世界が懸念していること - 2022年7月
インフレに対する懸念は 12ヶ月連続で上昇し、4ヶ月連続で「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」の第1位となりました。世界平均で、4人に1人(38%)がインフレを自国に影響を与える最重要課題のひとつと回答し、前月より1ポイント上昇しました。
イプソスが毎月実施している「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」では、10年分のデータをもとに、世界27カ国の市民が現在最も重要な社会問題や政治問題は何であると考えているのかを調査しています。今ウェーブは、2022年6月24日~7月8日に実施されました。.
主な調査結果
- インフレは依然として世界的な懸念事項の第一位である。38%が現在自国が直面している最大の懸念事項の一つであると回答している(2022年6月比1ポイント増)。
- 今月は、先月より1カ国多い11カ国がインフレを最大の懸念事項として挙げている。
- インフレへの懸念に続き、貧困/社会的不平等(33%)、犯罪と暴力(26%)、失業(26%)、金融/政治的腐敗(23%)が、上位5位を占めている。
- 新型コロナウイルスに対する懸念は今月は2ポイント上昇したが、ランキングでは10位(教育、移民規制の間)にとどまっている。
- 新型コロナウイルスは、わずか5カ月前の2022年2月には懸念事項のトップであったにもかかわらず、2カ月連続で「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」で調査対象27カ国のいずれでも懸念事項のトップになっていない。
- 国家間の軍事衝突に対する懸念は今月1ポイント減少し、10人に1人が自国が直面している懸念事項の一つであると回答。
- 3人に2人(65%)が自国は間違った方向に向かっていると考えており、ペルーでは91%に上った。アルゼンチン(85%)、南アフリカ(81%)、トルコ(80%)でも10人に8人が自国が間違った方向に向かっていると回答している。
インフレ
インフレに対する懸念は12ヶ月連続で上昇し、世界の懸念事項のトップを占めるようになって4ヶ月が経過しました。今月は6月より1ポイント上昇し、ほぼ4人に1人(38%)が自国が直面する最大の問題のひとつであると答えています。
2人に1人以上がインフレを自国市場に最も影響を与える課題の1つと考えている国が6カ国あります。アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、英国、ポーランド、韓国、米国、トルコでは、インフレが最大の懸念事項となっています。
前月比で最も増加したのは韓国(+12)とスペイン(+11)です。今月はすべての中南米諸国で上昇がみられました:アルゼンチン(+3)、チリ(+6)、ペルー(+3)、ブラジル(+4)、メキシコ(+3)、コロンビア(+1)です。
一方、今月は上位5カ国のうち2カ国で懸念の低下がみられます。2 位のポーランドでは 5 ポイント、4 位のトルコでは 3 ポイント低下しました。前月比で最も低下したのはオランダで、6月と比べ11ポイント低下しました。
新型コロナウイルス
新型コロナウイルスへの懸念は6月から2ポイント上昇し、2021年12月以来、初めて上昇しました。しかし、依然として教育と移民規制の間の10位にとどまっており、自国に影響を与える最大の懸念事項であると回答しているのは14%です。
今月懸念が上昇したのは17カ国で、最も上昇したのはドイツ(+9)、スペインとオランダ(ともに+8)、そしてメキシコ(+7)でした。
2カ月連続で、新型コロナウイルスを自国が直面している最大の懸念事項としている国はありません。今年1月、世界の3分の1以上(35%)がパンデミックを主な懸念事項としていたとき、11カ国が新型コロナウイルスを最大の懸念事項として挙げていました。.
国家間の軍事衝突
国家間の軍事衝突への懸念は、今月はやや低下し、1ポイント減の10%となりました。移民規制とモラルの低下に次いで 12 位です。
6 月と比較して、今月は上位 5カ国中 4カ国で、懸念の低下がみられます。ポーランドでは3人に1人(6月比-2)、ドイツは29%(-2)、日本は20%(変化なし)、イタリアとオランダはともに16%(それぞれ-4、-3)でした。
特にドイツとポーランドでは、ここ数カ月で大きく低下する傾向が続いています。5月時点では、ドイツは41%で、国民の最大の懸念事項でした。この問題が調査対象に加わった最初の月である4月では、ポーランドの数値は38%でした。
今月、懸念が大きく低下した国は他にイスラエルとハンガリー(ともに-5)があります。
経済への注目
調査対象の27カ国において、自国の現在の経済状況を「良い」と回答したのは3人に1人(32%)で、今月は2ポイント減少しました。過半数(68%)は「悪い」と回答しています。
自国の経済状況が良いと答えた割合が最も低下した国はハンガリーと韓国です(ともに-10)。韓国の7月の数値は、2020年9月の12%以来の低さです。一方、ハンガリーの今月の数値は、19%だった2017年7月以来の低さです。
今月は、チリ(-8)、トルコ(-7)、イスラエル、フランス、イギリス(いずれも-6)など、景気の良さを示す数値が低下した国もありました。トルコでは、現在の経済状況を「良い」と答えた人がわずか14%で、2012年11月に調査を開始して以来、最も低いスコアとなりました。
ペルーの経済信頼感は2番目に低く(アルゼンチンはランキングの最下位)、今月の9%という数値は、2015年12月に追加されて以来、最も低いスコアとなっています。
本調査について
イプソスの「世界が懸念していること What Worries the World調査」は、イプソス オンラインパネルシステムを通じて世界27カ国で実施されています。調査対象国は、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、フランス、英国、ドイツ、ハンガリー、インド、イスラエル、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、オランダ、ペルー、ポーランド、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、トルコ、米国です。
2022年6月24日~2022年7月8日に、米国、南アフリカ、トルコ、イスラエル、カナダでは18~74歳、その他の国では16~74歳の成人を対象に、20,002件のオンラインインタビューを実施しました。データは人口のプロファイルに合わせて加重しています。