世界が懸念していること - 2022年6月

インフレに対する懸念は高まり続けており、現在では世界の約10人に4人が不安を感じています。

インフレに対する懸念は 11ヶ月連続で上昇し、3ヶ月連続で「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」の第1位となりました。

世界平均で、4人に1人がインフレを自国に影響を与える最重要課題のひとつと回答し(37%)、前月より3ポイント上昇しました。

イプソスが毎月実施している「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」では、10年分のデータをもとに、世界27カ国の市民が現在最も重要な社会問題や政治問題は何であると考えているのかを調査しています。今ウェーブは、2022年5月27日~6月6日に実施されました。

主な調査結果

  • インフレは依然として世界的な懸念事項の第一位である。37%が現在自国が直面している最大の懸念事項の一つであると回答(2022年5月比3ポイント増)
  • 今月は、先月より3カ国多い10カ国がインフレを最大の懸念事項として挙げている。
  • インフレへの懸念に続き、貧困/社会的不平等(31%)、失業(28%)、犯罪と暴力(27%)、金融/政治的腐敗(24%)が、上位5位を占めている。
  • 新型コロナウイルスに対する懸念は今月はさらに低下し、4ポイント減の12%、10位となり、調査開始以来最低となった。
  • わずか4カ月前の2022年2月には懸念事項のトップであったにもかかわらず、今月は「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」で調査開始以降初めて、新型コロナウイルスが調査対象27カ国のいずれでも懸念事項のトップではなくなった。
  • 軍事衝突への懸念は3ポイント低下し、11%となった。

  • 3人に2人(64%)が自国は間違った方向に向かっていると考えており、ペルーでは92%に上った。アルゼンチン(85%)と南アフリカ(81%)でも10人に8人が自国が間違った方向に向かっていると回答している。

インフレ

6月に入り、インフレが世界の懸念事項のトップを占めるようになって3ヶ月が経過しました。今月はさらに3ポイント上昇し、ほぼ4人に1人が自国が直面する最大の問題のひとつであると答えています(37%)。

今月は、ベルギー、フランス、ドイツでインフレがトップとなり、10カ国で懸念事項の第1位となりました。インフレが最大の懸念事項となっている国は、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、英国、ポーランド、米国、トルコです。

調査対象27カ国中20カ国で、前月より関心が高くなっており、特にマレーシア(+15ポイント)と南アフリカ(+9ポイント)で大きく上昇しました。

オランダ(-1)、ブラジル(-2)、コロンビア(-3)、チリ(-3)、アルゼンチン(-4)の5カ国でのみ、わずかながら懸念は減少しています。 

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスへの懸念は11ヶ月連続で減少し、今回はさらに4ポイント減少して12%となり、教育(15%)、移民規制(11%)の間の第10位となっています。

新型コロナウイルスに対する懸念は2020年4月の「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」で調査開始以来、過去最低となりました(当時は63%)。

調査開始以降初めて、新型コロナウイルスは、調査対象27カ国のいずれでも懸念事項の第1位ではなくなりました。これは、4ヶ月前の2022年2月に全世界で1位、2022年1月に11カ国で1位であったときから、急激に関心が低下していることを示しています。

日本では依然として3人に1人が自国が直面する最大の問題の1つであると考えています(33%)。しかし、調査対象国のうち13カ国では、懸念を抱く人は10人に1人以下でした。

新型コロナウイルスに対する懸念が前月比で最も減少したのは、スペイン(-15)、マレーシア(-9)、カナダ(-9)でした。一方、米国とサウジアラビア(ともに+3)では、懸念が再び高まっています。

注目の問題:気候変動

調査対象の27カ国において、気候変動を自国が直面する最大の問題の一つだと答えた人は平均16%で、先月より1ポイント上昇しました。その差は、オーストラリアの33%から、アルゼンチンのわずか3%までと様々です。

オーストラリアに続き、気候変動に対する懸念が最も高い国は、ドイツ(28%)、カナダ(24%)、ベルギー(23%)、インド(23%)、そしてオランダ(23%)です。

2022年5月から最も懸念が高まったのは、スペイン(+6)、韓国、イタリア(ともに+5)です。一方、懸念が最も減少したのは、米国と英国(ともに-3)です。

正しい方向へ向かっているか?

調査対象となった27カ国全体では、64%が自国は間違った方向に進んでいると回答し、36%が正しい方向に向かっていると考えています。

自国が間違った方向に進んでいると答えた人の割合が最も高かったのはペルー(92%)、次いでアルゼンチン(85%)です。先月から最もスコアが上昇しているのは、アメリカ(+9)、イスラエル、マレーシア(ともに+6)です。

一方で、「正しい方向に向かっている」のスコアが、オーストラリアで9ポイント、韓国で8ポイント増加しています。

一方、サウジアラビアは依然として自国に対してポジティブな考えを持つ人の割合が多い国です。

経済への注目

グローバルの平均では、3人に1人が自国の現在の経済状況を「良い」と答え(33%)、過半数が「悪い」と回答しています(66%)。

サウジアラビアは、依然として自国の現在の経済状況を「良い」と答える人の割合が最も高く、97%となっています。

インドは、 現在の経済状況が「良い」と回答した割合が前月から6ポイント上昇し、80%となり、最大の伸びを示しました。これは、インドが2019年3月(同じく80%)以来の高スコアを記録したことになります。

経済状況が「良い」との回答が前月より上昇した国は、他にサウジアラビア(+5)、スペイン(+3)、イタリア(+3)、トルコ(+3) の4カ国だけでした。

最も大きな減少はマレーシアで、前月から11ポイント下がっています。また、オランダ、南アフリカ、オーストラリアでは、現在の経済状況を「良い」とする割合が5ポイント減少しています。

アルゼンチンは引き続き最下位で、国の経済状況を「良い」と評価した人はわずか7%でした。


本調査について

イプソスの「世界が懸念していること What Worries the World調査」は、イプソス オンラインパネルシステムを通じて世界27カ国で実施されています。調査対象国は、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、フランス、英国、ドイツ、ハンガリー、インド、イスラエル、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、オランダ、ペルー、ポーランド、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、トルコ、米国です。

2022年5月27日~6月6日に、米国、南アフリカ、トルコ、イスラエル、カナダでは18~74歳、その他の国では16~74歳の成人を対象に、19,000件のオンライン調査を実施しました。データは人口のプロファイルに合わせて加重しています。

ダウンロード

社会