世界が懸念していること - 2022年5月
インフレに対する懸念は10ヶ月連続で上昇し、「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」の第1位を維持しています。
世界平均で3人に1人(34%)が、インフレを自国に影響を与える最重要課題のひとつと回答し、前月より2ポイント上昇しました。
イプソスが毎月実施している「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」では、10年分のデータをもとに、世界27カ国の市民が現在最も重要な社会問題や政治問題は何であると考えているのかを調査しています。今ウェーブは、2022年4月22日~5月6日に実施されました。
主な調査結果
- インフレは依然として世界的な懸念事項の第一位である。34%が現在自国が直面している最大の懸念事項の一つであると回答(2022年4月時点比2ポイント増)
- 貧困/社会的不平等(31%)、失業(27%)、犯罪と暴力(27%)、金融/政治的腐敗(24%)が上位5位を占めている。
- パンデミックに対する懸念は引き続き減少しており、コロナウイルスは8位にとどまっている。これは、3ヶ月連続でトップ5の懸念事項から外れたことになる
- 新型コロナウイルスが懸念事項のトップとなった国は日本のみ。1月の12カ国から1か国だけになった。
- 先月から国家間の軍事衝突が指数に加わり、世界的には14%と横ばいである。しかし、ドイツではトップの懸念事項となっている。
- 3人に2人(65%)が自国は間違った方向に向かっていると考えており、アルゼンチンがトップで、ペルーと日本がそれぞれ89%と87%でそれに続く。
インフレ
5月の世界の懸念事項は、インフレに対する懸念が引き続き高まっており、34%(2ポイント増)が自国が直面する最大の問題の1つであると回答しています。
過去10か月でこの問題に対する懸念は着実に高まっています。インフレに対する懸念の世界平均が毎月上昇し、前月より高くならなかった月は、2021年7月以降一度もありません。
当時は、気候変動と移民規制の間に位置し、自国に影響を与える課題として12%が選択し、10位でした。それが今年に入り、5人に1人(20%)が選択し、8位に上昇しました。
それ以降、上昇はより鮮明になり、市場全体で普遍的になっています。調査対象27カ国すべてで、5月の「インフレに対する懸念」の数値が2022年初頭より高くなっています。3月には2013年に指数に加えられて以来初めて懸念事項のトップ5に入り、先月は世界的にトップの懸念事項となりました。
4月は1カ国を除くすべての国で物価上昇への懸念が高まり、そして5月は18の市場で再び懸念が高まりました。先月から最も懸念が高まった国は、チリ(+12)、ポーランド(+9)、韓国(+9)です。
アルゼンチン、カナダ、英国、ポーランド、トルコ、米国では、すでにインフレが懸念事項の第1位となっており、今回オーストラリアがこれに加わりました。
新型コロナウイルス
新型コロナウイルスは、3ヶ月連続で最低スコアを記録し、8位(税金と気候変動の間)にとどまりました。
世界的に見ると、新型コロナウイルスに対する懸念は16%で、先月より2ポイント低下しましたが、3月よりは17ポイント低下し、年初の数値を19ポイント下回りました。
パンデミックに対する懸念の減少の規模を明らかです。 2月当時はまだ18項目中でトップの懸念事項でした。3ヶ月前には9カ国で懸念事項のトップであった新型コロナウイルスですが、現在では唯一日本だけでのトップの懸念事項となっています。
しかし、懸念が上昇したのは6カ国で、スペインが7ポイント増と最も大きく上昇しました。サウジアラビアは懸念が3ポイント上昇し、27カ国中4位となりました。
注目の問題:国家間の軍事衝突
先月、「世界が懸念していること」に「国家間の軍事衝突」が追加されました。世界全体では14%と横ばいであり、ランキングでは11位(教育、移民規制の間)にとどまっています。
ドイツでの懸念は6ポイント上昇し、現在、この問題に関して世界で最も懸念を抱いている国となっています。ドイツ人は、18項目中、この問題を最も懸念しており、このような国はドイツだけです。
イタリア(+4)、ベルギー(+3)、日本(+6)がトップ5に入り、懸念が高まっています。先月トップだったポーランドは懸念が減少し、2位となりました。
懸念はヨーロッパ諸国で最も顕著ですが、ポーランドと同様、上位10カ国の多くは懸念が減少しています。スウェーデン(-5)、英国(-7)、フランス(-2)などがそうです。
正しい方向へ向かっているか?
調査対象となった27カ国全体では、3分の2(64%)が自国は間違った方向に進んでいると回答し、36%が正しい方向に向かっていると考えています。
自国が間違った方向に進んでいると答えた人の割合が最も高かったのはペルー(91%)、次いでアルゼンチン(86%)です。先月からチリで9ポイント、ハンガリーで8ポイント、スコアが上昇しています。
一方、サウジアラビア(93%)とインド(75%)は、依然として自国に対して最もポジティブです。一方で、イスラエルは先月から「正しい方向に向かっている」のスコアが9ポイント上昇し、スペインとコロンビアはともに6ポイント上昇しました。
経済への注目
グローバルの平均では、3人に1人(35%)が自国の現在の経済状況を「良い」と答え、過半数(65%)が「悪い」と答えています。
先月急落したスペインのスコアは12ポイント上昇し、30%の人が自国の現在の経済状態を「良い」と回答しています。イスラエル(+6)、カナダ(+5)でも上昇しました。
3月から4月にかけて12ポイント低下した英国のスコアは、今月さらに4ポイント低下し、26%となりました。その他の地域では、ポーランド(-7、21%に低下)、スウェーデン(-5、21%に低下)、マレーシア(-5、44%に低下)が最も低下していることがわかります。
アルゼンチンは今月も最下位で、国の経済状況を「良い」と評価した人はわずか8%でした。
本調査について
イプソスの「世界が懸念していること What Worries the World調査」は、イプソス オンラインパネルシステムを通じて世界27カ国で実施されています。調査対象国は、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、フランス、英国、ドイツ、ハンガリー、インド、イスラエル、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、オランダ、ペルー、ポーランド、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、トルコ、米国です。
2022年4月22日~5月6日に、米国、南アフリカ、トルコ、イスラエル、カナダでは18~74歳、その他の国では16~74歳の成人を対象に、19,000件のオンラインインタビューを実施しました。データは人口のプロファイルに合わせて加重しています。