Flair France 2018 爆発寸前?おびえている?それとも、震えている?

エコノミスト誌は、フランスを「ヨーロッパの中心部にある時限爆弾」、あるいは「勝手気ままに真実を否定する国」と称し、同国を2017年のカントリー・オブ・ザ・イヤーとしました。おそらく、エマニュエル・マクロン氏が大統領に選ばれたことがフランスに対する世界の見方を変えたようです。

これは、「フランスは文句ばかりを言うのをやめ、確信を持って未来の検討を始めるべきだ」という合図なのでしょうか?今年のIpsos Flairでは3つのポイントについて考えました。「約束が守られないことに腹を立て、怒りで爆発寸前のフランス」、「世界がスピーディに変化している様を目の当たりにしておびえるフランス」、そして「再び未来に向かって進展できると言う考えについて喜びのあまり震えるフランス」の3つです。

1. フランスは前進している

フランスのGDPは年間で1.9%成長し、労働者は1.1%増を記録しました。そして、政治権力、海外の影響は双方とも刷新され、両方が合わさって、さまざまな認識がプラスに転じるようになりました。すでに、外国投資家の60%、そして米国投資家の72%が、フランスの経済環境は改善すると見ています。 

2. フランスでは財布の紐が緩み始めている

ブラックフライデーには、4億2,800万件の取引があり、トータルの売り上げでは38億ユーロ相当になります。2017年の自動車の売り上げは、政府からは何のインセンティブがなかったにもかかわらず、10.3%増を記録しました。フランスの自動車メーカーの売上だけを見ると、20%増という躍進を遂げています。2017年は、フランス在住者4,200万人が休暇で旅行にでかけました(2016年よりも220万人増加)。

3. フランスはもはやバックミラーを見ていない

「昔のフランスはよかった」と考える調査回答者の割合は、74%から64%に減少しています。将来に関してはプラス思考が見られています。これは調査回答者の53%(2015年4月より10ポイント増)が、「フランスの未来には、機会が満ちている」と考えていることから伺えます。

4. フランスは大変革をもたらす国

“Dégagisme” (「出て行け」主義”:古い政治からの決別の意味) は、2017年の政治上のバズワードです。大統領選に直接選挙が導入されて以来はじめて、保守的なド・ゴール派の伝統を重んじる代議士、社会党の候補者のいずれも大統領選の決選投票時には立候補していないという事態に発展しました。これによって、極右のポピュリスト政党の候補者と、無所属の候補者の2人が最終戦に残ったのです。エマニュエル・マクロン氏は2年前、一般市民には知られていない存在でした。しかし同氏は、わずか6か月で、フランスで最も有力な政治的権力を作り上げたのです。

5. フランスは美しくありたい

テレビタレントのステファン・ベルン氏は、フランスの建築遺産保全という使命を担っていますが、古い石造りの建築物以上に現在注目を集めているのは人間の身体です。フィットネスクラブの会員になっているフランス人男女は546万人を記録しました(2016年は2015年から5%上昇)。「不完全」として認識されていたものも、今や、個人の人格を主張する前向きな方法の一つとされています。Glossierは「実生活から影響を受けた美容ブランド」というポジションに位置づけ、M.A.C.は、セルフ・クリエーション という美学のトランスジェンダーな部分を広告キャンペーンで“More than T ”という表題を使って打ち出しています。

6. フランスはアップグレードされたい

フランスの消費者は、豪華な生活に慣れやすいという特徴があります。お抱えの運転手の車に乗る、特別なパスがないと入場できないイベント・セール(「プライベートセール」)に行く、割引価格でビジネスクラスに乗って旅行する、などがわかりやすい例です。アップグレードされたいとか有利な扱いを受けたいと思ったら、単純にお願いしてみます。しかし、結局のところ、数あるセールスポリシーの中で、唯一「積極的」と認識されたポリシーだけが、増大化した消費者パワーを「最初」に、「真っ先」に投影したポリシーとなります。そして、この「積極的」なポリシーによって、定評のあるブランドにも損害が生じ、有効な経済モデルでさえも危うくなっていまうです。この現象を非常によく表している事例は、長距離空輸やリテールバンキングの2つです。

7. フランスは人工知能に賭けている

AIが特に役立つセクターは、医療分野です。AIは医師の少ない田舎で医師不足を補完し、個人的支援を日々提供し、高齢者ケアの向上を図ることもできるのです。AIがあることによって、賃金の安い国に外部委託できない、家庭用デジタル機材、医療機器、ロボットなどのメンテナンス、遠隔地にいる患者のための「医療監督」というような新しい仕事も数万件発生することでしょう。AIは、治癒・予防を観点としたヘルスケア分野における中核的な変化です。

8. フランスはいつだって美食の国

「おいしい食事」は67%のフランス人消費者にとって基本的な喜びであり、60%は「よい食べ物」を道楽の基本条件と考えています。しかし健康が食事に関連する主要な懸念事項となっているのも事実です。55%のフランス人消費者は料理することをヘルシーな食事を取る手段と考えており、93%はバランスのとれた食事こそ、健康維持に欠かせないと考えています。

9. フランスは若さを取り戻している

エマニュエル・マルコン氏が大統領になったことで、権力や能力の象徴も変わりました。若さは格下とみなされることはなくなりました。年齢と技術と責任は、もはや自動的に連動しなくなったのです。ミレニアル世代の意見は重要であると捉えられており、AccorHotelsは35歳以下のメンバーだけで構成される「影の取締役会」を設けた第一号の主要企業となりました。

10. フランスは国家としてのアイデンティティを守りたい

この懸念があるために、フランス人はフランスの全人口に対する移民の割合を過大に見積もってしまう傾向があります(調査対象者の回答平均は26%、実際は12%)。フランス在住のイスラム教徒の割合についても同様のことが言えます(調査対象者の回答平均は31%、実際は8%)。さらに「2020年には、全人口の40%がイスラム教徒で占められる」だろうと見積もっています(なんと、たった2年後ではありませんか!)。

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