社会的流動性、世界は二分
2020年1月19日 ダボス — 経済的な豊かさと雇用の安定に関して、今日の若者たちは親世代よりも良い暮らしをしているのか、それとも悪い暮らしをしているのか、世界の人々は二分されています。若者の身の安全、マイホームの所有、退職後の快適な生活を考えると、楽観論者よりも悲観論者の方が多い状況です。その一方で、情報や娯楽へのアクセスという点では、今日の若者は年長者よりも恵まれているという世界的なコンセンサスがあります。
これらは2019年11月~12月、世界経済フォーラム (World Economic Forum) の依頼で、イプソスが33か国・市場で16~74歳の22,000人を対象に実施した調査の結果の一部です。
- 世界の調査対象者の5人中4人が、情報や娯楽へのアクセスは親世代より良い、または良くなると回答。「情報へのアクセス」については、82%「良い、良くなる」、8%「悪い、悪くなる」、10%「良くも悪くもならない」と回答。「娯楽へのアクセス」については、それぞれ80%、8%、13%。
- 世界の調査対象者の5人に3人が、次の項目について親世代より良い、または良くなると回答。「海外旅行」については、67%「良い、良くなる」、16%「悪い、悪くなる」、18%「良くも悪くもならない」と回答 。「良い教育を受ける」については、それぞれ 64%、22%、15%。「自分自身に正直である自由さ」 については、それぞれ61%、20%、20%。若者のほうが親世代よりもキャリア上成功する可能性が高いと回答したのは約半数にとどまる(それぞれ52%、27%、21%)。
- 若者のほうが親世代よりも経済的に豊かである、または豊かになると回答したのは、世界の調査対象者の10人中4人のみ。若者のほうが親世代よりも「良い暮らしをするのに十分なお金がある」については、42%「そうである、そうなる」、39%「そうではない、そうはならない」、19%「良くも悪くもならない」と回答。「安定した仕事」については、それぞれ41%、42%、18%。「マイホームを所有できる」については、それぞれ40%、44%、17%。
- 若者のほうが親世代よりも「引退後、快適な生活を送れる」(それぞれ38%、45%、17%)、「犯罪や危害からの安全性」(それぞれ35%、44%、21%)という見通しを持っているのは10人中4人にも満たない。
この調査では、新興国と成熟市場の間にある著しい違いが明らかになりました。
ほとんどの新興国では、(犯罪からの安全は例外として)ほぼすべての項目において楽観主義がみられます。そしてほとんどの先進国ではその逆です。西欧、北米、オーストラリア、日本、韓国、イスラエルでは、若者の身の安全、経済的な豊かさ、雇用の安定について悲観的な見方が一般的です。
多くの分野で、今日の若者たちの暮らしぶりは親世代よりも良い、良くなると回答した人の割合は、イプソスが同じ質問で同様の調査を行った2016年よりも高いという結果となりました。
- ポーランド、韓国、アルゼンチン、日本、メキシコ、ブラジル、インドでは、若者の現状や見通しを親世代と比較した場合、調査項目のほぼすべてで、楽観的見方が大幅に伸びている。
- 楽観的見方は、ドイツ、ベルギー、フランス、ペルー、オーストラリア、南アフリカ、イタリア、トルコでも多くの調査項目で伸びている。
- すべての項目を合わせて、過去3年間に楽観的な傾向の伸びが見られなかったのは、カナダと米国の2カ国のみ。
この調査ではまた、人々が自分の個人的な状況と自分の親世代の状況をどのように比較しているかについても調査しました。ほとんどすべての国で、ほとんどすべての問題について、その結果は、今日の若者と彼らの親世代を比較した状況と見通しに対する人々の評価と非常によく似ています。
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