Flair Russia 2020 - 持続可能性を求めて
1. 持続可能な開発
ロシアでは、公共・民間組織の影響力に後押しされ、持続可能性と社会的責任に関する消費者の意識が高まっています。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の中で、ロシア人が最も重要だと考えているのは健康と福祉、そして飢餓と貧困がないことです。発展途上の都市やコミュニティは、産業、インフラ、そして清潔な水や衛生への配慮やプラスチック廃棄物との闘いなど、環境保護に重点を置く傾向があります。ロシアではブランド・アクティビズムが広告の重要な側面として浮上しています。これはZ世代と共鳴するものでもあります。
2. 新しい消費パターン
行動を変えるということに関しては、ロシア人は、健康的な生活やリサイクル廃棄物の分別など、社会的に受け入れられる責任ある行動の新しい習慣を示す必要性と、実際にこれらの新しい行動パターンを採用する必要性の間を行き来しています。ロシアでは、世界の他の地域と同様に、問題を認識することと、それを解決するために必要なことを行うこととの間に大きなギャップがあります。例えば、ロシアの消費者の80%が環境問題について懸念を示しているのに対し、環境に有害な成分を使用しない製品に高い価格を支払う意思があると答えたのはわずか47%です。人々は快適さを犠牲する準備がまだできていませんが、その代わりに日常生活に合った責任ある環境に優しい習慣を求めています。
3. 包装の役割の変化
数年前、ロシアの消費者が健康的なライフスタイルを最優先するようになると、人々は製品の包装ラベルを注意深く読み始めました。しかし、今ではさらに一歩踏み込んで、社会的に受け入れられるエコ消費パターンに適合して、ゴミを分別するときに包装の「エコ」のマークをを探すようになりました。容器包装の選択には、消費者にとって社会的、倫理的な側面があることがわかります。イプソスの2019年トレンドビジョン調査によると、ロシア人の75%が分別するゴミ入れが設置されている場合には、ゴミの分別に前向きであることがわかりました。しかし、それらが設置されていても、分別を適切に行う方法についての理解が不足しています。これは国全体が取り組まなければならない長期戦です。しかし良い面としては、この取り組みには政府の強い支持があるということです。
4. 間食を再考する
ロシアは「健康的な間食」を発見しました。ソ連の伝統では、食べ物は一日の三回の食事時間に「予定通りに」消費され、ロシア人の食生活には間食は全くありませんでした。間食を健康的な食事の重要な一部として取り入れた新しいライフスタイルは、間食が何であるべきかに対するロシアの消費者の理解を完全に変えました。イプソスのRusIndexによると、パッケージ菓子の売り上げは2014年の54%から2018年には44%に減少し、ナッツ、ドライフルーツをベースにしたもの、新鮮な果物、野菜などの人気がますます高まっています。
5. 自分の健康に対する責任
自分の健康には自分で責任を持つことが、ロシアでは当たり前になりつつあります。これは国でも企業レベルでも支援され、推進されています。個人の健康、疾患予防、食事、運動習慣に対する態度に基づいて、消費者の4つのセグメントを定義しました。「Health carers (健康に気を遣う層)」(28%)、「Pytocuties(スムージーを飲んで理想の体型の写真をInstagramに投稿するような層) 」(13%)、キャリア志向の「Surviving rationalists(キャリア志向の生き残る合理主義者層)」(19%)、「Family-free and enjoying life(家族を持たず生活を楽しむ層)」(31%)の4つです。ブランドは、健康の重要性というトレンドに乗るためには、これらのセグメントのどれをターゲットとするかを決定する必要があります。
6. メンタルヘルス
ロシア人の70%が職場でストレスを受けているという推定もありますが、彼らは精神的な健康をそれほど心配しているわけではありません。ロシアでは精神疾患に関連しない逸脱行動を抑制するために精神医療施設が歴史的に利用されてきたためか、ロシアは精神疾患のある人々に対して寛容でない国だと思われます。ロシア人の76%は、精神疾患を持つ人を公的機関から除外すべきだと考えています。
7. 若々しい老後
ロシアの高齢者は購買力が高く、新たな希望を持っています。60歳以上の人々は、健康的なライフスタイル(57%)、医療(35%)、住宅または別荘(ダチャ)の改修(20%)、旅行(19%)、金融投資(12%)を望んでいます。単身の年金受給者の方が旅行の計画に高い意欲を示しています(全体19%に対し24%)。この年齢層では10人に6人がインターネットユーザーであり、10人に3人がソーシャルネットワークユーザーです。
8. 裕福なトレンドセッター
積極的な消費者であるこのグループは、地球に優しい生活と責任ある消費も先導しています。ロシアの都市人口全体では、環境目標に貢献するために行動パターンを変えようとしているのは45%であるのに対し、富裕層では59%です。彼らは、異なる価格セグメントのブランドと製品を混在させる傾向があり、ブランドには環境的にも倫理的にも責任があると考えています。彼らはモノではなく印象にお金を使うことを好みます。
9. カーシェアリング
モスクワは最大のカーシェアリング車両の保有台数 (約25,000台) で、さらに増加しています。ロシア全土で27のカーシェアリング企業が15の都市で運営されていますが、その市場は、モスクワでさえも、飽和状態には程遠いようです。モスクワ市民もそう思っているように、まだいくつかの障壁はあります。「使用後のレンタカーの責任(50%)」、「厳密に定義されたゾーンや都市の制限の外でのレンタルを終了できないこと(38%)」、「近くで無料のカーシェアリングができないこと(35%)」などです。これは、カーシェアリングサービス(33%)に関する一般的な知識の欠如に加えてのことです。カーシェアリングの発展は、これらの問題を自然に改善し、ロシア全土でサービスをより利用できるようになるでしょう。
10. ブランドへの信頼がかかっている
ロシアの消費者は、ブランドの環境への配慮と責任、個人データのプライバシーとセキュリティなど、一貫性のない膨大な情報に困惑しています。Global Advisor調査によると、ロシアでは10人に8人以上が、企業が環境に十分配慮していないと考えていることがわかっています。消費者はブランドに対する態度を考え直さざるを得ません。すなわち、ブランドへの信頼が脅かされているということであり、少なくとも確立された信頼水準を維持するためには、さらなる努力が必要です。新しい責任ある世界という新しい価値体系の中で、何が「良い」で、何が「悪い」かを消費者が決定するための指針となるブランドが勝ち組になるでしょう。