コロナ禍における中絶:女性の権利はパンデミックの影響を受けている

中絶を認めるべきだとする人は約70%で、2014年から5%減少し、世論調査開始時よりも低くなっています。

stethoscope and echography 経済が停滞する中、コロナウイルスの大流行による混乱が広がり、私たちの仕事、教育、医療に影響を及ぼしています。

政治家や医療関係者が軌道に戻るよう圧力をかけられてきた分野の1つに、緊急度の高い医療処置があり、何が必要不可欠な医療と見なされるかについて議論を引き起こしています。

専門家によると、これは中絶反対派に、このコロナ危機を利用して、女性が中絶手術を受けにくいときにそれを制限する機会を与えました。

Ipsosは過去6年間、中絶に対する世界的な見解を追跡してきており、今年、世界25カ国の約17,500人を対象に実施した調査では、過半数を大きく超える平均70%が中絶を許可すべきだと回答しました。しかし中絶への支持は2016年の75%から低下しており、2014年に調査が開始されたときよりも2%低い結果となりました。

全体的に、女性の中絶を受ける権利はヨーロッパで最も広く認められており、スウェーデン (88%) 、ベルギー (87%) 、フランス (84%) 、イギリス、オランダ、スペイン (いずれも83%) がその筆頭に挙げられます。一方、新興市場での支持は低く、マレーシア (24%) 、ペルー (48%) 、ブラジル (53%) 、トルコ (56%) 、インド (63%) となっています。

中絶の支持が最も低い上位10カ国では、先進国はアメリカ (64%) と日本 (66%) だけです。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校産婦人科生殖科学科のDaniel Grossman教授は、 American College of Obstetricians and Gynecologists(米国産婦人科医学会)を含む医学界は、妊娠中絶医療が、緊急性を要する医療サービスで遅らせることも延期することもできない、必要不可欠な医療であることを明確にしてきた、と言います。

「アメリカのいくつかの州の政治家が、医学的に意味のない議論を使って中絶を禁止するという政治的目標を進めるために、パンデミックを利用しようとしていることは明らかだった」とGrossman教授は述べました。「幸いなことに、現在それは効果を発揮していない。」

Advancing New Standards in Reproductive Health (ANSIRH) のディレクターでもあるGrossman教授は、Greg Abbott テキサス州知事が州内の必要不可欠なサービス以外の提供を実質的に閉鎖する行政命令を出した3月と4月の間に、テキサス州の患者が中絶を受けるのに大きな障壁があったことを示す予備的データをいくつか見たと述べました。

「多くの患者が近隣の州でケアを求めたが、多くはその期間中受けることができなかった」とGrossman教授は述べました。

アボット州知事は3月下旬、医療上必要のないすべての手術を延期するよう州検事総長に命じ、“母親の生命または健康を保つために医学的に必要でない”中絶を含む規則であることを明確にしました。ミシシッピ州とオハイオ州も同様の動きを見せました。1カ月後、テキサス州でまた別の命令が出され、中絶が再開されました。

ニュージャージー州にあるラトガーズ大学政治学科のCynthia Daniels教授は、リプロダクティブ・ヘルス (性と生殖に関する健康) に関するアドバイスに重点を置いており、この政治的な動きはアメリカの低所得の農村地域に住む女性に害を及ぼすだろうと述べました。

「中絶のための公的支援を利用できない低所得女性は、長距離を移動し、多額の資金(1,000ドル以上)を調達し、妊娠の後期まで中絶の利用を遅らせる必要がある」とダニエルズ教授は言います。

「中絶を求めている女性の多くはすでに母親であり、意図せず妊娠したときに何らかの避妊をしていた。こういった人々の中絶に対してさらなる負担を強いることは、これらの女性とその家族に深刻な経済的、精神的ストレスを与えることになる。」

中絶を拒否したり遅らせたりするリスク 

専門家によると、望まない妊娠の中絶を制限したり遅らせたりすることに伴うリスクは、女性や子ども、その家族に短期的・長期的な影響を及ぼす可能性があり、また、必要な治療を受けていた場合に比べて、COVID-19の中で病院に運ばれる女性の数が増加する可能性があります。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校産婦人科・生殖科学科のDiana Greene Foster教授は、女性が求めている中絶を拒否された場合、彼女たちは、身体的健康、経済的安全保障、そして現在と将来の子どもたちの幸福に関して、より悪い結果に直面すると述べました。

Foster教授は「望まない妊娠を満期まで行うことは、妊娠および分娩の合併症の深刻な健康リスクにより曝されることにつながる。身体的健康リスクの増加は何年にもわたって健康を悪化させる」と話しました。

「一部の国では、中絶を拒否された女性が医療制度の外で安全でない中絶を求める。これもまた深刻な合併症を引き起こす可能性がある。」

希望した中絶を拒否された女性は、貧困レベル以下の生活を送る可能性が高く、自分と子どものための基本的な生活費を払うだけの資金が不足していると、フォスター教授は付け加え、将来、より良い状況下で望む子どもを産む可能性も低いと述べました。

妊娠初期以降の中絶は安全ではあるものの、初期の中絶よりも合併症のリスクが高く、費用がかかり、サービス提供者の数も少ないとGrossman教授は言いました。

「施設ベースのケアに対する障害に直面して、中絶を自己ですることを選択する人もいるかもしれない」とGrossman教授は述べました。「ミフェプリストンやミソプロストールなどの安全で効果的な方法もあるが、ハーブなどの他の方法を使用する場合もあり、効果が劣ることがある。また、子宮に物を挿入するなどの危険な方法もある。」

為すべきこと

パンデミックがもたらした課題にもかかわらず、専門家の間では、COVID-19が遠隔医療の恩恵をもたらしたという点では意見が一致しています。遠隔医療は緊急性のある基本的な医療を提供することができます。これはコロナが流行している間に拡大すべきです。

リプロダクティブ・ライツ (性と生殖に関する女性の自己決定権) に関する法律に焦点を当てているアメリカン大学の学部教育学部長でアカデミック・スチューデント・サービス副主任のJessica Waters氏によると、中絶の約40%に薬物による中絶が使われており、遠隔医療でも利用できるといいます。

「女性の4人に1人は一生のうちに中絶を選ぶであろうことがわかっている」とWaters氏は言います。「妊娠中の中絶は早い方が安全だということはわかっている。早期のタイムリーなケアへの障壁は、安全なケアへの障壁である。」

病院がCOVID-19の患者であふれかえっている中、女性が確実に中絶を受けられるようにするために政府や政治ができることに関して、専門家は、リプロダクティブ・ヘルスケアが不可欠であり、サービスへの障害を取り除く必要があることを認識することが最初のステップだと述べています。

Daniels教授は、中絶へのアクセスを阻む最も重要な障害の一つは、中絶への資金提供を禁止されている連邦資金の資金不足であると指摘しています。

「米国の一部の州では、限られた州政府の資金を提供している」とDaniels教授は言います。「政府や政治家は、女性が中絶、特に妊娠初期に中絶医療を受けるための資金を利用できることを保証すべきだ。」

「女性が望むときにいつでも中絶手術を受けること」に対して調査対象者の26%しか同意しないラテンアメリカ地域(アルゼンチン、チリ、メキシコ、ペルー、ブラジルの5つの国)で中絶がよりグローバルに受け入れられるようにするためには、教育がこの問題を理解する上で鍵となるとGrossman教授は述べました。

「研究によると、中絶を希望する人の理由についてより多くの情報が提供される場合、または中絶を希望する人と関係がある場合、人々は中絶を許可する政策を支持する傾向が強いことが示されている」とGrossman教授は述べました。

「ラテンアメリカにおける最近の傾向は、妊娠中絶法の自由化に向かっており、私は、コロナの世界的流行にもかかわらず、この傾向が続くと予想する。」

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