エスノグラフィー:現実を曇りなき眼で見つめる
エスノグラフィーは文化的な慣行、儀式、消費者行動、日常の行動、社会通念の調査に用いる調査手法です。この手法を使えば、新しい方法で人々を取り巻く世界を見ることで、また、行動を調査の中心に据えることで、クライアントは今までは見えなかった機会を見出すことができるようになります。
エスノグラフィーでありふれた日常に意味を見出す
元来、エスノグラフィーは、はるか遠い島々の部族や文化を理解するメソッドとして使われていましたが、現在は、自身が身を置いている文化など、あらゆる文化に適用されています。エスノグラフィーは、ヘルスケア、金融サービス、日用消費財(FMCG)から自動車まで、数多くの産業分野で使用されています。また、この手法は人間の行動そのものを理解することに専門特化されたものなので、適応性も非常に高いものです。
フィールドワークのテクニックとしては古いものではありますが、時には、斬新で革新的なマーケットリサーチの調査手法として特徴づけられることがあります。
時に「エスノグラフィー」という言葉を、マーケットリサーチ業界の人間が誤用したり、不十分な定義付けを行ったりすることもあります。折に触れて、リサーチツールをより革新的に見せるために、このトレンディな言葉が使われる事例もあります。「エスノライト(ethno-lite)」、「セルフ・エスノグラフィ(self-ethnography’)」、「ウェブノグラフィ(webnography)」、そして何と、「グラスノグラフィー(glassnography=調査対象者が“スパイめがね”を着用する」というものまであるのです。
このペーパーは、まず原点に立ち返り、対象領域で使える実践的なガイドとなっています。
掲載されている内容は以下のとおりです。
- エスノグラフィーを構成するもの、エスノグラフィーについて
- なりすましのケース:エスノグラフィーではないもの
- エスノグラフィー的なインサイトに基いて意思決定を行う