2018年 夏休みの計画
Europ Assistance は、ヨーロッパ、アメリカ、そして今回初めて調査対象となったアジアの休暇プランに焦点をあてた「第18回 夏季休暇の年次指標(18th annual Barometer on Summer holidays)」をリリースししました。2018年は、ヨーロッパで安定経済を維持している全ての国、およびアメリカ、ブラジルで夏休みの計画が固まりつつあります。ミレニアル世代は従来の慣行を崩し、これまでとは違うタイプの宿泊先やオンライン・レビューを新たに利用するようになりました。ソーシャルメディアは、アジア、アメリカ、ブラジルにおいて休暇を過ごす上で「なくてはならない」ものになってきていますが、一方で、ヨーロッパの人々はそれほど必要とはしていないようです。
2018年夏休みをとる計画はヨーロッパ、アメリカ、ブラジルで安定的。全体的に2017年を上回る
ヨーロッパの人々の間では、夏休みをとる計画は、昨年の増加に引き続き今年も高い水準を維持しています。「今夏、休暇をとる予定だ」と回答したのは64%にのぼっており、2017年の数値から1ポイント上昇しました。フランスはヨーロッパの平均上昇値を超え、休暇をとる人の割合で最高値を記録した国となりました(2017年比で+4ポイントの69%)。フランスの69%は、オーストリア(2017年比横ばいで66%)、スイス(横ばい)、イギリス(+1%) よりも3ポイント高い数値です。ベルギーでは「今夏、休暇をとる」意向を示した割合は63%(+3ポイント)、イタリア人で62%(+3ポイント)、およびスペイン人で61%(+3ポイント)でした。2018年に入ってはじめにアンケート調査を行ったポーランドとポルトガル両国においては、休暇をとる人の割合が最も低い結果となりました。ポーランドで「今夏、休暇をとる」と回答した人の割合は60%で、ポルトガルは59%です。
このように休暇をとる割合が高い水準で安定するという現象がアメリカ、ブラジルではさらに顕著に見られました。両国で夏休みの計画がある人の割合は、昨年よりも2ポイント増の68%です。
アジアは今回から調査対象に含まれましたが、休暇をとる人の割合は他国とほぼ同じという結果になりました。中国の人々の67%、インドでは64%が「今夏、休暇をとる」と回答しています。
休暇を取る人の割合が特に高かったのは、ミレニアル世代です。ヨーロッパでは、年配者の63%が「今夏、休暇をとる」と回答しましたが、35歳以下では65%、18-24歳では70%にも上りました。アメリカ、ブラジル、および中国においても、ミレニアル世代と年配層で同様の差異が認められましたが、インドにおいては反対の現象が見られました。インドでは、年配層よりも若年層の方が休暇をとる傾向が低かったのです。ミレニアル世代で59%だったのに対し、35歳以上では69%でした。
休暇期間は昨年大幅に短縮。フランス、スイス、ブラジル以外は2週間未満を維持
旅行に出かける期間についても、昨年同様、2週間未満が維持されました。夏季休暇の平均期間が最も短かかったのは、アジアとアングロサクソン系の国でした。インドと中国では平均1.3週間、アメリカでは1.5週間、英国では1.6週間となっています。対照的に、ブラジル、フランス、およびスイスにおける夏季休暇の平均期間は最も長い傾向にありました。ヨーロッパの2か国(フランス、スイス)では2週間、ブラジルでは、それよりも長い2.2週間でした。
夏休み旅行を見越した予約状況は各国で大幅に違う
ヨーロッパの人々の多くは、夏季休暇の4か月前を過ぎてから旅行の予約を行っています。しかし北部の国では早めに予約をする傾向があります。例えば、イギリス人とドイツ人のほぼ半数(49%)は、4か月以上前に予約しています。対照的に、南部の国ではその割合が低く、全体の3分の1ほどにすぎません。「4か月以上前に休暇旅行を予約する」割合は、イタリアでは35%、スペインでは33%となっています。
ヨーロッパ以外の国で予約が早いのはブラジルです。ブラジル人の51%は、「4か月以上前に予約をする」と述べています。これに次いで、その傾向が高かったのはアメリカで、その割合は46%でした。
アジアで「休暇をとる人」は、前述の国に比べてかなり衝動的に休暇をとる傾向にあります。4か月前を過ぎてから予約する人の割合は、インドでは65%、中国では81%でした。
数か国を除いて、休暇予算は全体的に安定した動き
2018年も、ヨーロッパの人々にとって「休暇予算」は、旅の目的地を決める際に考慮する要素のトップでした。ヨーロッパ人の52%は予算を目的地選定の不可欠な要素と考えています。今年、ヨーロッパ人の平均夏季休暇予算は、1,957ユーロでした。
夏休みの計画の有無、および平均休暇期間と同様に、休暇の平均予算は昨年と比較してもあまり変わっていません(-2%)。ただ、この背後には国によって差があるという事実が隠されています。
休暇予算が最も高い国は、同時に予算が増加をたどっている国でもあります。スイスの休暇予算が最も高い3,235 スイスフラン(2,710ユーロ相当)で+9%、次いでオーストリア(2,645ユーロで+9%)、ドイツ(2,376ユーロで+3%)、ベルギー(2,318ユーロで+6%)、そしてイギリス(1,955ポンド、2,230ユーロ相当で+23%)となっています。
ヨーロッパ南部・東部では、休暇予算が比較的低い傾向にありました。フランスの休暇予算は1,993ユーロで+1%、イタリアは1,776ユーロで+2%、スペインは1、658ユーロで横ばい、そしてポルトガルは1,370ユーロ、ポーランドは1030ユーロとなっています。
ヨーロッパから大西洋を挟んで向かい側にあるアメリカの休暇予算は、昨年減少を記録しました($ 2,643で-1%) が、今年は昨年比でほぼ横ばいとなっています。ブラジルでは、夏季休暇予算は5,209レアル(1,238ユーロ相当)で18%増を記録し、昨年減少した分を取り戻しています。
アジアにおいては、夏の休暇予算はヨーロッパ平均を上回っています。中国で「休暇をとる人」の休暇予算は、平均15,707元(2,035ユーロ相当)で、インドでは、181,626ルピー(2,234ユーロ相当)という結果でした。
旅行の目的地:国内や海辺が人気
2018年の休暇の過ごし方は「従来どおり」が主流です。自分が居住している国内での休暇を考えている人が圧倒的多数を占めています。ヨーロッパの人々の旅先のトップはいつも国内です。そして、昨年比で6ポイント減であるものの、その傾向が最も高いのはフランス人でした。フランス人で「休暇をとる人」の57%は、今夏、フランス国内を休暇の旅先にしています。これに僅差で続くのはスペインとイタリアです。休暇をとる人のうち56%(スペイン)、52%(イタリア)は、「夏の休暇は国内で過ごす」と回答しています。 また、「隣国で休暇を過ごしたい」と述べている例外的な国はベルギーとスイスです。ベルギーの人々は、自国ではなく「フランスで休暇を過ごしたい」と述べており(34%)、スイスでは、「スイスにいるよりも、イタリアに行きたい」(25%)という回答が見られました。
ヨーロッパの人々が国外旅行をする場合、行き先のトップ3は、スペイン、フランス、イタリアです。
イギリス人は旅の目的地としてスペインを好む傾向にあります(イギリス人で休暇をとる人の18%は、今夏、スペインに行く予定)。同様にスペインを好む国としては、次いでフランス(16%)、ポルトガル(26%)、ドイツ(15%)、ポーランド(9%)、イタリア(4%)です。
イタリアは、隣国に好まれる傾向にあります。スイスでイタリアを選んだ人の割合は25%、オーストリアでは29%でした。一方、フランスを選んだ人の割合は、スペインで12%、ベルギーで34%となっています。
大西洋をまたいだアメリカでも、旅先は国内がトップ(46%)です。ブラジルも同様の結果でした(33%)。アジアにおいても、国内が旅先のトップとなっています。中国では32%、インドでは25%が「国内で休暇を過ごす」と答えています。中国の人々は、国外旅行をする場合の行き先のトップに日本(21%)をあげています。
しかし、休暇を過ごす国がどこであれ、調査全対象国において、程度の違いはありましたが、海辺が旅先の人気ナンバーワンを維持しました。イタリア70%、中国68%、オーストリア67%、ドイツ65%、スペイン64%、スイス62%、フランス61%、ポーランド59%、ポルトガル58%、ベルギーとイギリス57%、ブラジル50%、インド48%、アメリカ43%が、「今夏、海辺で休暇を過ごす予定だ」と回答しています。
旅先を選ぶ動機となる理由を尋ねたところ、ヨーロッパで休暇をとる人があげた理由のトップは、「すでにそこに行ったことがあるから」という非常に保守的なものでした。この理由が全体の44%を占めたオーストリアは、この項目でトップを飾っています。
大西洋の反対側の国々では、「友人や家族がそこにいるから」が休暇の旅先を選ぶ一番の動機となっています(アメリカでは27%、ブラジルでは21%)。
中国では、36%が「やりたいと思っているアクティビティで旅先を選ぶ」と答え、インドでは「すすめられた」(25%)が、旅先を選ぶ理由のトップとなっています
… とは言え、ツアーを選ぶ傾向が高まっている
国内の旅先を訪れたり、海辺やすでに知っている場所を好んだりする従来型の休暇をとる人が多いのですが、新しいコトやモノを発見する「ツアー」も支持率を上げています。今年は、イタリア人の22%がツアーに参加する予定であり、この数字は昨年比で5ポイント増です。また、ブラジルの休暇をとる人の中でツアーに参加する人の割合は大変高く(40%)、インド(42%)や中国(47%)でも高い割合でした。
ヨーロッパ人はアメリカ人やアジア人に比べ、休暇中、仕事やソーシャルネットワークとの接続を切断する傾向が高い
休暇中に仕事やSNSとの接続を維持するかどうかという観点では、ヨーロッパ人とその他の国の人々で、大きな態度の違いが見られます。
ほとんどのヨーロッパの人々は「休暇中は完全に接続を外すつもり」と回答しており、イギリス(71%)、フランス(70%)でその傾向が顕著でした。一方アジアでは仕事との接続は維持する傾向が高く、中国、インドでは60%が「仕事との接続は切断しない」と回答しています。
SNSの場合は、ヨーロッパ人は使用頻度を少なくするようです。ヨーロッパ人の56%が「フェイスブックなどの一般的なSNSの使用頻度を少なくする」と回答しているほか、54%が、「インスタグラムなどの写真共有ネットワークの使用頻度を少なくする」と回答しています。
対照的にほとんどのアメリカ人、ブラジル人、アジア人は「休暇中は、通常と同じ頻度か、通常よりも多い頻度でSNSを使用する」と述べています。例えば、中国では69%が「一般的なSNSを、通常と同じ頻度で、あるいは通常よりも多い頻度で使用する」、78%が「通常と同じ頻度で、あるいは通常よりも多い頻度で写真共有ネットワークを使用する」と回答しています。
これまでとは違う宿泊先、オンライン・レビュー・・・ミレニアム世代は、新しい旅の習慣を推進している
再三になりますが、今年「休暇をとる人」は、これまでとは違う宿泊施設や経験を強く熱望しています。
このトレンドは、ミレニアル世代でより重要視される傾向にあります。彼らは、現地の生活様式を経験できる一戸建てやマンションのレンタルなど、深く入り込むタイプの宿泊に魅力を感じているのです。ヨーロッパ・アメリカのミレニアル世代の59%(全世代ではヨーロッパ46%、アメリカ38%)、およびブラジルのミレニアル世代の58%(ブラジルの全世代48%)、インドのミレニアル世代の55%(インドの全世代48%)が、このような宿泊に興味があると答えています。
ミレニアル世代は、休暇中のアクティビティの選定となると「新しい環境・文化的な経験をしたい」という意向が他の世代よりも強い傾向にあります。特に、ヨーロッパ、アメリカ、インドのミレニアル世代でこの傾向が顕著で、原始的なキャンプ、集団の結束力を高めるツアー、エコツーリズムなど「通常とは違うアクティビティにトライしたことあがる」と回答した割合は、それぞれ59%(ヨーロッパの全世代53%)、83%(アメリカの全世代67%)、81%(インドの全世代70%)となっています。
ミレニアル世代はソーシャルメディアユーザーとして重要な存在であるだけでなく、休暇が終わった後に、利用したサービス(ホテル、レストラン、航空会社、など)のオンライン・レビューを、他世代よりもたくさん投稿する傾向もあります。投稿の習慣は、アジアで最も多く見られます。中国96%、インド95%(全世代では中国93%、インド92%)が「レビューを投稿する」と回答しています。
夢の休暇
休暇をとる人には、自身の「夢の休暇」、あるいは「生涯に一度は訪問したい都市」に関して、共通のビジョンがあります。
ヨーロッパ、アメリカ、アジアの人々の「いつか旅行してみたい場所」のトップ4には、ニューヨーク、パリ、ロンドンが含まれています。
これらの都市に加え、ヨーロッパとアメリカの人々はローマへの旅行も夢見ています。一方で、非常に広大な面積の3か国(ブラジル、中国、インド)では、「行ってみたい都市」として国内の都市もあげられています。ブラジルでは「行ってみたい都市」の第4位はリオデジャネイロ、中国では北京が第2位、インドではニューデリーが第4位でした。
国のイメージについては、ヨーロッパの人々とアメリカの人々は同じような見方をしています。それ以外の国ではあげられたイメージを持つ国として、自国をあげています。
「景観や自然」の魅力と言う観点では、どの国の人々も同じような国をリストアップしています。タイ(ヨーロッパ、アメリカ、中国の回答)とインド(ブラジル、インドの回答)が「最も異国情緒がある」と考えられており、一方で「最もワイルドな国」としてはオーストラリア(ヨーロッパ、アメリカの回答)と南アフリカ(ブラジル、インドの回答)があがっています。
ヨーロッパ以外の国では、フランス(アメリカ、ブラジル、アジアの回答)が、「最もロマンチックな国」と考えられていますが、ヨーロッパ諸国の人が「最もロマンチックな国」とみなしていたのはイタリアでした。
ヨーロッパとアメリカで「最も素晴らしい遺産のある国」(“文化的に最も豊か”で、“食べ物が最も美味しい”、そして“最も歴史的”な国)に選ばれたのはイタリアです。他の3か国(ブラジル、インド、中国)では、それぞれの自国を選んでいます。
最後に、国の雰囲気(“最もリラックスできる”、“最も友好的”な、そして“最も旅費が安い”)については、それぞれの自国が「最もその雰囲気によくあてはまる」と考える傾向にありました。
イギリスのEU離脱はイギリス訪問を考える際に影響を及ぼしている
ヨーロッパの人々の47%は、イギリスのEU離脱によって、ビザの発行や同国の国境を通過する際のセキュリティで今よりも時間が長くかかるようになった場合、「イギリスに行くことを考え直す」と回答しています。「イギリスに行くことを考え直す」という意思が最も強かったのは、スペイン(56%)とポルトガル(54%)でしたが、フランス(47%)、ドイツ(45%)、イタリア(45%)も懸念を示しています。対照的に、「ヨーロッパ諸国への訪問を考え直す」と回答したイギリス人の割合は、34%にとどまりました。
この調査の詳細なレポート(英語)は以下からダウンロードできます。
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