ国の16~74歳の成人20,523人を対象に、イプソスのグローバルアドバイザーオンライン調査プラットフォームで実施した27カ国調査の結果です。

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