2018年 ロイヤルウェディング---王室 に対する世界の認識

結局、イギリス王室は、国外におけるイギリスの評判に対し好影響を与える存在です。調査対象者の半数は、「王室の有無によって、イギリスの評判は変わらない」が、「王室があるからこそ、伝統的な国としてのイギリスに対する認識が高まっている」と回答しています。イギリス王室の中では、エリザベス女王とヘンリー王子が世界で最も好感度が高く、ウィリアム王子とキャサリン妃もまた、好感を持って受け止められています。

イギリス王室で最も好感度が高いのは?

来たるヘンリー王子とメーガン・マークルさんのロイヤルウェディングに向け、イプソスは、28か国で調査を実施しました。調査は65歳未満の成人を対象にオンラインで実施し、ロイヤルウェディングに対する関心度、王室や各王室メンバーに対する感情を伺いました。その結果、「一番好きな王室メンバー」は、エリザベス女王とヘンリー王子(それぞれ調査対象者の23%が選択)であることがわかりました。次いで、ウィリアム王子、キャサリン妃(それぞれ17%、18%)でした。彼らの子供であるジョージ王子、シャーロット王女(それぞれ10%、9%)が続いています。

国によっても、好感度が高い王室メンバーは異なっています。28か国のうち10か国(インド、中国、ブラジルなど)では、女王が最も好かれていました。その一方で、8か国(イギリス、オーストラリア、南アフリカ、サウジアラビアなど)で最も人気があったのはヘンリー王子です。アメリカで最も好かれていたのはキャサリン妃で、その夫のウィリアム王子の好感度が最も高かったのはフランスでした。

世界的に見ると、王室に対する認識は、「好ましくない」(11%)より「好ましい」(35%)傾向にありました。一方で、世界のほぼ半数は「中立的」(37%)、あるいは「わからない」(16%)と回答しています。イギリス以外で、王室に対する好感度が最も高かった国はルーマニア(「好ましい」が58%)、サウジアラビア(50%)、インド(48%)、およびアメリカ(43%)でした。一方で、最もよくない結果が出たのはスペインとアルゼンチンでした(各国とも「好ましい」と答えた対象者は18%のみ)。

王室メンバー一人ひとりについて伺うほうが、好感度が高い傾向です。特にその傾向が顕著だったのは、エリザベス女王(平均で「好ましい」が41%)、ウィリアム王子とキャサリン妃(それぞれ43%、39%)、そしてヘンリー王子(41%)です。対して、好感度が最も低かったのはチャールズ皇太子でした(「好ましい」が24%で、「好ましくない」と同じ割合)。とは言うものの、イギリス王室の好感度と同様、過半数は「中立的」、あるいは「わからない」という回答でした。

5月19日にヘンリー王子と結婚するメーガン・マークルさんも、イギリス王室の中では一番目立たぬ存在ではあるものの、「好ましい」という肯定的な土台からスタートしています。彼女を「好ましい」と感じている人は29%であるのに対し、「好ましくない」と回答したのはたったの10%でした。そして、10人中6人は「中立的」(41%)、あるいは、「わからない」(21%)のどちらかを選択しています。また、各国においては「好ましい」が「好ましくない」を上回る結果となりました。彼女の母国であるアメリカでは、43%が「好ましい」と回答し、最も高い割合でした。

来たる、彼女のウェディングというトピックとなると、世界では4人中1人(27%)が、ウェディングに関するニュースに「まあ関心がある」と回答しています。一方で、「関心がない」と回答したのは、3人中2人(67%)でした。関心度が最も高かった国は、インドと南アフリカ(それぞれ、54%と49%)で、最も低かった国は、スペイン(8%)、スウェーデン、日本(いずれも12%)、セルビア(13%)、フランス(15%)でした。

イギリス王室がイギリスのイメージに与える影響は?

「王室が、イギリスに対する認識に、どのような影響を与えているか」という質問に対しては、平均でほぼ半数(51%)が、「影響はない」と回答しています。「王室によって好影響がもたらされている」と回答した人は23%、対して「悪影響がある」は11%でした。調査対象国のうち22か国においては、「好影響」と回答した割合のほうが「悪影響」よりも高いという結果でした。特に、ルーマニアでは、ネットインパクトスコア(好影響から悪影響を差し引いた値)は+33とその傾向が顕著であり、続いてインド(+27)、マレーシア(+26)、サウジアラビア(+25)、そしてブラジル(+24)となっています。フランスの見方は見事につり合いがとれていました。一方で「王室によって、イギリスに対する認識に、最終的には悪影響(ネットインパクトスコアがマイナス)が生じている」という結果が出た国は、チリ(-4)、スペイン(-5)、トルコ(-6)、そして、中でも最も顕著だったのはアルゼンチン(-10)でした。

とは言え、イギリス王室には「イギリスは伝統的な国」という認識を高める傾向があります。調査対象者に「イギリス王室があることで、イギリスと言えばどのような特徴を連想するか」をリストから選択してもらったところ、「伝統的」が最も多く選ばれ、平均で48%という結果が出ました。対して「近代的」という回答はたったの9%です。「近代的」というイメージは、「力強い」(22%)、「自信がある」(17%)というイメージに次ぐものでした。対して「王室は、イギリスが“不平等な社会”であることを示している」と回答した人が、15%の割合で見られました。アルゼンチン、チリ、トルコなど、王室に対して否定的な姿勢を見せる傾向が比較的高い国においては、この割合も高くなっています。

より全般的に、自国の憲法や、君主制に対する姿勢を見てみると、現状を変えたいと欲求は少ないことがわかりました。国家元首がイギリスの女王であるカナダやオーストラリアにおいては、ほぼ半数が「君主制を廃止しても、自国の未来が変わるわけではない」と考えています。君主制のある他国の場合「自国の君主制を廃止すれば、状況はよくなる」と回答した国は比較的少ないという結果でした。その割合は、日本ではたったの4%、ベルギーでは17%、マレーシアでは18%、スウェーデンでは23%です。「君主制から変わる」ことを支持する割合が最も高かった国は、スペイン(37%)でした。しかし、その数字も、大多数と言えるほどには達していません。

同様に、共和制である17か国では「選挙で国家元首を選出するのではなく、立憲君主制を有する方が未来のためになる」と回答した割合は、平均でたったの16%でした。36%は「状況が悪化する」と回答しており、ほぼ半数は「何も変わらない」(28%)、あるいは「わからない」と回答しています。インドおいては、これらの意見は、他国よりもはっきりと二分されていました。「選出された国家元首ではなく、イギリスのような君主制にした方が、状況は好転する」と考える人の割合は31%であるのに対し、「悪化する」と回答した割合は29%でした。

この調査は、2018年4月6日から3月23日、世界28か国(アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、中国、フランス、ドイツ、ハンガリー、インド、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、ペルー、ポーランド、ルーマニア、ロシア、サウジアラビア、セルビア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、トルコ、イギリス、アメリカ)で20,793人を対象にイプソス・オンラインパネルシステムを利用して実施されました。オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、イタリア、日本、ルーマニア、ロシア、スペイン、イギリス、アメリカでは、18~65歳の約1,000人を対象に、また、アルゼンチン、ベルギー、チリ、ハンガリー、インド、マレーシア、メキシコ、ペルー、ポーランド、サウジアラビア、セルビア、南アフリカ、韓国、スウェーデン、トルコにおいては、18~65歳の約500人を対象に実施しました。

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