世界が懸念していること - 2023 年8月
イプソスが毎月実施している「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」では、一般の市民が現在最も重要な社会問題や政治問題は何であると考えているのかを調査し、最新のスコアとその背景を10年分のデータをもとに探ります。今ウェーブは2023年7月21日~8月4日に実施されました。
主な調査結果
- 今月もインフレが最大の懸念となっている。しかし、今月はさらに1ポイント緩和され37%となった。
- 今月のインフレ懸念の水準は今年で最も低く、2022年6月以来の低水準となった。
- アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、ハンガリー、インド、ポーランド、シンガポール、米国、トルコの12カ国は、物価上昇を最大の懸念としており、先月より2か国増加した。
- すべての国において、インフレへの懸念に続いて、貧困と社会的不平等(31%、+1ポイント)、犯罪と暴力(30%、-1ポイント)、失業(27%、+1ポイント)、金融/政治腐敗(27%、+1ポイント)が世界の懸念事項のトップ5を占めた。
- 気候変動は依然として世界第7位の懸念事項であり、18%が懸念している。オランダ人の 3 分の 1 (32%) は気候変動を懸念しており、移民問題と並んで 2 番目の懸念となっている。
- コロナウイルスの懸念は18項目中17番目にとどまっており、懸念事項として選択したのは10人に1人(5%)以下。これは、2020年4月に調査に追加して以来、最低の水準である。
- 「正しい方向/間違った方向」の調査結果では、自国が正しい方向に進んでいると答えたのは36%で、先月より2ポイント減少した。タイ(44%)の楽観論は16ポイント減少した。

インフレーション
インフレ懸念は6月に1ポイント、7月に2ポイント、そして今月は1ポイント低下と、3ヵ月連続で低下しています。37%で、2023年の最低を記録し、2022年6月以来の低水準となりました。37%で、2023年の最低を記録し、2022年6月以来の低水準となりました。
低下しているにもかかわらず、インフレを最大の懸念事項として挙げる国は10カ国から12カ国に増加しています。アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、ハンガリー、インド、ポーランド、シンガポール、アメリカ、そしてトルコです。
アルゼンチン(69%)は依然としてトップで、2022年11月以来ずっと最も懸念している国となっています。
かつてトップだったポーランドの懸念度(53%)は低下しています。今月は6ポイント低下し、2022年4月以来の最低水準となりました。
インフレに対する市民の意識については、29カ国の最新のグローバルインフレモニター Global Inflation Monitorをご覧ください。
気候変動
気候変動は、世界が懸念していること調査における18の世界的懸念事項のうち、医療と税金の間で7位にランクされています。今月の懸念は1ポイント増加しました。
シンガポールは、先月最も懸念している国でしたが、今月は4分の1弱(23%)が懸念しています。スコアは8ポイント下がりました。
現在、オランダでは3分の1(32%)が懸念を抱いており、トップの国となっています。気候変動は、オランダ人にとって移民問題と並んで懸念の度合いが高くなっています。
最近の熱波の後、ヨーロッパのいくつかの国で懸念の増加が見られました。フランス(30%)は5ポイント増、イタリア(27%)は7ポイント増、イギリスは6ポイント増、スペイン(21%)は3ポイント増です。
犯罪と暴力
犯罪と暴力を最も懸念しているのは3分の1弱(30%)で、今月は 1 ポイント減少しました。7月には2ポイントの微増を記録していました。
7月、フランスではこの問題が急増し、最大の懸念事項となりました。しかし、8月になると懸念は落ち着きを見せ、14ポイント下がって35%になりました。
イスラエル(38%) では、依然として最大の懸念事項であるにもかかわらず、懸念は 10 ポイント低下しました。
犯罪と暴力を最大の懸念としているその他の5カ国は、チリ(62%)、スウェーデン(59%)、ペルー(57%)、メキシコ(57%)、イスラエル(38%)です。
貧困と社会的不平等
貧困と社会的不平等は現在、18項目の懸念のうち第2位で、31%が自国の問題だと答えています。これは先月から1ポイント上昇しました。
ブラジル(41%)とオランダ(35%)はいずれも不平等を最大の懸念事項としています。全体では、先月3位だったオランダは5ポイント下げ、8位となりました。
インドネシア人の半数近く(47%)が不平等を最大の懸念事項としています。インドネシアの貧困に対する関心度は常に比較的高くなっています。昨年の今頃は42%で3位でした。
ハンガリー(34%)は前月の1位から7ポイント減で10位となりました。
金融/政治腐敗
4分の1以上(27%)が、自国の最重要課題の1つとして金融/政治腐敗を挙げています。今月は1ポイント上昇です。
南アフリカでは現在、半数弱(46%)が汚職を懸念しています。今月は9ポイント下がり、トップではなくなりました。代わりに、インドネシア(55%)が1ポイント増でトップとなりました。
インドネシアと並んで、タイとマレーシアも半数以上が汚職を最重要課題としています(それぞれ52%と51%)
先月はシンガポールが6ポイント増えたことに注目しました。今月はさらに8ポイント増加し、5人に1人(19%)となりました。
経済に対する満足度
29カ国全体では、36%の人が自国の現在の経済状況を「良い」と回答しており、2023年7月以降変化はありません。
先月から最も肯定的な感情が高まったのは、ポーランド (+7 ポイント)、インド (+6 ポイント)、スウェーデン、英国 (いずれも +5 ポイント) でした。
スペインの「(経済が)良い」は今月2ポイント上昇し、3ヶ月連続で過去最高を記録しました。一方、コロンビアの「良い」は10ポイント下がって22%となりました。トルコの「良い」は9ポイント低下し、過去最低を記録しました(2022年7月と同スコア)。