Ipsos Views:第4回 誰が社会問題解決の責任を負うべきか?
第4回 「誰が社会問題解決の責任を負うべきか?」
目にしない日はないほど注目を浴びるようになったESG(環境、社会、ガバナンス)ですが、この3領域のうち、国際企業に最も優先的に取り組んで欲しいと望まれているのはどの領域でしょうか。直近のデータでは、世界も日本も共通して、S「社会」という結果でした。日本は世界より10ポイントも高い半数以上がS「社会」を優先して欲しいと望んでいます。
では、S「社会」の何がそれほど望まれているのでしょうか。労働者の健康と安全を守ること、生活の安定を保証することなど、コロナ禍特有の要求が色濃く表れています。これは一年前に実施したときと同傾向であることから、状況はほとんど好転しておらず、人々は同じ要求をし続けていることが分かります。
では、政府のコロナ対策はどう評価されているでしょうか。世界も日本も低いですが、日本は直近の調査で際立って低い結果となりました。
企業もパンデミック収束に向け積極的に取り組んでいます。しかし企業に対する評価も、政府より若干高いとはいえ低レベルです。
では、人々は政府より企業に期待をしているのでしょうか?
期待を寄せるのは政府が圧倒的です。企業は政府が行き届かないところを助けることはできても、それ以上の介入はできません。しかしここでさらに注目すべき点は、政府や企業だけでも問題は解決されず国民に行動が求められていることを世界が示している点です。ここで日本は見劣りし、国民の責任意識がグローバルより8ポイントも低い結果となっています。
今日、パンデミックの収束や地球環境正常化などの大規模な危機を乗り越えるため、政府と企業だけでなく、競合企業が協力して課題に取り組むなど、これまでにない協力関係が生まれています。一般国民すべてを巻き込む協力体制を政府が主導し、我々国民一人一人が当事者意識を持つことが、今一番必要なのかもしれません。
掲載調査結果を詳しくお知りになりたい方は、和田(潤子)までご連絡ください。