世界が懸念していること - 2019年9月

世界では、自国が正しい方向に向かっていると考えているのはわずか39%です。最大の懸念は、失業、犯罪・暴力、金融・政治腐敗、貧困・社会的不平等です。

イプソスの「世界の懸念事項調査(What Worries the World study)」によると、 調査対象である世界28カ国の過半数(平均61%)が「自国が間違った方向に進んでいる」と感じており、南アフリカ(85%)、イタリア(83%)、スペイン(79%)、イギリス(77%)が最大の懸念を示しています。

「世界の懸念事項調査(What Worries the World study)」は、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、中国、フランス、イギリス、ドイツ、ハンガリー、インド、イスラエル、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、ポーランド、ペルー、ロシア、サウジアラビア、セルビア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、トルコ、アメリカの74歳未満を対象にしに実施している毎月のオンライン調査です。

この調査では、調査対象28カ国の人々の多く(平均61%、前月比4ポイント増)が「自国は間違った方向に進んでいる」と回答していることがわかりました。しかし、それぞれの国のスコアには大きな差があります。

正しい方向

これまでの傾向と同様、中国の人々は自国の方向性に最も自信を持っており、93%が「正しい方向に向かっている」と考えています。次いでサウジアラビア(82%)、その後にインド(72%)、マレーシア(52%)が続きます。

  • 今月、肯定的な回答が最も増加した国はハンガリー(25%)で、4ポイント増加した。そのほかに目立って増加した国はない。

間違った方向

  • 南アフリカ、イタリア、スペイン、イギリスの調査対象者は、自国の方向性に対する不安を最も強く感じている。南アフリカでは「自国が正しい方向に向かっている」と思う人はわずか15%で、イタリアで17%、スペインで21%、イギリスで23%と続いている。
  • イタリアは前月から16ポイント減少し、ポジティブな感情が最も低下した国でもある。
  • また、イスラエル(42%)でもポジティブな感情は前月から12ポイント低下した(前月は楽観的な国の上位5位だった)。サウジアラビア(82%)も同様に前月比9ポイント低下した。その他、アルゼンチン(-8)、トルコ(-8)、南アフリカ(-7)、スウェーデン(-7)なども低下した。

世界の5大懸念事項

  1. 失業 (33%):この問題を最も懸念している国は南アフリカ(64%)で、イタリア62%、韓国58%と続いている。トレンドを見ると、この問題の懸念が最も上昇したのはサウジアラビア(43%)で、前月比10ポイント上昇した。韓国は前月比8ポイント低下で最も低下幅が大きい。ドイツ(9%)はポーランド(10%)と共に、最も懸念の少ない国である。
  2. 犯罪・暴力 (31%):この問題を最も懸念している国はメキシコと南アフリカ(いずれも65%)で、次いでペルー(61%)。スウェーデン(54%)は前月比9ポイント上昇し、この国としては2018年2月(56%) 以来、最も高い数字。ロシア(8%)、サウジアラビア(11%)、ポーランド(13%)は最も懸念の少ない国である。イタリア(26%)では前月比7ポイント低下している。
  3. 金融・政治腐敗 (31%):この問題を最も懸念している国はペルーと南アフリカ(60%)で、ロシア(53%)がこれに続いている。注目すべき上昇は、チリ(39%)、アルゼンチン(35%)、米国(23%)である(5ポイント上昇)。
  4. 貧困・社会的不平等 (31%):この問題を最も懸念している国はロシア(58%)で、セルビア(49%)、ドイツ(45%)と続いている。最も懸念の少ない国はアメリカ(17%)で、スウェーデンとサウジアラビアが僅差で続いている(22%)。前月比で最も上昇幅が大きいのはアルゼンチン(+7)とイスラエル(+6)。
  5. 医療 (25%)
本調査は2019年8月23日~9月6日、世界28ヶ国の19,521人を対象にイプソスグローバルアドバイザー調査のオンラインプラットフォームを通じて実施しました。対象の28ヶ国は 、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、中国、フランス、イギリス、ドイツ、ハンガリー、インド、イスラエル、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、ペルー、ポーランド、ロシア、サウジアラビア、セルビア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、トルコ、米国です。 アメリカ、南アフリカ、トルコ、イスラエル、カナダでは18~74歳、その他の国では16~74歳が対象です。データは人口動態構成を最もよく反映するように加重されています。
調査対象となった28カ国のうち17カ国(アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、ハンガリー、イスラエル、イタリア、日本、ポーランド、セルビア、韓国、スペイン、スウェーデン、イギリス、米国)では、インターネット普及率は十分に高く、カバーする年齢層の代表性があると考えられます。その他11カ国(ブラジル、チリ、中国(本土)、コロンビア、インド、マレーシア、メキシコ、ペルー、ロシア、サウジアラビア、セルビア、南アフリカ、トルコ)ではインターネット普及率が低いため、これらの国のサンプルはより裕福で、よりインターネットに接続した層を代表していると考えられます。各国の重要な新興の中流階級を代表する、理解すべき社会集団です。

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