世界が懸念していること – 2023 年 10 月: 移民規制への懸念がここ 3 年間で最高水準に

インフレは、世界が懸念していること調査において19 カ月連続で世界の懸念事項のトップとなっています。

(注)今月号に関する調査は、イスラエルとパレスチナ紛争以前の10月6日金曜日に終了しましたことを予めご了承ください。

世界的な移民規制に対する懸念は2ポイント上昇して15%となり、2020年3月以来の最高水準となりました。

インフレは過去19カ月間、 29カ国でトップの懸念事項であり、39%がインフレを大きな懸念事項であると答えています。

イプソスが毎月実施している「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」では、一般の市民が現在最も重要な社会問題や政治問題は何であると考えているのかを調査し、最新のスコアとその背景を10年分のデータをもとに探ります。今ウェーブは2023年9月22日~10月6日に実施されました。

主な調査結果

  • インフレ (39%) が 19 カ月連続でトップの懸念事項となっており、本調査史上最長期間、トップを維持している。
  • 移民規制に対する懸念(15%)は2ポイント上昇し、2020年3月以来の高水準となった。
  • 今月、カナダ (32%) とドイツ (25%) の 2 カ国がこれまでで
  • カナダはパンデミック以外では最低の、経済状況を「良い」とするスコア(29%)を記録している。
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インフレ

29 カ国のほぼ 10 人に 4 人 (39%) が、インフレを自国における最大の懸念事項の 1 つとして挙げています。

世界的に、生活費に対する懸念は2月に43%となり、ピークに達しました。以降、10人に4人が今年の課題として挙げるなど、高い水準で推移しています。

最も懸念を示している国はアルゼンチン (69%)で、今月は懸念が 3 ポイント上昇しました。同国は過去11カ月間、最も懸念を抱いている国です。

今月、インフレを最も懸念しているのは、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、インド、ポーランド、シンガポール、米国、トルコの10カ国です

インフレに対する人々の意識の詳細は、最新の 29カ国のグローバルインフレモニターをご覧ください。

移民規制

移民規制は世界が懸念していること調査の18の項目の中で 9 位にランクされており、世界全体の 15% が懸念事項に挙げています。これは先月より 2 ポイント増加し、2022 年 10 月より 4 ポイント増加しています。

ヨーロッパでは他の地域に比べて懸念がはるかに高くなっています。ドイツは現在最も懸念を示している国であり、44%が問題視しています。懸念は先月と比べて11ポイント上昇し、2022年10月以来26ポイント上昇ましした。これは、47%が移民を問題視した2016年2月以来の高水準となっています。

今月、顕著な上昇を示した他の国には、チリ (+5 ポイント)、米国 (+5 ポイント)、スウェーデン (+7 ポイント) が含まれます。

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犯罪と暴力

29 カ国の 3 人に 1 人弱 (31%) が、犯罪と暴力を自国の懸念事項として挙げています。

今月、スウェーデン人の10人に7人近く(68%)が犯罪と暴力について懸念しており、9月から11ポイント急増しました。イプソスの調査において、スウェーデンでこれほど高いスコアを記録したのはこれが 2 回目です。前回は2年前の2021年10月でした。なおこの調査が実施されたのは、スウェーデンのサッカーファン2名がベルギーで殺害されるた事件以前です。

先月急増した後、韓国 (28%) での懸念は 14 ポイント減少しました。急増した9月のスコアを除けば、これは同国にとって2019年6月以来の高水準です。

6 カ国の過半数が、犯罪と暴力が大きな懸念事項であると述べています。これらの国には、チリ、イスラエル、メキシコ、ペルー、スウェーデンが含まれます。

貧困と社会的不平等

貧困と社会的不平等は先月から変わらず、3分の1弱(31%)が懸念事項として挙げています。

インドネシアは3か月連続で貧困と社会的不平等を最も懸念しており、44%が問題視しています。これは金融/政治腐敗に次ぐ同国の2番目に大きな懸念事項でもあります。

ベルギーの 3 分の 1 (32%) がこの問題を自国の大きな懸念事項に挙げており、先月から 6 ポイント上昇しました。これは税金とインフレに次いで同国にとって3番目に大きな懸念事項となっています。

貧困と社会的不平等を自国の最大の懸念事項とする国は、ブラジル (43%)、オランダ (40%)、日本 (34%) の 3 カ国となっています。

失業

29カ国で 4 人に 1 人 (26%) が、自国における最大の懸念事項の 1 つに失業を挙げています。この懸念のレベルは先月から変わりません。

南アフリカは失業を最も懸念しており、64%が懸念事項として挙げています。 2021年4月以降、南アフリカ人は雇用について最も懸念を抱いています。

南アフリカに次いで、シンガポールが2番目に懸念を示す国となっています。シンガポール人の半数 (49%) は、失業を主な懸念事項の 1 つに挙げています。これは先月から14ポイントの増加で、同国における今年の最高水準を記録しました。インフレに次いで同国で2番目に大きな懸念事項となっています。

経済に対する満足度

世界の 3 分の 1 強 (35%) が、自国の現在の経済状況を「良い」と回答しています。 2023 年に入ってから景況感はほとんど変化しておらず、34% から 36% で推移しています。昨年の今頃、「良い」という回答はは32% でした。

6ポイントの低下により、カナダはパンデミックの最盛期を除けば最低の、自国の経済状況を「良い」とするスコアを記録しました。これは、カナダ人の60%がジャスティン・トルドー首相が次の選挙の前に辞任すべきだと考えているというイプソス・カナダによる最近の世論調査に続くものです。

前月比 で9 ポイントの上昇により、インドはさらに順位をを上げました。10 人に 8 人以上 (83%) が自国の経済状況を肯定的に評価しています。

先月以降、前向きな経済認識が最も高まったのは、トルコ (+9 ポイント)、ハンガリー、チリ、ブラジル (それぞれ+ 9 ポイント) でした。一方、マレーシアは 14 ポイント減の 39% を記録しました。ベルギー (-8 ポイント) とカナダ (-6 ポイント) も前月比で顕著な減少を示しています。

夏の間に経済に対する前向きな認識が高まった後、スウェーデンのスコアは先月から3ポイント低下し、過去最低を記録しました。

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本調査について

イプソスの「世界が懸念していること What Worries the World調査」は、イプソス オンラインパネルシステムを通じて世界29カ国で実施されています。2023 年9月 22日~ 年10月6 日に、カナダ、イスラエル、マレーシア、南アフリカ、トルコ、米国の18~74歳、インドネシアとタイの20~74歳、シンガポールの21~74歳、その他の国では16~74歳を対象に、20,570人のオンライン調査を実施しました。

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