3年生の教師であるメリッサ・エドワーズさんは、新学期が始まってから約2週間後にフロリダ州オーランド地区の小学校の教室に戻る予定ですが、新学期のスタートは1週間遅れたと言っています。
「贅沢と呼べるかどうかは分かりませんが、家にいる贅沢はできません。」と語るエドワーズさんは、小学生と高校生の男の子ふたりの母親でもあります。
「私は決して心配しているわけではなく、ガイドラインに従っていますが、開始が早すぎると思います。もう少し待てると思いますが、そのような決断は自分ではできません。」
15年間教師をしているエドワーズさんによると、彼女が教鞭をとる学校では対面学習の選択肢を用意しており、子どもたちが直接学校に行くことも、ビデオストリーミングによる遠隔学習を選ぶことも可能だといいます。これまでのところ、3人に2人の親が子ども学校に通わせることを選んでいますが、それは変わるかもしれません。
「私は、学校が始まる前に(対面とオンラインで教室構成を変える)準備を、少なくとも一度か二度はしています。」とエドワーズさんは言いました。「私が住んでいる地域では、多くの症例が発生しており、それが変化する可能性があると考えています。」
フロリダ州では7月30日現在、10.000人近くの新たなコロナ感染患者が発生しており、先週末にはアメリカで二番目にコロナウイルスの感染患者数の多い州として、ニューヨーク州を越えました。
40歳のエドワーズさんは、仕事でも遊びでもいまだにバーチャルで会い、マスクを着用することを義務付けられ、感染者数が増加している数週間のうちに、子どもたちを学校に行かせるのは意味がないと言いました。
「子どもたちは実験台のようです。少し気になります。」とエドワーズさんは言います。「私はただそれから離れようとしているだけです。それが私の考えのすべてにならないようにしています。」
エドワーズさんは、世界中の多くの親や教育者の一人です。コロナウイルスの大流行の中で新学期がどのように始まるのかについて、深刻な疑問を抱いています。
世界16カ国を対象にした最近のグローバル世論調査によると、調査対象者の65%が子どもが学校に通うことができる日数を制限することを支持しています。韓国 (83%) 、インド (81%) 、メキシコ (80%) 、南アフリカ (77%) 、ブラジル (74%) 、中国 (73%) の新興市場で最も高く、米国 (71%) がこれに続きます。
これに加えて、回答した親のほぼ半数 (48%) が、半年以内に子どもの登校や登園の再開を支持していると回答しました。最も支持が低いのは「1か月以内」の再開で7%です。しかし19%の親は「既に再開している」と回答しています。
症例が少ないうちに再開する
親は子どもが学校に戻るのをもっと長く待ちたいと思うかもしれませんが、医療専門家によると、患者の発生率が低いときに学校に戻ることは、発生率が急上昇したときの備えをテストするためのより良い選択肢だといいます。
トロントにある大学保健ネットワークの感染予防・予防部門の医療責任者で、感染症専門家でもあるスージー・ホタ博士によると、9月に学校が始まるカナダでは、6カ月後に学校に戻るよりも、新学期に合わせて戻るほうがいいと言います。
「半年後には、冬がやってきて室内で過ごす時間が増え、呼吸器系ウイルスの流行が最高潮に達する。私の地域のCOVID-19流行曲線の谷にいる間に、むしろ今、学校を再開するという難関を乗り越えたいと思う。冬へのよい備えになるかもしれない」とトロント大学の准教授でもあるホタ教授は述べました。
マクマスター大学医学部准教授でトロント郊外に住む感染症内科医のザイン・チャグラ博士もこれに同意し、良いときに時間を活用して学校に子どもを通わせ、悪いときには子どもを外に連れ出すことを検討する必要があると付け加えました。
「患者の発生率がいま最低なので、早いほど良い」とチャグラ博士。「地域社会での感染率が学校内での感染拡大に影響することはわかっています。」
教師や遠隔学習の懸念
しかし、米国ジョージア州アトランタでは、幼稚園から小学校5年生まで英才を教えている小学校教師のレイチェル・ブラックウィッキー氏が、8月17日からビデオ・ストリーミングを利用して、バーチャルで生徒たちを教える準備をするために火曜日に学校に戻ります。
37歳のブラックウィッキーさんは、生徒も教師もお互いを恋しく思っていることを知っているので、対面授業に変更になることには抵抗はないが、生徒同士の交流を管理する難しさもわかっていると話しました。
「おやつを分け合うし、手を洗ったりすることはほとんどなく、常に何かを口に入れています。」と教職に就いて8年になるブルックウィッキーさんは語ります。
「子どもが口に指を入れる回数をコントロールする方法はないと思うので、そこが心配です。特に助ける人がいない場合は。」
4歳と5歳の2人の男の子の母親でもあるブルックウィッキーさんは、自分自身の健康と、教師を守るためにどのような対策が講じられるのかについても心配しているますが、教師の健康は考慮されていないことが多いと言います。
「そのうちの何人(の教師)が無症状かコロナ患者だったことがありますか?コロナにかかったらどうすればいいのでしょうか?代理はいるのでしょうか?コロナに罹患して死ななくても、また罹患したらどうすればいいのでしょう?どちらも病気休暇として扱われますか?私の地区は遺言書の作成を手伝ってくれますか?」
しかし、教育委員会がまだ答えなければならない問題があるにもかかわらず、ブルックウィッキーさんは、遠隔教育に対する親の懸念も理解していると言いました。「彼らの[彼女の子どもたち]モンテッソーリ校は引き続き授業を行う予定ですが、私は春の経験を考えると、小さい子どもが対象の遠隔学習には懐疑的です。Zoomミーティングをしていましたが小さな子どもがただ座っているのを見ているようでした。」
「私は子供たちが学問的に後退していると思いますが、結局は大丈夫だでしょう。」
発生防止対策
学校がどのようなアプローチをとることにしても、専門家は、子どもが学校に通う日数を制限することは、個人の曝露リスクを低減する可能性はあるが、完全に排除するわけではないことに同意しています。また、このような対策が物理的距離をとることなどと比較して、学校での流行を予防するかどうかも不明です。
チャグラ博士によると、感染が増えるという理論上のリスクがあるため、特に親が育児と仕事を両立させるのに苦労している状況では、このアプローチは全か無かのアプローチだと言います。
「子どもたちが教室にいない曜日にデイケアに行かなければならなかったり、他の家族と一緒にいなければならなかったりすると、逆説的に、より多くの人々にさらされることになり、その結果、より高いリスクを戻すことになる」とチャグラ博士は述べました。
ホタ博士は、複雑なスケジュールは幼い子どもや専門的なニーズや高いニーズを持った子どもには良くないという問題と共に、ホームスクーリングの日に保育を確立することなどの課題もあるだろうと付け加えています。
「学校への出席日数を制限するという戦略は、地域がいつ、あるいはもしかすると、コミュニティへのコロナの感染が拡大しているのかを考える上で、より重要かもしれない。」とホタ博士は述べました。
ウイルスの拡散を防ぐために教育者が取ることのできる対策に関して、チャグラ博士は次の戦略を実施すべきだと述べました。
- 戦略的にずらした開校・閉校時間
- 生徒を1つのユニットとしてまとめ、他のユニットから離しておく。これにより感染があれば1つのユニット内となり隔離は1つで済む
- 教師と生徒(可能な限り)にマスク
- 子供に積極的に手指衛生を教える
- 全生徒を対象とした学校に入る前の症状スクリーニング
- 非共有を促進するための学生用の個別の備品
- 晴天時の活動にできるだけ屋外を利用することへの配慮
一方、ホタ博士は、頻繁に触れる表面の消毒を含むこれらの対策をとれば、年度を通じてすべての学校でコロナウイルスが発生しないことを保証するものではないと付け加えています。
「新型コロナウイルスの患者が学校内で発生した場合、広範な感染を防ぐために迅速に対応できるよう準備する必要があります。」