2022年都市ブランドランキング、ロンドンが2020年からのトップを維持。2位パリ、シドニーは3位に浮上

アンホルト イプソス都市ブランドインデックスの2022年版では、ロンドンが世界で最も賞賛される都市の座を維持しました。パリ、シドニー、ニューヨーク、ローマが上位5都市を占めていますが、上位10都市のうち下位の都市には動きがありました。

• ワシントンD.C.は13位から6位へ、バルセロナは2020年の14位から7位へと順位を上げ、トップ10入りを果たした。
• トロントは2020年の12位から8位に上昇、東京は2020年にトップ10入りを逃した後（16位）、今年は9位となりトップ10入りを果たした。
• ベルリンとサンフランシスコは同率10位でトップ10入り。

ロンドンが都市ブランドインデックス（CBI）総合評価でトップを維持

2020年にCBIのトップランキングを達成したロンドンは、世界の主要都市の中で最もポジティブなイメージを持たれています。ロンドンの評判の良さは、「存在感 Presence」、「人 People」、「活力 Pulse」、「将来性 Potential」の各指標でトップ10入りを果たしていることに起因します。 世界の調査対象者は、ロンドンが高等教育を受けるのに適した場所であること、就職が容易であること、自分の文化を理解し認めてくれる人がいる「溶け込める」都市であること、公共設備の水準が高いことについて最も肯定的に評価しており、2022年はこれらすべてのカテゴリーでロンドンがトップです。

ワシントンD.C.とバルセロナがトップ10入り

ワシントン D.C.は、今年6位でトップ10入りを果たしました。「存在感」と「将来性」でトップ5入りし、「条件 Prerequisite」、「活力」、「場所 Place」も比較的安定した順位で、ワシントンD.C.のランキング上昇に貢献しています。

バルセロナがCBI 2022で7位にランクインしたのは、「場所」、「活力」、「条件」、「人」の各指標でトップ10入りしたことが大きな要因となっています。バルセロナは、「人々が温かくフレンドリーである」「気候が快適である」という項目で2位にランクインしています。

トロントとベルリンが順位上昇

トロントとベルリンは、CBI 2022ランキングで著しい上昇を見せた2都市です。2020年に惜しくもトップ10入りを逃したトロントは、「条件」、「人」、「将来性」の3項目でポジティブな評価を受け、現在8位につけています。ベルリンも2020年にトップ10入りを逃しましたが、「存在感」と「活力」で15位以内に入り、10位（サンフランシスコと同率）にランクアップしています。

東京の評判が回復

東京は、これまでの調査ウェーブで、都市ブランドランキングに変動がありました。2011年は10位、2013年は17位、2015年は15位、2017年は11位、そして2020年は16位でした。今回、東京は9位となり、11年ぶりにトップ10入りを果たしました。東京はすべての指数において改善されましたが、特に「場所」と「人」の指数では、それぞれ11位と5位を獲得しています。また、「活力」と「存在感」でもトップ5にランクインしています。

指標をリードする都市

6つの指標すべてで、上位5都市は、欧州、北米、アジア太平洋の3地域の都市で占められています。中南米やアフリカ・中東の都市は、いずれの指標でも上位5位以内には入っていません。 

「存在感」指数の上位5都市は、すべてCBIの上位10都市であり、そのうち3都市は全体でも上位5都市に入っています。また、「存在感」のトップ5には、ヨーロッパから2都市（ロンドン、パリ）、北米から2都市（ニューヨーク、ワシントンD.C.）、アジア太平洋地域から1都市（東京）と、複数の地域から選出されています。

「場所」指数の上位5都市には、アジア太平洋地域の1都市（シドニー）、欧州の4都市（ウィーン、ローマ、パリ、バルセロナ）が含まれています。
「条件」指数の上位5都市は、北米（トロント、バンクーバー）、アジア太平洋（シドニー）、ヨーロッパ（アムステルダム、ベルリン）の3つの地域の都市で構成されています。

「人」指数の上位5都市は、アジア太平洋地域（シドニー）、北米地域（トロント、バンクーバー）、ヨーロッパ地域（ウィーン、ロンドン）の3地域の都市で構成されています。

「活力」指数の上位5都市はすべて、総合ラインキング上位10都市にランクインしています。また、この項目は、ヨーロッパ（パリ、ロンドン、ローマ）、北米（ニューヨーク）、アジア太平洋（東京）の3地域の都市で構成されています。

六角形の最後の指数である「将来性」は、3つの地域の都市で構成され、そのすべてが総合ラインキング上位10都市に入っています。北米の3都市（ニューヨーク、トロント、ワシントンD.C.）、欧州の1都市（ロンドン）、アジア太平洋の1都市（シドニー）がトップ5を構成しています。

国家ブランドインデックス（NBI）上位10カ国とその都市

国家ブランド指数（NBI）上位国の都市は、それぞれの国の評判によるイメージアップの恩恵を受けることができ、またその逆も然りです。国家ブランド指数（NBI）と都市ブランド指数（CBI）において、世界の調査対象者の評価は類似していますが、3つの特徴があります。

• 2021年版のNBI上位10カ国は、ドイツ、カナダ、日本、イタリア、英国、フランス、スイス、米国、スウェーデン、オーストラリアである。NBI上位10カ国のうち8カ国（ドイツ、カナダ、日本、イタリア、英国、フランス、米国、オーストラリア）は、少なくとも1つの都市がCBI上位10都市にランクインしている。
• 残りの2カ国（スイス、スウェーデン）は、CBIの上位10都市からは外れるものの、少なくともトップ25位以内にはランクインしている。
• CBI総合ランキングのトップ10には、NBIのトップ10に入らない国の都市が1つだけ含まれており、それはバルセロナである。しかし、2021年のNBIの総合ランキングでは、スペインはトップ10リストのすぐ外（11位）にランクインしている。

Simon Anholt 氏は以下のように付け加えました。

「現代史で最も激動の2年間を経ても、世界で人気のある都市は、2020年と同じ都市でした。これは、アンホルト イプソス国家ブランドインデックス(Anholt-Ipsos Nation Brands Index) の調査結果をより強固にするもので、パンデミックは世界の他の国々に対する人々の見方にほとんど影響を及ぼしておらず、人々これまでと同様の理由で、同じ国や都市を賞賛しているのです。その国のイメージは驚くほど揺らぎにくく、ポジティブなイメージを損なうことは、ネガティブなイメージを改善することと同じくらい困難なのです。

したがって、パンデミックやその対応によって国際的なイメージが損なわれ、その結果、貿易、観光、投資を誘致する能力が低下したのではないかと心配する都市政府は、おそらくその心配はないでしょう。ごく少数の例外を除いて、パンデミックは、人々が都市や国についてすでに信じていることを強化する役割を果たし、ほとんどすべての都市や国に等しくその影響を及ぼしました。パンデミックによって国全体のイメージが悪化した場合（例えば中国の場合）でも、その都市は概ねダメージを免れます。北京、香港、上海は、NBIにおける中国よりも、CBIにおけるスコアの低下がはるかに小さくなっています。

2022年のCBIのフィールドワークは、ロシアのウクライナ侵攻前に行われたので、モスクワの31位に変化はありません。しかし、これまでの調査結果から、国際世論は武力紛争に非常に厳しいので、次の調査ではモスクワの順位が大幅に下がると予想されます。」