8月のグローバル消費者信頼感、下降の一途をたどる
イプソスのグローバル消費者信頼感指数は今月46.1となり、7月から0.8ポイント低下し、2021年4月(45.5)以来の低水準に位置しています。さらに、期待、投資、雇用のサブ指数も今月はすべて低下しています。
2月のウクライナ侵攻をきっかけに始まった下落は、この半年間続いています。現在、同指数は2月時点の数値を2.6ポイント下回っています。期待指数と投資指数は、消費者信頼感指数全体と並行して毎月低下しています。
グローバル消費者信頼感指数は、調査対象国すべての国別指数の平均値です。イプソス・グローバルアドバイザーのオンライン調査プラットフォームで行われた、23カ国の75歳以下の成人17,000人以上を対象とした月次調査に基づいており、今回の調査は、2022年7月22日~8月5日に実施されました。
調査対象国のうち、フランス(+1.5)が7月以降、唯一、国別指数が大きく上昇し、ハンガリー(-3.3)、アルゼンチン(-2.9)、韓国(-2.0)、イスラエル(-1.9)、メキシコ(-1.6)、南アフリカ(-1.6)の6カ国は大きく低下しています。
大半の国が、前月比で大幅な低下というには小さすぎる数値(国別では少なくとも1.5ポイント)を示していますが、インフレ圧力の継続、ウクライナ紛争、新型コロナウイルスなどにより、世界の景況感は低下傾向を続けています。3ヶ月前と比較すると、23カ国中13カ国が国別指数のスコアを大幅に下げている一方、中国は唯一大幅に上昇しています。また、世界の6大先進国のうち、米国、ドイツ、英国、イタリアの4カ国は、消費者信頼感が過去1年間、最も低い水準にとどまっています。
消費者の購買・投資意欲や経済状況・見通しを示す投資指数は、8カ国で先月から大きく低下しました。また、消費者の将来の経済状況や地域経済、雇用環境についての見通しを示す期待指数は、5カ国で大幅に低下しました。フランスは、これらの指標で唯一、大幅な上昇を示しました。ハンガリー、アルゼンチン、イスラエル、サウジアラビアの4ヵ国では、雇用指数が大きく低下し、雇用情勢が大きく上昇した国はありませんでした。
国別指数(National Index) のトレンド
今月は中国(71.1)が最も高く、過去5年間の大半を占めていた首位の座に返り咲きました。過去4ヶ月間、国別指数のスコアが最も高かったサウジアラビアは、中国と並び、国別指数のスコアが70を超える国となっています。
国別指数が50ポイント以上の国はこの他に5カ国あり、インド(63.8)、スウェーデン(53.3)、オーストラリア(52.8)、米国(50.9)、カナダ(50.3)です。
現在、国別指数が40を下回っているのは、イタリア(39.9)、日本(38.2)、ポーランド(37.7)、南アフリカ(37.1)、アルゼンチン(33.4)、ハンガリー(31.4)、トルコ(26.8)の7カ国です。イタリアについては、ウクライナ紛争開始以来毎月のように低下し、今月は2021年5月以来初めて国別指数のスコアが40ポイントを割り込みました。
パンデミック前の2020年1月と比較して、国別指数のスコアが大きく上昇している国はわずか4カ国で、サウジアラビア(+6.4)、インド(+4.3)、オーストラリア(+2.2)、フランス(+2.0)です。一方、パンデミック前より大幅に低下しているのは、ハンガリー(-13.0)、米国(-11.6)、ポーランド(-9.8)、トルコ(-7.2)、アルゼンチン(-6.9)、イスラエル(-6.4)、ドイツ(-6.3)、英国(-5.6)、ベルギー(-4.2)、ブラジル(-3.7)、南アフリカ(-3.3)、スウェーデン(-2.6)、日本(-2.3)およびカナダ(-2.0)の14カ国です。
雇用指数、期待指数、投資指数のトレンド
23ヵ国のうち、
- 消費者の金融、経済、雇用の見通しを示す「期待指数」は、ハンガリー、韓国、アルゼンチン、オーストラリア、ドイツの5カ国が大幅な低下(1.5ポイント以上)を示した。フランスは、唯一大きく上昇した。
- 消費者の購買・投資意欲や 金融情勢・見通しを示す「投資指数」は、8カ国(アルゼンチン、ハンガリー、イスラエル、スウェーデン、韓国、メキシコ、南アフリカ、米国)が大幅な低下を示した。期待指数と同様、大幅な上昇を示したのはフランスのみ。
- ハンガリー、アルゼンチン、イスラエル、サウジアラビアは、いずれも雇用指数が大きく低下した。前月比で大幅な上昇を示した国はなかった。