不安、ストレス、孤独:コロナが労働者の生活に与える影響
イプソスが世界経済フォーラム World Economic Forum のために実施した新たなグローバル調査によると、労働者の約半数が、新型コロナウイルスの流行の結果として、仕事の安定 (56%) 、仕事の習慣や組織の変化によるストレス (55%) 、育児など家族からのプレッシャーによるストレス (45%) 、仕事と生活のバランスを見つけるのが困難 (50%) といった不安の増大を経験したことがあると答えています。
世界28カ国の約13,000人の労働者男女を対象として、11月20日~12月4日にイプソスが実施したオンライン調査は、労働者の生活に広範な混乱が生じていることを示しています。パンデミック発生以来、調査対象者の52%は在宅勤務を、32%は長時間労働を、30%は短時間労働を、30%は休職を経験し、15%は辞職したと回答しています。
世界の労働者の多くは、ある時点での労働時間の増加と、別の時点での労働時間の減少の両方を経験しており、パンデミックの周期と居住国の政策に応じて、異なる方法で適度に適応しなければなないことがわかります。
世界の労働者の半数弱が、生産性の低下 (46%) や、早朝や深夜などの通常とは異なる時間帯での労働 (44%) を報告しています。
在宅勤務をした人の半数近くが、在宅勤務をしたときに孤独や孤立を感じたことがある (49%) 、またはホームオフィスの設備が不十分だったために在宅勤務が困難になったことがある (46%) と回答しています。
特に、35歳未満、企業経営者、意思決定者、低所得労働者、女性、大卒者層では、パンデミックに関連した仕事上の生活の変化が自分たちの健康に悪影響を与えていると回答する傾向があります。
調査結果の詳細
パンデミック発生以降の仕事関連の変化
パンデミックの発生以来、次のような状況が続いている:
- 世界の労働者の52%が在宅勤務―コロンビアでは74%、日本ではわずか26%
- 全体の32%が労働時間の増加を経験―インドでは59%、日本ではわずか12%
- 全体の32%が労働時間の減少を経験―インドでは49%、オランダではわずか13%
- 全体の30%が休職を経験―韓国では50%、スペインではわずか9%
- 全体の15%が辞職―インドでは33%、ベルギー、日本、オランダではわずか9%
労働時間を短縮した人、辞職をした人の中では、それを選択したのは半数のみです。一方で在宅勤務をした人、労働時間を増加した人、休職した人の中では義務や必要性という理由よりも、それを選択したという傾向が見られます。
調査対象国全体では、企業経営者、意思決定者、大卒者の約3分の2が在宅勤務を経験しており、一方、大卒でない層で在宅勤務を経験しているのは約3分の1です。
企業経営者、意思決定者、高学歴層に加え、コロナの大流行以来、大きな混乱を経験してきたことで際立っているのは、低所得労働者層と35歳未満層の2つのグループです。特に、労働時間の短縮と仕事を辞めることに関しては大変な経験をしています。
コロナ禍による労働生活の変化がもたらす健康への負の影響
新型コロナウイルスの大流行で、世界の労働者の約半数が以下を経験したと回答している:
- 仕事の安定をめぐる不安の増大 (56%) ―マレーシアで74%、オランダではわずか24%
- 仕事の習慣や組織の変化によるストレス (55%) ―ペルー、サウジアラビアで72%、オランダではわずか26%
- 仕事と生活のバランスを見つけるのが困難 (50%) ―サウジアラビアで69%、日本ではわずか22%
- 生産性の低下 (46%) ―マレーシアで64%、オランダではわずか23%
- 育児など家族からのプレッシャーによるストレス (45%) ―南アフリカ、サウジアラビアで64%、オランダではわずか18%
- 通常とは異なる時間帯での労働 (44%) ―ペルー、サウジアラビアで44%、日本ではわずか16%
在宅勤務をしている人の約半数が以下を経験したと回答している:
- 自宅で仕事をしているときに孤独や孤立を感じる (49%) ―トルコでは75%、日本ではわずか24%
- ホームオフィスの設備が不十分なために自宅で仕事をするのが困難 (46%) ―トルコでは67%、オランダではわずか23%
特に、35歳未満、企業経営者、意思決定者、低所得労働者、女性、大卒者層では、パンデミックに関連した仕事上の生活の変化が自分たちの健康に悪影響を与えていると回答する傾向があります。