社会背景から見るデータ:日本における休暇

日本における仕事と休暇の習慣に関するこのペーパーは、調査結果だけではなく、それに日本の文化の奥深さを加えた考察です。

世界各国と比較すると、日本人の被雇用者 は「与えられている有給休暇を全て使い切る」傾向が最も低い国であることがわかりました。日本の被雇用者で「有給休暇を全て使い切る」と回答した人の割合は、たったの34%でした。

Graphic Japan

また「1年に1度は、まるまる1週間休暇を取る」傾向が最も低かったのも日本人で、この質問に「はい」と回答した割合は24%です。さらに「休暇中は、仕事のメッセージやeメールをチェックしない」と回答した割合は32%に止まりました。

これらの数字を見ると、「日本人は仕事中毒」という認識が強まりますが、このペーパーの著者であるディアナ・エルストロム(Deanna Elstrom)と白浜史也は、必ずししもそうではないと主張しています。彼らは、日本における社会的状況・文化的背景や、休暇をとるための障壁について考察を行い、これらの数字の裏にある人間そのものをわかりやすく説明しています。

日本では、休暇、個人的なお休み、病欠は全て「休暇」とみなされます。この「休暇」は、一年を通して病気、緊急事態のほか、結婚式や福祉活動などがある日に小出しに使われていきます。ですから、有給休暇は、純粋に休暇のために使われるというよりも、むしろ生活上の現実をやりくりするためのものとなっているのです。

他人に「迷惑」をかけないように、あるいは、不都合が生じないようにしたいという社会的欲求があるからこそ、有給休暇を全て使い切ることをためらうという因果関係があることがわかります。

また、日本における国民の祝日は他国よりも大幅に多い、年間22日となっており、日本人は、このような祝日に恵まれているとも言えます。そして、夏季には祝日とは別に「お盆」休み(「故郷に帰省する」という伝統的な習慣)があり、「お盆」には連続で休暇がとれるという機会が皆に与えられています。

著者

  • Deanna Elstrom
    Consultant, Ipsos in Japan
  • Fumiya Shirahama
    Senior Research Executive, Ipsos in Japan

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