インターネットの安全性と信頼性

CIGIとイプソスのグローバル調査によると、一年前に比べ、オンライン上のプライバシーに対する懸念度は高まっていると過半数の人(52%)が述べています。およそ10人中6人は、ソーシャルメディア(63%)と検索エンジン(57%)には、「力がありすぎる」と回答しています。

センター・フォー・インターナショナルガバナンス・イノベーション(CIGI: Centre for International Governance Innovation)の依頼でイプソスが世界25カ国で実施した調査よると、世界各地のインターネットユーザーの半数以上(52%)が、「一年前に比べ、オンラインのプライバシーに対する懸念度が高まっている」と回答しています。また、ソーシャルメディア(63%)と検索エンジン(57%)には、「力はありすぎる」と考えている人が過半数でした。

おそらく、近頃メディアで、データ所有権や情報漏えいの問題に焦点があてられているため、過半数(52%)の人々が「一年前に比べ、オンライン上のプライバシーに対する懸念度が高まっている」と回答したと考えられます。中でも、懸念を示す割合が最も高まっているのは、ラテンアメリカ(63%)と中東・アフリカ(61%)でした。オンライン上のプライバシーについて比較的懸念度が高かった国では、4分の3(74%)の人々が「インターネット企業」がこの懸念の高まりを助長している回答していいます。その割合は、サイバー犯罪者(81%)にひけをとらないばかりではなく、他のインターネットユーザー(66%)、自国の政府(63%)、企業全般(61%)、外国政府(58%)、雇用主(48%)をも上回っています。興味深いことに、調査対象国の中で、高まる懸念の源として「自国の政府」を指示した割合が最も高かったのは、アメリカ(78%)でした。また、アメリカでは「インターネット企業」が助長していると回答したのは83%と高い割合でした。

世界のインターネットユーザーの間では、ソーシャルメディアや検索エンジン、インターネット技術企業に対する不信度も高いようです。「ソーシャルメディアには力がありすぎる」と述べた回答者の割合は、63%でした。「ソーシャルメディアには力がありすぎる」と回答する傾向が最も高かったのは、ナイジェリア(84%)、エジプト(81%)、ケニア(79%)などの新興市場国でした。一方で、そのように回答する傾向が比較的低かったのは、ロシア(40%)、日本(47%)、およびポーランド(49%)です。最近、フェイスブックが議会で苦境に立たされているアメリカでは、「ソーシャルメディアには力がありすぎる」と回答する人が10人中6人(62%)でした。そして、この調査データは、フェイスブックの情報流用が発覚する以前に収集したものです。つまり、情報漏えい問題がメディアの脚光を浴びたいま、発覚前のこの調査結果よりも、このような考えを抱く割合は高まっていることでしょう。カナダ人においては、10人中6人(58%)が「ソーシャルメディアには、力がありすぎる」と感じています。

こういったオンラインのツールの力は折り紙つきであることから、ツールが、調査対象者の態度や行動にどれほどのインパクトが与えられているのかを聞いても、さほど驚くことではないでしょう。具体的に見ると、「ソーシャルメディアは、自身の政治的見解に影響を及ぼしている」と回答する割合は、42%にのぼっています。この割合は、検索エンジン(39%)、オンラインアプリ(35%)、またはオンライン広告(32%)を上回る数字です。「ソーシャルメディアは、自身の政治的見解に影響を与えている」と述べる傾向が最も高かったのは、インドネシア(69%)、インド(68%)、およびエジプト(63%)の住人でした。一方で、そのように答える傾向が最も低かったのは、ロシア(21%)、日本(28%)、ドイツ(28%)、ポーランド(28%)、そしてイギリス(29%)でした。さらには、「ソーシャルメディアによって、自身の生活の効率が下がっている(37%)」、「生活しにくくなっている( 29%)」、「生活がより悪くなっている(30%)」と回答した人が、世界のインターネットユーザーのかなりの割合を占めていました。

人々が、「力がありすぎる」と考えているオンラインのソースは、ソーシャルメディアだけではありません。世界の過半数(57%)の人が、「検索エンジンには力がありすぎる」と考えているほか、半数の人がオンラインアプリ(48%)やオンライン広告(49%)についても同様に感じています。特に検索エンジンは、インターネットユーザーに対する影響力が強いようです。その影響力が最も色濃く出ているのは、ユーザーが訪問するウェブサイト(64%)、読むニュース(60%)、訪問するメディアのサイト(58%)、オンラインで購入するもの(56%)、使用するアプリ(54%)、そして、その日に行く場所(43%)でした。

このインターネットに対する懸念や不信感の高まりを受けて、世界の人々の多くは自身のオンラインの行動を変え、経済と社会のトレンドが変わりつつあります。実際、世界のインターネットユーザーの10人中1人は、1年前に比べ、オンラインでの購入件数が減っており(12%)、ソーシャルメディアのアカウントを閉め(10%)、あるいは、全体的にインターネットを利用する頻度が少なくなって(7%)います。

この調査は、センター・フォー・インターナショナルガバナンス・イノベーション(CIGI: Centre for International Governance Innovation)の依頼でイプソスが2017年12月29日~2018年3月5日に実施した調査です。同調査は、25か国(オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、エジプト、フランス、ドイツ、イギリス、香港、インド、インドネシア、イタリア、日本、ケニア、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、ポーランド、ロシア、南アフリカ、韓国、スウェーデン、チュニジア、トルコ、アメリカ)にて、25,262人のインターネットユーザーを対象に実施されました。21か国ではイプソス・インターネットパネルシステム、チュニジアでは無作為番号ダイアルによるCATI、ケニア・ナイジェリア・パキスタンでは対面式聴取で調査を実施しました。 対象者の年齢は、アメリカとカナダでは18歳~64歳、その他の国では16歳~64歳です。各国約1,000人を調査し、その結果は、調査対象各国の人口に見合うように加重計算されています。本調査で使用したオンライン調査の精度は1000件の回答においては+/- 3.5%の範囲が信頼区間です。CATI、および対面式で行った調査結果についての誤差範囲は+/-3.1です。

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