ウクライナ戦争に対する世界の意識

イプソスグローバルアドバイザー調査によると、ウクライナ戦争が今年中に終結するという意識は6か月前と比べて高まっています。

主な調査結果

  • 控えめながら、戦争終結に対する楽観論が見られます。しかしヨーロッパでは依然として悲観的な見方が根強いようです。
  • ウクライナで行動を起こさなければ、ロシアはさらなる軍事行動をとることになるだろうと人々は考えています。
  • 3分の2は、攻撃を受けた国への支援が必要だと考えています。
  • しかし、調査対象となった29か国のうち27か国はウクライナへの軍事介入を望んでいません。
  • ウクライナでの軍事行動が他国でのさらなる攻撃を促すだろうと予想されています。

ウクライナ紛争は終結に向かっているという確信が高まっています。調査対象となった29か国のうち27か国では、ウクライナ紛争が2025年に終結すると考える人が6か月前より増えています。イタリアとシンガポールでは、戦争が今年中に終わると信じる人が2024年11月からそれぞれ22ポイント、19ポイント増加しており、最も大きな伸びを示しました。

しかし、全体的な見通しは依然として暗いようです。29か国平均では、今年中に戦争が終結する可能性が高いと考える人が36%、可能性は低いと考える人が50%となっています。多くのヨーロッパ諸国では、来年1月までに戦争が終結する可能性は低いと考える人が多数を占めています。ドイツ(71%)、スウェーデン(67%)、オランダ(68%)では3分の2以上がそう考えています。

ウクライナ戦争は今年中に終わると考える人が6か月前よりも増えている

 

29か国の3分の2(63%)は、ウクライナで何もしなければ、ロシアがヨーロッパやアジアの他の地域でさらなる軍事行動を起こすようになると感じています。1か国(ハンガリー)を除くすべての国では、何もしないことがロシアを増長させると考える人が多くなっています。ポーランド、タイ、ペルー、オランダでは、何もしなければさらなる軍事行動を招くと感じる人の割合が、2023年以降で最も大きく増加しました(それぞれ16ポイント、10ポイント、10ポイント、9ポイントの増加)。

29か国の3分の2(65%)が「自国は他国から攻撃を受けた主権国家を支持するべきである」と回答しています。調査対象国のうち3か国を除くすべての国で、このように感じている人が多数派となっています。今回の調査対象となったNATO加盟13か国でも主権国家を防衛することへの支持は見られましたが、そのうち11か国では2023年と比べて支持が低下しており、さらにすべてのNATO加盟国で2022年以降、他国防衛への支持が低下しています。

NATO諸国では、攻撃を受けている他国への支援に対する支持が2022年以降減少している

 

調査対象となった29か国のうち27か国で、自国はウクライナへの軍事介入をすべきではないと考える人が多数派となっています。軍事介入を避けるべきだと考える割合が最も高いのはハンガリー(87%)です。一方で、スウェーデンでは過半数がこれに反対しています(56%)。

29か国平均で61%が、ウクライナで軍事行動を起こすと他国への攻撃が促進されると考えています。この考えはラテンアメリカとアジアで強く見られます。しかし、多くのヨーロッパ諸国や英語圏の国では、軍事行動を取るとさらなる攻撃が起こると考える人の割合は2022年に比べて低下しています。カナダ、英国、米国、オランダ、オーストラリア、フランス、ポーランドでは、3年前と比べて2桁の減少が見られました。

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