世界の消費者信頼感は依然低迷
イプソスのグローバル消費者信頼感指数は今月、47.5となり、5月からほぼ横ばい（-0.1ポイント）でした。ウクライナ侵攻前の2月より大幅に低い（1.2ポイント）状態が続いています。
グローバル消費者信頼感指数は、調査対象国すべての国別指数の平均値です。イプソス・グローバルアドバイザーのオンライン調査プラットフォームで行われた、23カ国の75歳以下の成人17,000人以上を対象とした月次調査に基づいており、今回の調査は、2022年5月20日～6月3日に実施されました。
今月の調査では、多くの国の国別指数とサブ指数の前月比の有意な変動（国別で1.5ポイント以上の上昇または下降と定義）がわずかであることが確認されました。インフレ、ウクライナ紛争、新型コロナウイルスの影響により、ほとんどが低下しました。
23カ国のうち、中国の国別指数だけが5月から大きく上昇し、ハンガリー、南アフリカの２カ国は大きく低下しています。ハンガリーでは過去2ヶ月間で5ポイント近くも低下したことに加え、3つの指数（期待、投資、雇用）のすべてで大きく悪化していることがわかります。
消費者の購買・投資意欲や経済状況・見通しを示す「投資指数」、また消費者の将来の経済状況や地域経済、雇用環境についての見通しを示す「期待指数」は、4カ国で前月から大きく低下しました。
雇用関連の景況感は依然として維持される傾向にあります。ハンガリーとトルコだけが雇用指数の大幅な低下を示しており、中国とメキシコでは上昇しています。
国別指数(National Index) のトレンド
今月は、サウジアラビアが依然として国別指数の最高スコアを保持しています。サウジアラビアは4ヶ月連続で最高得点を更新しており、現時点で国別指数が70ポイントを超える唯一の国となっています。中国では新型コロナウイルス対策の規制解除により、消費者心理が好転しています。サウジアラビアと並び、中国とインドのみが、国別指数で60を超える国となっています。
国別指数が50ポイント以上となっているのは、スウェーデン（55.7）、オーストラリア（54.1）、米国（53.5）、カナダ（51.0）、メキシコ（50.2）の5カ国です。メキシコの国別指数が50ポイントを超えるのは、2019年12月以来となります。
国別指数が40ポイントを下回っていのは、南アフリカ（39.7）、日本（39.2）、ポーランド（38.6）、ハンガリー（37.7）、アルゼンチン（37.3）、そしてトルコ（28）の６カ国です。
トルコは過去12年間に渡る調査の中で、国別指数が最も低く、2020年3月にパンデミックが始まって以来、35ポイントを上回ったことがありません。
パンデミック前の2020年1月時点と比較して、依然として指数のスコアが大幅に高い国は、サウジアラビア（+7.3）、インド（+4.4）、オーストラリア（+3.5）、韓国（+3.3）と、わずか4カ国までに減少しています。
これに対し、国別指数がパンデミック前に比べて著しく低下した国は23カ国中10カ国で、米国（-9.1）、ポーランド（-8.9）、ハンガリー（-6.7）、トルコ（-6.1）、ドイツ（-5.7）、英国（-4.5）、ブラジル（-3.8）、ベルギー（-3.8）、イスラエル（-3.2）、アルゼンチン（-2.9）です。
雇用指数、期待指数、投資指数のトレンド
23カ国中・・・
- 消費者の金融、経済、雇用の見通しを示す「期待指数」が有意に低下（1.5ポイント以上）したのは、ハンガリー、ポーランド、南アフリカ、オーストラリアの4カ国。上昇を示した国はなかった。
- 消費者の購買・投資意欲や金融情勢・見通しを示す「投資指数」は、ハンガリー、南アフリカ、オーストラリア、ポーランドの4カ国が有意な低下を示した。上昇したのは、サウジアラビアと中国だけである。
前月に比べ、雇用指数が有意に上昇したのは中国とメキシコ、低下したのはハンガリーとトルコでした。
本調査について
これらの調査結果は、Refinitiv/Ipsos’ Primary Consumer Sentiment Index (PCSI) のデータに基づくものです。調査は毎月、イプソス･グローバルアドバイザーのオンライン調査プラットフォームを使用して世界の17,000人以上（米国、カナダ、イスラエル、トルコ、南アフリカでは18~74歳、その他では16~74歳）を対象に実施されています。
毎月のサンプルは、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国（本土）、フランス、ドイツ、イタリア、日本、スペイン、英国、米国では1,000人以上、アルゼンチン、ベルギー、ハンガリー、インド、イスラエル、メキシコ、ポーランド、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、スウェーデン、トルコでは500人以上で構成されています。
