インフレ率は低下しているが、人々はさらなる物価上昇を予想している

イプソス生活費モニターの第7版では、インフレ率が低下しているにもかかわらず、人々は依然としてプレッシャーを感じていることがわかりました。

キーポイント:

  • 来年は物価が上昇するとの強い懸念があります。3分の2(65%)が、今後12か月間に自国のインフレ率が上昇すると考えています。この数字は4月から7ポイント上昇しています。
  • 4年前よりも状況が悪化したと感じる人が増えています。32か国で37%がパンデミック前よりも状況が悪化していると回答しています。
  • 移民がインフレの要因であると考える人が増えています。移民がインフレの原因であると回答する人の割合は4月から4ポイント上昇し、56%となっています。
  • 富裕層とそれ以外の人々との格差は拡大しています。低・中所得層は今年初めに比べて困難に直面していると答える傾向が強まっています。
  • 全体的に、公共支出の増加よりも減税を望む人の方が多いようです。しかし、この結果には国ごとの大きな違いが隠されています。

多くの国でインフレ率は低下傾向にありますが、これは人々が安心していられることを意味するのでしょうか。

価格上昇のスピードは以前よりはるかに遅くなっていますが、ここ数年の価格上昇の累積的な影響が生活に大きな負担を与えています。

イプソスの「世界が懸念していること(What Worries the World)」調査でインフレが問題だと答える人の割合を見ると、物価が上昇するにつれて懸念も高まる傾向があります。しかし、インフレ率が低下しても、物価上昇に対する懸念はそのペースに比べてゆっくりとしか減少せず、生活費がわずかに上昇するだけでも非常に敏感に反応する状況が続いています。

2025年を見据えると、前回の調査時よりも新年にインフレ率が上昇すると考える人が増えています。

32か国平均では60%が今後1年間でインフレ率が上昇すると考えており、4月の58%から上昇しています。

この傾向は広く見られ、調査対象の32か国中21か国で、人々は今年初めよりも物価がより速いペースで上昇すると考える割合が高まっています。

価格上昇が予想されるのは?

すべてのカテゴリーにおいて、支出が増加すると予想している人の割合が増えています。

4月には67%が食料品の価格が上がるだろうと考えていましたが、現在では72%が値上がりを予想しています。

その他家庭用品、公共料金、自動車の維持費、交際費、サブスクリプションサービス、住宅ローンや家賃についても、同様の傾向が見られます。

これは、多くの国、特にヨーロッパで可処分所得が減少すると考える人の割合が増加していることに反映されています。

コストの現実とコストの認識

インフレ率は低下しているものの、政策立案者や中央銀行が期待したほど人々はそれを実感していません。

公式データによると、多くの国でインフレ率が過去3~4年で最も低くなっています。また、32か国の平均では、生活が順調または快適に過ごせていると答えた人(37%)のほうが、生活が困難であると答えた人(28%)より多くなっています。

しかし、これでは所得水準や国による違いが見えにくくなります。先進国を含む多くの国では、私たちがこの方法で意識を追跡してきた2年半のどの時点よりも、経済的に苦しんでいると訴える人が増えています。イタリア、オーストラリア、米国、日本では、経済的に困難を感じている人の数が増加しています。

これに加えて、ヨーロッパ市場では、COVID-19パンデミック以前よりも状況が悪化していると感じている人が多くいます。32市場のうち37%が、状況が悪化したと回答しています。

Ipsos CEO Ben Pageの分析はこちら

この調査について

これは、イプソスが2024年10月25日金曜日から11月8日金曜日まで、オンラインプラットフォーム「Global Advisor」とインドではプラットフォーム「IndiaBus」で、32か国を対象に実施した調査の結果です。この調査でイプソスは、インドでは18歳以上、カナダ、アイルランド共和国、マレーシア、フィリピン、南アフリカ、トルコ、米国では18~74歳、タイでは20~74歳、インドネシアとシンガポールでは21~74歳、その他すべての国では16~74歳の合計22,720人を対象に調査を実施しました。詳細な調査方法は以下のレポートに記載されています。

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