Data Dive: 生活費危機の中、消費者はシュリンクフレーションやスキンプフレーションに気づく

世界中の人々はまだ物価高の痛手を感じており、特に商品のサイズが小さくなったり、原材料が消えたりしていることに不満を感じている人が多くいます。

棚からお気に入りの商品を手に取ってみたら、以前より少し軽くなり、かなりサイズが小さくなっていた、という経験はありませんか?

それはあなただけではないようです。

企業の経営者たちは誰もがそうであるように、このインフレの時代に帳尻を合わせるべく、商品の製造・販売にかかる高いコストを抑えるための(顧客にとっては卑劣とも言える)方法を編み出しています。

シュリンクフレーションやスキンプフレーションの戦略は、短期的には買い物客を騙せても、長期的には、世界中の買い物客は2020年の新型コロナウイルスのパンデミック後の数年間で、さまざまな商品が小さくなり、変わってしまったことに気がついています。

さらにさかのぼると、フリート街のタブロイド紙は、2016年に英国国民がEU離脱に投票したことを受けて、「企業が国民を出し抜こうとしているという考え」を利用し、シュリンクフレーションについて英国人を煽ったのではないかと、イプソス英国のトレンド&フューチャー担当アソシエイトディレクター、Michael Clemenceは述べています。

以下では、この厳しい時代に企業が利益を上げるために行っているいくつかの若干独創的な方法と、それに対する買い物客の反応について深く掘り下げています。

1.オリーブオイルが水に変わる?
消費者の5人に1人強が、食材は変わるのに値段は下がらないこと(別名スキンプフレーション)に気付いている。

例えば、サラダのドレッシングに使う高価なオリーブオイルの量を減らし、代わりに安価な水を加えるという行為は、忙しい消費者が毎週の買い物の中で気づくのは難しい。しかし多忙な消費者も、家に帰りいつものドレッシングと比較し、味や口当たりがまったく違うことに気がつけば、何かが起きていることに気づくだろう。
 

カートに入れた商品の成分表をすべて読むような習慣がない限り、スキンプフレーションを見抜くのは難しいかもしれないが、33カ国の平均で22%がそうした習慣を見たことがあると回答している。

フランス人は食に対して実に強いこだわりを持っている。そのため、フランスで目が肥えた買い物客が自分たちの好む商品の変化に気づくのも納得できる。

イプソスフランスのシニアコンサルタント、Yves Bardonは、「フランス人の28%は数々の食品に対するスキャンダルのせいで食品業界を本質的に疑っており、原材料の変更を伝える報道やソーシャルメディアの話題に非常に敏感であるため、おそらくスキンプフレーションに気づいているだろう。こうした食材への敏感さは、フランス人が本物で伝統的な地元の製品をこよなく愛しているからだ」と述べている。Data dive | Inflation

2.サイズは重要だろう...Maybe size does matter… 
仕事帰りに急いでパスタとソースを買いに行ってもすぐにはわからないかもしれないが、帰宅後大切な人のために夕食を作ろうとしたとき、いつものパスタの量が1ポンドから4分の3ポンドになっていることに気づくかもしれない。

最近のイプソスのグローバル調査によると、33カ国の平均で46%が、商品のサイズは小さくなっているが価格は変わらない(別名シュリンクフレーション)ことに気づいたと回答している。

シュリンクフレーションを最も実感しているのはヨーロッパ諸国と北米諸国である。食材から人件費、家賃に至るまで、あらゆる物価が高止まりしている中で、企業は値上げをしない方法を模索している。

シュリンクフレーションに気づいた人の割合が多い上位5カ国は以下の通り: 英国(64%)、フランス(63%)、ドイツ(62%)、カナダ(60%)、オランダ(59%)。Data dive | Inflation

3.スナック菓子、小さくなった?
簡単には言えないが、どうやらスナック菓子が狙われているようだ。

人々が、サイズが小さくなったと感じている商品のトップは、風味豊かなスナック菓子(チップスやプレッツェルなど)であり、チョコレートやスイーツがそれに続く。

さらに懸念されるのは、パンやヨーグルト、ベビーフードなど、多くの経済的余裕のない家庭にとって日常生活に欠かせない商品が小さくなっていることに気づいたという買い物客の声だ。Data dive | Inflation

4.消えたチップス 
お気に入りのスナック菓子のサイズを小さくすることは犯罪に近いという意見もあるだろうが(というのはいささか冗談だが)、22%の企業や小売業者は、コスト上昇に対応する方法として、価格を据え置いたまま商品のサイズを小さくすることは容認できることだと回答している。

また同様の割合(23%)は、この行為について「容認できるものでもできないものでもない」と無関心なようだ。

約8年前のブレグジット投票後、ある甘いお菓子のサイズが小さくなり形が変わったことで、英国人は後味の悪い思いをした。英国のタブロイド紙に煽られたシュリンクフレーションの反応は非常に激しく、チョコレート会社はこの愛される製品を変えるという決定を撤回した、と当時についてClemenceは回顧している。

これまでも縮小や節約は消費者の反発を招いたが、パンデミック後のこの物価高の経済では、より一般的になりつつあるようだ。

そしてかなりの割合の英国人がこの問題に無関心であり、15%はシュリンクフレーションを容認できると回答し、22%は容認も否定もできないと答えている。「英国人は他の国より少しだけこの問題について長く考えてきたため、受け入れるとまではいかなくても、ある程度は諦めがつくのではないか」と、Michael Clemenceは述べている。

冷静に対処している人もいるが、英国ではほぼ5人に3人(59%)がシュリンクフレーションを容認していないと Clemenceは指摘している。Data dive | Inflation

5.高騰する価格を目の当たりにして
スナック菓子やその他の製品が縮小していることに不満を感じているのは英国人だけではないだろう。

イプソスグローバルインフレモニターの最新版では、10人に6人が、経済的にぎりぎりの生活を送っているか、非常に/かなり困難な状況にあることが明らかになった。また、シュリンクフレーションやスキンプフレーション戦略によって食品価格の上昇を曖昧にしようとする企業経営者の試みにもかかわらず、69%が今後数カ月の間に食料品の買い物にかかる費用が上昇すると予想している。

多くの人々がいまだに経済的に厳しい状況を考慮すると、半数近く (世界平均で46%) が、企業や小売業者がコスト上昇に対応する手段としてシュリンクフレーションを利用することは容認できないと考えるのは驚くべきことではない。

そして食にうるさいフランス人が、こうした行為に対し最も憤慨していることは、それほど驚くべきことではないだろう。

イプソスが調査を実施した33カ国のうち、シュリンクフレーションを容認できないと答えた人が最も多かったのはフランスだった(67%)。フランス政府はこの大問題に真正面から取り組んでいるが、一方で企業はほとんど無視を決め込んでいる。Out of 33 countries where Ipsos did polling, people in France are the most likely (67%) to say shrinkflation is unacceptable. The French government is tackling this big topic head on, while companies are essentially saying “who, moi?”.

「フランスのボルヌ首相は、シュリンクフレーションを禁止する法律を制定し、その間に製品量の変更について消費者に知らせることを義務づけたいと考えているが、業界関係者たちは否定的な立場をとりがちだ」とYves Bardonは述べている。Data dive | Inflation

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