起業家精神は健在:今日の社会的課題に取り組んでいる

24カ国の調査対象者の28%が起業、9%が慈善団体をスタート

起業家精神は健在:今日の社会的課題に取り組んでいる

起業家精神は健在であることが、2018年9月下旬に世界24カ国で18,000人を対象に実施されたイプソス・グローバルアドバイザー調査で明らかになりました。調査実施国全体では、62%の調査対象者が起業家として重要な資質があることを示しており、10人中3人は強い資質を示しています。今回の調査実施国のうち、起業家精神のある人々の割合が最も高い国々は、メキシコ、インド、サウジアラビア、中国、南アフリカで、最も低いのは スウェーデン、韓国、日本です。

ビジネスを立ち上げるための起業家精神

起業家精神は伝統的な方法、すなわちビジネスを立ち上げることとして現れます。世界の調査対象者の28%が「ビジネスを立ち上げたことがある」と回答しており、30%は「まだしていないが、真剣に考えている」と回答しています。
将来についての質問では、世界の調査対象者の25%が「今後2年以内にビジネスを立ち上げる可能性が高い」と回答しています。これはすでに過去に起業した経験のある人たちの回答によるところが大きいのですが、はじめて起業する人たちも含まれています。
ここで重要なのは、新規に事業を立ち上げたいと考えている人々の属性は様々であるということです。男性(27%)、高所得層(32%)、高学歴層(32%)、ミレニアル世代(33%)が新規事業を開始したいと回答する傾向が高いのですが、低学歴層の16%、低所得層の19%、ジェネレーションXの27%、ベビーブーマーの12%、女性の22%も同様に起業したいと回答していることから、起業は必ずしも男性、高所得市層、高学歴層、ミレニアル世代だけのものではないことがわかります。

社会的起業家精神の台頭

新しいコミュニケーション技術や最近の社会的・政治的混乱を受け、ビジネスとは別の分野である慈善団体、コミュニティグループ、利益団体などの分野で社会的起業家精神が現れてきています。世界の対象者の9%が「これまでに慈善団体やコミュニティグループを立ち上げたことがある」と回答しており、また21%は「まだしていないが、真剣に考えている」と回答しました。
こういった社会的起業家精神の出現は、現在あるいはこれからの起業家がどのような人々であるかという現実を映し出しています。一般的に起業家は非起業家よりも、社会との関わりがはるかに高い傾向が見られます。
ビジネスや慈善団体などのグループをスタートしようと考えている人々は、何もスタートするつもりのない人々よりも社会との関わり(例:集会に参加する、社会的・環境的・倫理的な懸念のために購買行動を変える、慈善活動に参加・寄付する、社会的・政治的問題についてコメントや自分の考えをネットに書き込むなど)について高い指数が出ています(42% vs. 18%)。
将来についての質問では、世界の調査対象者の17%が「今後2年以内に慈善団体やコミュニティグループを立ち上げる可能性が高い」と回答しており、15%は「興味がある」と回答しています。これは、将来の起業家はビジネスの分野だけでなく、他の分野でもその精神を発揮する意思があることを明確に示唆するものです。
慈善団体、コミュニティグループ、利益団体を立ち上げたいと考えている人々の属性のトレンドは非常に明確で、ビジネスを立ち上げたい人々の属性と似通っています。

  • 慈善団体・コミュニティグループを立ち上げたいと考えている人の割合は、男性も女性も同率(いずれも17%)である。しかし世代別ではミレニアル世代(21%)、ジェネレーションX(17%)、ベビーブーマー(9%)とミレニアル世代でより高い結果となり、所得別では高所得層(22%)、中所得層(17%)、低所得層(12%)と高所得層が高く、学歴別では高学歴(23%)、中学歴(16%)、低学歴(9%)と高学歴層が高いという結果である。
  • 利益団体を立ち上げたいと考えている人の割合は男性(16%)のほうが女性(13%)よりも若干高い。世代別ではミレニアル世代(19%)、ジェネレーションX(14%)、ベビーブーマー(8%)。所得別では高所得層(21%)、中所得層(13%)、低所得層(10%)。学歴別では高学歴(19%)、中学歴(16%)、低学歴(12%)という結果である。

起業に対する感情

感情的な側面を見ると、起業する見通しに対する感情は、否定的なものよりも肯定的なものであることがわかりました。たとえば、調査対象者の過半数は起業について考えるときに感じることは「興味がある」(55%)と「断固とした決意」(50%)であると回答しています。しかし将来、企業活動を最大化するために、乗り越えなくてはならない感情的な障壁があるようです。起業に対して「不安」を感じると回答したのは42%、「恐れ」を感じると回答したのは36%でした。

起業家精神と肯定的な感情を育むことの重要性

将来、ビジネスや地域団体などを立ち上げようとしている人々と何も立ち上げる意思のない人々を比較すると、立ち上げようとしている人々の間では高い起業家精神(64%)と起業に対する肯定的な感情(42%)を抱いており、何も立ち上げる意思のない人々では、起業家精神は19%、起業に対する肯定的な感情は20%でした。起業家精神を育み、起業に関する感情的要素をうまく扱うことの重要性はこのように現れています。

テクノロジー

テクノロジーは起業のための活動を促進するために非常に有用なツールではありますが、現在または潜在的な起業家がテクノロジーを操る「魔法使い」だと推測するのは賢明ではありません。世界24カ国の調査対象者の39%は新しいテクノロジーに追いつくのに苦労していると回答しています。また、AIを信頼していると回答しているのは35%に過ぎません。事業や団体を立ち上げようとしている人々のうちでも、53%は新しいテクノロジーに追いつくのに苦労しており、38%はAIを信頼していません。

政府の役割

政府は起業家精神を育成する上で何らかの役割を果たすと考えられていますが、これは国によって大きく異なります。世界24カ国の調査対象者の48%は、政府が起業家精神を積極的に支援することを期待しており、アルゼンチン、ハンガリー、メキシコ、ロシア、南アフリカ、スペインで特に高い割合を示しています。一方、その割合が低いのは日本、スウェーデン、アメリカです。起業家精神促進への支援について、政府への期待とその実績のギャップが大きいと回答したのは、アルゼンチン、ハンガリー、メキシコ、ロシア、南アフリカ、スペインです。唯一、実績が期待を上回ったのはポーランドです。

本調査は2018年4月20日~5月4日に、カナダとアメリカでは18歳~64歳、その他の国では16歳~64歳の18,000人を対象とし、イプソス・オンラインパネルシステムを使用して世界24カ国(アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、中国、フランス、イギリス、ドイツ、ハンガリー、インド、イタリア、日本、メキシコ、ニュージーランド、ポーランド、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、トルコ、アメリカ)で実施されたものです。データは各国の人口構成比に合わせて加重されています。

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