世界が懸念していること―2018年7月

いま世界の人々はどのようなことを懸念しているのか – グローバル調査を実施したところ、世界の懸念事項のトップは「失業」、「貧困・社会の不平等」、「犯罪・暴力」、「金融・政治の腐敗」、であることが明らかになりました。

世界の懸念事項調査(The What Worries the World study)調査対象国28か国の過半数の人々(56%)が、「自国は間違った方向に進んでいる」と感じており、中でもブラジル(85%)、ペルー(78%)、南アフリカ(76%)、ハンガリー(74%)においては、懸念度が顕著に高いという結果が出ています。

世界の懸念事項調査 は、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、中国、フランス、イギリス、ドイツ、ハンガリー、インド、イスラエル、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、ポーランド、ペルー、ロシア、サウジアラビア、セルビア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、トルコ、アメリカの65歳未満の成人を対象に毎月行っているオンライン調査です。

この調査によって、28か国の過半数の人が、「自国は、間違った方向に進んでいる(平均56%)」と考えていることが明らかになりました。しかし調査対象国全体を見ると、そのスコアは各国で大きく異なっています。

正しい方向

  • 「自国が向かっている方向性」について最も自信があった国は、またもや中国です(90%)。第2位は引き続きサウジアラビア(76%)、第3位にはインド(67%)、第4位はマレーシア(66%) が躍り出ています。韓国(63%)は今回、順位を第5位まで下げています。
  • イタリアの調査結果には、ジュセッペ・コンテ氏が新首相に就任した影響を垣間見ることができます。同国の調査対象者の間では、今月、ポジティブな見方を示す割合が大幅に増え、前月から13%増の47%を記録しました。このスコアは「自国の向かう方向」について、イタリア人の支持度が最低だった2018年5月(調査対象国の中で最下位)の数字に比べ33%増です。
  • メキシコでも、国の楽観度に大きな上昇が見られます。スコアは30%を示し、前月(19%)から11%増となっています。これは、2018年3月(11%)から19%増で、この一年を通してみると、メキシコの国の楽観度スコアとしては最高値を記録しています。この楽観度の上昇は、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール氏が大統領選で圧倒的な勝利を収めたのと時を同じくしています。

間違った方向

  • 対照的に、ブラジル人、ペルー人、南アフリカ人、ハンガリー人は、自国の向かう方向に関して最も大きな不安を抱えています。「自国は正しい方向に向かっている」と考えるブラジル人の割合はたったの15%で、次いでペルー(22%)、その後南アフリカ(24%)、ハンガリー(26%)が続きます。
  • 自国の方向性について、今月はマレーシア(66%)の支持度が最大幅で下降しています。先月75%まで急上昇したあとの急降下(9%)です。

世界の人々の5大懸念事項

  1. 失業(33%)。この問題に対する懸念度が最も高かった国は、イタリア(66%)、韓国(64%)、スペイン(58%)です。ロシア(41%)における懸念度が、先月の値(30%)から11%増を記録し、最大幅で上昇しました。先月と同様、ドイツ(9%)、イスラエル(12%)は、失業に対する懸念が最も低い2か国でした。
  2. 貧困・社会的不平等(33%)。この問題に関する懸念が最も高かったのは、ロシア(64%)、ハンガリー(57%)、セルビア(54%)でした。ロシアは、この問題に最も悩まされているだけでなく、先月から最大幅で懸念度が上昇した国でもあります。同国は、先月の値(57%)から7%の上昇を記録しました。一方で、トルコ(22%)は、2017年通年と2018年の今まで、最も懸念度に低い国だったアメリカ(23%)に取って代わり、最も懸念度の低い国となりました。
  3. 犯罪・暴力(32%)。この問題に対する懸念度が最も高かったのは、南・中央アメリカ地域です。この問題に最も強い懸念を示していたのは、ペルー(67%)、メキシコ(63%)、チリ(59%)です。対して、このトピックに関する懸念が、最も低かった国は、ロシア(5%)、ハンガリー(11%)、サウジアラビア(12%)でした。
  4. 金融・政治の腐敗(32%)。この問題に関し、最大の懸念度を見せた国は、ペルー(62%)、マレーシア(60%)でした。後続には、南アフリカ(55%)、スペイン(54%)が来ています。腐敗に対する懸念が最も低かったのは、スウェーデン(6%)、ドイツ(10%)、イギリス(11%)でした。
  5. ヘルスケア (24%)
この調査は世界28カ国(アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、中国、フランス、イギリス、ドイツ、ハンガリー、インド、イスラエル、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、ペルー、ポーランド、ロシア、サウジアラビア、セルビア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、トルコ、アメリカ)でイプソス・オンラインシステムを利用して実施されたものです。6月22日~7月6日に、アメリカ、イスラエル、カナダでは18歳~64歳、その他の国では16歳~64歳を対象として、19,743件のアンケートを実施しました。データは各国人口構成に基づき加重されています。

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