ショッピングモールの変身とオンラインショッピング:Eコマースは実店舗を救うのか、取って代わるのか?

「アマゾンで買える?」ー私が6歳の息子に、今すぐに買い物に行く時間はないと説明したときに彼はこう聞き返します。
この言葉は、時間が節約できて便利なオンラインショッピングで多用している私の家庭ではよく聞く言葉です。
実際、ショッピングモールの中を最後に歩いたのはいつだったか・・・だいぶ前のことかもしれません。でも、店が閉まっていたり、商品がなかったので買えなかったことを覚えています。
Payless ShoeSource Inc.、アメリカにおけるDieselやTopshopなど、今年も小売業界で倒産が増え続けています。他にもいくつかの大手小売業者が倒産の危機に瀕しているという報告もあります。
ブームとなっているEコマース、消費者に直接販売するブランド、アクセスしやすさ、消費者の行動の変化が組み合わさって、ショッピングモールの文化はここ数年衰退しています。
グローバルアドバイザー調査が世界25か国の25,000人以上を対象に行った最近の調査によると、調査対象者の51%が、一年前より商品やサービスをオンラインで購入しやすくなったと回答しています。
さらに「オンラインショッピングは一年前と同じくらい購入しやすい」と回答している41%を加えると規模はより大きくなります。
「オンラインショッピングは購入しやすくなった」と回答している上位国:
- ケニア、パキスタン (66%)
- ナイジェリア (63%)
- インド (58%)
- エジプト、インドネシア、メキシコ (57%)
ショッピングモールは「変身中」
ニューヨーク大学スターン・ビジネススクールでマーケティングを教える Russel Winer 教授によると、ショッピングモールは、特に地方で買い物客の利便性を提供しているので簡単に消滅することはありませんが、変化しつつあります。
「ショッピングモールの一部は、教育の場やアイススケートリンクなど、他の用途に転用されている。忘れてならないのは、米国政府のデータによると、すべての買い物の90%が従来型店舗で行われていることだ。店舗はまだたくさんあるのだ」とWiner氏は言いいます。
米商務省の最新データによると、8月の小売売上高は、自動車販売とオンラインショッピングがけん引し、前月比0.4%増と予想を上回りました。しかし、同じ期間にデパートや食料品店、衣料品店などの総合スーパーの売り上げは減少しました。
KPMGとBritish Retail Consortium (英国小売業協会) のデータによると、イギリスの8月の小売売上高は前年同月比で横ばいとなり、1995年の統計開始以来、月間で二番目に悪い数字となりました。

コンサルティング会社Retail Advisors Networkの共同設立者兼パートナーであるBruce Winder氏は、大都市以外ののショッピングモールは、主要なテナントを失ったために、自らを変身させなければならなかったと言います。
「強いショッピングモールは、一つのエリアで多くの製品、サービス、経験のためにモールに行く、経験のマーケットプレイスのようになりつつある。」とWinder 氏。「エンターテインメント、食べ物、探索、そしてオンラインショッピングの商品受け取りからの集客は、多くの強いモールのバックボーンとなっている。」
Eコマースに関しては、セキュリティー上の懸念が買い物客を妨げてはいません。
「自分の身を守るためにオンラインショッピングを一年前より少なくしている」と回答したのは、調査対象者のわずか12%です。一方、15%は「オンラインでの購入を増やしている」と回答しました。
フィジカルとデジタルをつなぐ
イプソス・アメリカのGlobal Shopper Researchの副社長であるJohn Green氏は、Eコマースは小売の進化に2つのユニークな次元を加えると考えています。それは地理的な課題を取り除き、リアルタイムの情報を付け加えるということです。
「先ず一つ目に、これまで私たちは住んでいたところで買い物をしてきた。Eコマースが浸透すれば、そのフィルターが取り除かれ、文字通り世界がすぐに手に入るようになり、地元の人々の目を楽しませるための小売業界の大きな競争が生まれる。」とGreen氏。「そして二つ目に、デジタルシステムの継続的な改善で、買い物客は広範な流通と価格の見直しを簡単にできるようになる。」
さらにGreen氏は、買い物客が物理的(フィジカル)とデジタルの間を簡単に移動できるシームレスな環境を構築できる小売業者とメーカーが、オンラインショッピングに拡張現実と仮想現実を使用する企業を含め、上位に来るだろうと付け加えました。
一方、Winder氏は、オンラインショッピングは20年前からある程度存在していたが、今は特に利益率の低い小売業者から市場シェアを奪い始めたと指摘しています。
「過去5年間で、過去20年間を合わせたよりも多くの変化が見られた」とWinder氏。「デジタルネイティブブランドの誕生は、自らセレクトストアを追加し始めたミレニアル世代やZ世代の顧客の注目と彼らの財布をとらえている。」