米国は多くの分野で他国に比べて低評価ー世界的調査
イプソスが実施したグローバルアドバイザー調査(Ipsos Global Advisor Survey)によると、世界の人々は米国を、経済関連の分野を除く幅広い分野で「平均以上」ではなく「平均以下」と評価する傾向が高いことが示されています。調査は、29カ国の20,000人以上を対象に、2020年6月~7月にオンラインで実施されました。
調査対象者の40%は、世界に良い影響を与えるという点で、米国を他国と比較して「平均以下」だと評価しだました。「平均以上」だと評価したのは27%に過ぎず、33%が 「平均的」だと評価しました。
世界的に見ると、今回評価項目となった13分野のうち、「平均以上」が「平均以下」を上回ったのはわずか5分野で、いずれも経済関連の項目でした。米国は、7分野で他国と比較して全体的に低い評価ですが、特に「近隣諸国や他国を尊重する」、「人権を尊重する」、「国際平和と協力に貢献している」、「市民の権利を尊重している」という項目ではネットスコア(「平均以上%」から「平均以下%」を引いた差)が悪いという結果になりました。
今回の調査では、米国の対する各国の評価に大きな違いが見られます。13項目すべてを合わせてみると、米国への見方が最も否定的に傾いている国は、オランダ、ベルギー、ドイツ、スウェーデン、フランス、カナダ、イギリスといった米国の伝統的な同盟国を含むすべての西側民主主義国です。米国を肯定的に評価する傾向が最も強い国は、インド、ポーランド、イスラエル、ブラジルと米国自身です。
調査結果の詳細
13の評価項目の中で、世界の人々が、米国をほかの国々と比較して「平均以上」だと評価した割合が「平均以下」と評価した割合よりも多かったのは5項目のみで、すべて経済関連の領域でした。米国がプラスのネットスコア(「平均以上%」から「平均以下%」を引いた差)を得ているのは、次の五つの領域です。
- 好調な経済 (+29)
- 世界経済への貢献 (+17),
- 国民が良好な生活水準を享受している (+13),
- 良い投資先である (+9)
- 国際的な社会経済発展への貢献 (+1)
世界中の人々は、経済に関係のないあらゆる分野で、米国を「平均以上」よりも「平均以下」と評価する傾向があります。
- 近隣諸国・諸外国を尊重する (-34)
- 人権の尊重 (-24)
- 国際平和と協力への貢献 (-22)
- 国民の権利の尊重 (-20)
- 世界にポジティブな変化をもたらす (-13)
- 契約と法の支配の尊重 (-12)
- 文化・芸術への強いコミットメント (-6)
- 強力な民主主義的価値観と制度を有する (0)
13項目それぞれについて、米国の実績を「平均以下」と評価するよりも、「平均以上」と評価する米国人の方が多いという結果でした。米国の調査対象者のさまざまな項目に関するネットスコアは、」「世界経済への貢献」の+42から、「近隣諸国・諸外国を尊重する」の+5まで幅があります。
世界の調査対象者と比較すると、米国人は評価対象の13項目のうち12項目で自国の実績をより楽観的に見ています。唯一の例外は「好調な経済」です(米国のネットスコアは+21で、世界平均を8ポイント下回っている)。
自国に対する米国人の評価が、他国の市民からの評価と最も乖離しているのは、以下の項目です。
- 人権の尊重(米国のネットスコアは+18、世界全体は-24、すなわち米国のスコアが世界全体よりも42ポイント高い)
- 近隣諸国・諸外国を尊重する (+5 vs.-34、米国が39ポイント高い)
- 国際平和と協力への貢献 (+16 vs. -22、米国が38ポイント高い)
- 世界にポジティブな変化をもたらす (+23 vs. -13、米国が36ポイント高い)
13項目をすべて組み合わせると、調査対象国別の平均ネットスコアは、インドの最高+34からオランダの最低-42となり、世界平均では-5となります。
ネットスコアの平均が+20を超える国(すなわち、すべてのパフォーマンス分野の平均で、米国を「平均以上」と評価した人の割合が、「平均以下で」と評価した人の割合を20%以上上回っている)は、次のとおりです。
- インド (+34)
- ポーランド (+29)
- イスラエル (+27)
- ブラジル (+25)
- 米国 (+22)
ネットスコアの平均が-20よりも低い国は、次のとおりです。
- オランダ (-42)
- ベルギー (-41)
- ドイツ (-37)
- スウェーデン (-34)
- フランス (-29)
- カナダ (-29)
- イギリス (-22)