2020年 世界難民の日

最近の世界的な調査によると、戦争や迫害からの避難を求める人々に関する原則への支持が増えていますが、調査対象者の半数はコロナウイルスへの懸念から、自国が難民を受け入れにくくなることを望んでいます。

2020年 世界難民の日を記念して実施されたイプソスの新たなグローバル調査によると、世界26カ国の調査対象者の大多数が、自国への避難を含め、戦争や迫害から避難する権利を持つべきだと考えるようになっていることがわかりました。しかし、新型コロナウイルスの発生に対する懸念から、自国では難民の受け入れを減らすべきだとの意見が強まっており、例えば、難民として入国した人々が本物の難民であるかどうか疑問視する声が高まっています。一方、26カ国の74歳未満の成人を対象にオンラインで実施されたこの調査では、難民が新しい社会にうまく溶け込む能力に対して人々がより肯定的になっていることが明らかになりました。

この調査で明らかになったこと

72%が、戦争や迫害から逃れるために自国を含む避難先を求める難民の基本的権利を支持している。これは2019年調査時の61%から11ポイント上昇している。この意見に同意していないのは21%で、難民に対する支持が調査対象となった国々で大きな伸びを見せ、昨年、意見が大きく分かれた時とはかなりの変化を見せた。難民の権利原則に最も同意する国は、スウェーデン (81%) 、オランダ (80%) 、スペイン (79%) などである。同意のレベルはフランス、ベルギー、ドイツで著しく増加した。韓国 (55%) 、ハンガリー (57%) 、マレーシア (60%) は、グローバル平均より同意する率が低い。

今回、「国境を閉鎖し、難民を受け入れない」と回答した人は49%で、2019年の40%から9ポイント増加したが、43%はこの意見に反対している。マレーシア (82%) 、トルコ (71%) 、インド (68%) の対象者が、現時点で自国の国境を難民に対して閉鎖することに賛成しているのに対し、スペイン (35%) 、日本 (37%) 、ポーランド (37%) の対象者は、閉鎖的な国境政策を支持する傾向が最も低い。2019年以来、国境閉鎖について最も強硬な意見が出ている国はマレーシア、ペルー、南アフリカ、チリである。

新型コロナウイルスの発生について具体的に質問したところ、49%が、自国はより多くの難民を受け入れる余地を減らすべきだと回答しているのに対し、10%は、もっと受け入れるべきだと回答している。10人中3人は、コロナ禍前のままであるべきだとしている。いまの時点で、難民にもっと開放的であることに過半数の支持がある国はない。より開放的でないことへの支持が最も高い国はトルコ (67%) 、ロシア (66%) 、ペルー (65%) 、マレーシア (64%) である。

13%が、コロナウイルスのため自国は世界中の難民を支援するための支出を増やすべきだと回答、34%が同レベルに維持したいと回答、38%は支出を減らすべきだと回答した。インドの人々は支出増加を支持する傾向が最も強く(33%) 、サウジアラビア、チリ (いずれも23%) が続いた。支出を削減すべきだとする回答が最も多かったのはメキシコ (52%) 、ハンガリー、カナダ (いずれも49%) であった。

世界全体では、59%が、実際に難民であると主張して入国した人々が本物であるかどうか疑わしく、経済的な理由や福祉サービスを利用するために入国したと考えている。これは2019年には5ポイント増加している。この意見に同意していないのは10人中3人で、昨年から変化がない。これは入国しようとする人々の動機について、全体的な意見のバランスがより懐疑的になっていることを示唆している。自国に流入してくる難民の信憑性を疑問視する割合が高いのはマレーシア(75%) 、インド、ロシア(いずれも74%) 、トルコ (72%) であり、逆に疑問視する割合が低いのはイギリス、スウェーデン、アメリカ (いずれも51%) 、ブラジル (47%) 、カナダ (44%) となっている。2019年以降、顕著に懐疑的になった国 (10ポイント以上増) は、マレーシア、ロシア、チリ、日本である。

しかし、難民が新しい社会にうまく溶け込む能力について、人々は昨年よりも肯定的になっている。世界的には、難民が新しい社会にうまく溶け込むという点では、2019年の38%から7ポイント増加して、ほぼ半数 (45%) が同意している。しかし全体的にみると、この問題に関する見方はかなり分かれており、44%がこの意見に反対している (2019年の47%から4ポイント低下) 。難民が社会にうまく溶けこむことについて、最も楽観的な国は、サウジアラビア (65%) 、インド (64%) 、アルゼンチン (61%) である。この意見に同意しない傾向が最も高いのは韓国 (26%) 、ハンガリー、ベルギー (いずれも28%) だ。アメリカ、オーストラリア、日本、ブラジル、サウジアラビアとフランス、イタリア、ポーランドなどの欧州諸国では、この意見に対する見方が大幅に (10ポイント以上) 前向きに変化した。その一方で、2019年以降、ペルーの人々は難民が新しい社会にうまく溶け込むことができるという確信を失っている。

この調査は、2020年5月22日~6月5日、世界26カ国の17,997人(アメリカ、南アフリカ、トルコ、カナダでは18~74歳、その他のすべての国では16~64歳)を対象にオンライン調査で実施されたものです。26カ国のうち15カ国 (アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イギリス、ハンガリー、イタリア、日本、オランダ、ポーランド、韓国、スペイン、スウェーデン、アメリカ) で代表性のあるサンプル構成となっています。

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