「シュリンクフレーション」にうんざり...2023年が終わりを迎える中、人々は依然として危機感を感じる
主な調査結果:
- グローバルの平均で 33% が経済的に「何とかやっている」と回答しており、さらに 27% が経済的に困難であると回答している。
- 3分の2近く(62%)が自国のインフレ率が今後12カ月間で上昇すると予想しており、2022年4月の78%から減少した。
- 10 人に 7 人近くが、今後 6 か月の間に、食料品、光熱費、その他の家庭での買い物にかかる費用が増加すると予想している。
- 来年の生活水準(33%)と可処分所得(31%)は、下がるよりも上がると考える人が多い。
- 世界の人々のほぼ半数 (46%) は、製品サイズが小さくなっているにもかかわらず価格は変わらないことに気づいており、同様の割合 (48%) がこの「シュリンクフレーション」を容認できないと考えている。
- 懸念はわずかに薄れたものの、依然としてかなりの割合(世界平均で46%)が自国は不況にあると考えていると回答。
イプソスグローバルインフレモニターの最新版は、世界の多くの国の人々の間に経済的楽観主義のわずかな光が見えつつも、生活費危機の中で続く苦悩を浮き彫りにしています。
インフレの緊張は残る
昨年の今頃、専門家達は、インフレ率を低下させるためにいくつかの中央銀行が金利を引き上げたため、世界は2023年に深刻な景気後退に向かう可能性が非常に高いと警告し始めました。今年、世界的な不況は起きていませんが、恐ろしい警告は人々を怯えさせたようです。
現在、テクニカルリセッション(2四半期連続で成長率がマイナスになること)に陥っている国はほとんどありませんが、半数近く(33カ国の平均で46%)が自国は不況にあると考えており、 2023 年 4 月に同様に回答した49%よりわずかに減少しました。韓国 (79%)、ハンガリー (77%)、トルコ (77%) を筆頭に、9カ国で過半数を占めました。
多くの国は不況に陥っていないかもしれませんが、来年は失業率が上昇するとの見方は依然として高いままです。世界の59%が2024年には雇用が減少すると回答しており、多くの国で4月の前回調査から予想が上昇しています。イプソスグローバルインフレモニターの5回すべてのウェーブで対象国である英国では、失業率が上昇するとの予想が7ポイント増の62%となり、英国が記録した中で最高数値となっています。
33 カ国の 10 人に 6 人が、何らかの経済的プレッシャーを経験しています。そのうちのほぼ10人に3人(27%)が、経済的にやっていくのが難しいと感じており、2023 年 4 月からは 1 ポイント減少しています。さらに 33% が、 4月と変わらず何とかやっていけると回答しています。ここ数カ月、多くの国でインフレ率がやや緩和され、一部の国では生活費の負担が徐々に薄れているようです。 2023年4月と比較すると、生活するのが「非常に、またはかなり困難だ」と感じる割合は緩和されており、フランスでは30%から23%、英国では26%から23%、ドイツでは24%から17%となっています。
インフレは依然として世界の人々にとって大きな懸念事項であり、33カ国の 62% が今後 1 年間にインフレが上昇すると予想しています (2023 年 4 月からは 1 ポイント減少)。世界が懸念していること調査では、過去 20 カ月連続でインフレが最大の懸念事項となっています。
約 3 人に 1 人 (32%) は、来年中かそれよりも早く通常に戻ると楽観的です (+1 ポイント)。一方、21% はインフレは通常には戻らないと考えており (+2 ポイント)、インド (37%) と南アフリカ (同じく 37%) の国民が最も悲観的でした。
支出増加への予想も依然として高いままです。 33 市場のほぼ 10 人に 7 人が、今後 1 年間で食料品の買い物にかかる費用が上昇すると予想しており (69%、2023 年 4 月と比較して -2 ポイント)、同様の割合が電気やガスなどの公共料金の上昇 (68 %、変化なし)や、その他の家庭での買い物にかかる費用(66%、-1ポイント)の上昇を予想しています。
長く暗いトンネルの先に光が差す
しかし、多くの市場ではわずかながら楽観的な兆しが見られます。
かなりネガティブな見通しにもかかわらず、インフレモニターの5つのウェーブを通したデータによると、新型コロナウイルスのロックダウンやウクライナ侵攻に伴う消費者需要の抑制など、いくつかの要因によってインフレが加速していた2022年に比べ、世界的な景気の見通しに対する悲観的なムードがやや弱まっていることがうかがえます。
インフレの上昇を予想する割合は、調査対象となったほぼすべての国でこれまでよりも低くなっています。2022年4月から2023年11月までの間に、インフレが上昇すると予想する割合は、ドイツ(81%から52%)と英国(85% から 56%)の両方で29ポイント低下しました。
可処分所得が減少するとの予想も軟化しており、世界平均で 29% が可処分所得が減少すると考え (2023 年 4 月から -4 ポイント)、31% が可処分所得は増加すると考えています (+2 ポイント)。同時に、世界の人々の 33% (+5ポイント) が、今後 1 年間で生活水準が上がると予測しているのに対し、23% (-4ポイント) は生活水準が低下すると考えています。
また食料品の買い物を含む他の支出分野に関しても、上昇するとの予想は低いようです。 69% が1年間で食料品代が上がると予想していますが、これは多くの国で 2022 年よりも低くなっています。例えば、ドイツでは 2022 年 4 月から 2023 年 11 月にかけて、食料品代が上昇するとの予想が 16 ポイント低下しました (85% から 69%)。
苛立ちを煽る製品の縮小
33 カ国のほぼ半数 (46%) の消費者が、製品のサイズが小さくなっているにもかかわらず、価格は変わっていないことに気づいたと回答しています。 「シュリンクフレーション」はヨーロッパで最も多く見られており、この現象に気づいた人の割合が最も高いのは英国 (64%) で、僅差でフランス (63%) とドイツ (62%) の消費者が続いています。
一方、ラテンアメリカやアジア諸国では、「シュリンクフレーション」に気づいたと回答した割合はかなり低く、コロンビアでは28%、インドと中国では30%にとどまりました。
ほぼ 4 分の 1 (世界平均で 22%) が、コスト上昇への対応策として、企業や小売業者が価格を据え置いたまま製品のサイズを縮小することは容認できると回答しています。しかし、はるかに高い割合(48%)が「シュリンクフレーション」は容認できないと考えており、なかでもフランス人(67%)が最も憤慨しています。
この問題は欧州委員会が「欺瞞的なマーケティング手法」と呼び物議を醸しており、フランス政府はサイズが縮小された場合には消費者に通知することを保証する法律を導入すると発表しました。
本調査について
これは、イプソスがオンライン プラットフォーム 「Global Advisor」と、インドではプラットフォーム「 IndiaBus 」で、2023 年10月20日(金)~11月3日(金)にかけて実施した33カ国の調査の結果です。
今回の調査では、インドの18歳以上、カナダ、マレーシア、ニュージーランド、南アフリカ、トルコ、米国の18~74歳、タイの20~74歳、インドネシアとシンガポールの21~74歳、その他の国の 16 ~ 74 歳の成人計 24,792人を対象に調査を実施しました。
「世界各国平均」は、調査を実施したすべての国および市場の平均値です。各国や市場の人口規模に合わせて調整されておらず、総合的な結果を示すものではありません。