コロナ禍による健康上の懸念、運動不足と不安がトップ=世界の世論調査結果
運動不足、不安、食べ過ぎが健康に関する懸念のトップを占め、影響を受けていると回答する傾向は女性が高くなっています。 日本人は運動不足を心配している人が世界のどの調査対象国よりも多い一方で、食べ過ぎ、不安感についてはほかの国よりも少ない傾向が見られます。
最近のイプソスの調査によると、コロナウイルスの世界的流行で、調査対象の16カ国のより多くの人々が、11の健康に関する懸念項目の中で「十分な運動をしていないこと」と「不安」で苦しんでいることがわかりました。
イプソスが5月7日~10日、世界16カ国の16,000人以上を対象に実施した調査では、10カ国の約1/3が 「コロナ禍のために運動不足」 と回答しています。トップは日本で38%、次いで韓国(37%)、イタリア(33%)、中国 (31%)、メキシコ、ロシア(いずれも30%)と続きました。
2番目に多く挙げられた健康上の懸念は「不安」で、11カ国の少なくとも約4分の1の人々が、コロナ禍のために「不安」に苦しんでいると回答しています。トップはブラジルで41%、メキシコ(35%)、ロシア、南アフリカ(いずれも32%)、カナダ(29%)と続きました。
シカゴにあるノースウェスタン大学Feinberg School of Medicineの心理学部長であるStewart Shankman教授は、このパンデミックは、いつまで続くのか、誰が罹患するかなど不確実性に満ちており、不確実性は不安を引き起こす最大の要因の一つであると述べています。
「また、身体活動には、体の自然免疫系をサポートするなど、心血管系や健康に重要な利点があることもわかっています。ですから、運動不足だと、接触したウイルスと戦う力を妨げることになります。」とShankman教授は言います。
これに加えコロナ禍の結果として、「食べ過ぎ」と「不眠症」に悩んでいる人が次に多いと言われています。「食べ過ぎ」に悩まされているのはブラジルが39%でトップ、次いで南アフリカ、メキシコ(いずれも29%)、カナダ(28%)、英国(25%)が続きました。「不眠症」で悩んでいる人はメキシコ (38%) 、ブラジル(26%)、スペイン、南アフリカ(いずれも25%)の順でした。
ナッシュビルにあるバンダービルト大学医療センターの予防医学と感染症の教授であるWilliam Schaffner博士は、家に食べ物があり、隔離のために孤独で寂しさや悲しさを感じていると、間食する傾向が強くなると述べました。
「体力が落ち、太る傾向があります。」 とSchaffner教授は言います。
一方、女性は男性よりも、アルコール摂取量の増加と喫煙の増加以外のすべての項目で「影響を受けている」と回答する傾向が高いようです。34歳以下の女性では、コロナ禍の結果として「不眠症」「不安」「落ち込み」挙げる傾向がありました。
しかし全体的には、調査対象全16カ国で「コロナ禍の結果、調査で挙げた項目の影響を受けていない」と答えた人の方が多いという結果でした。ドイツ (53%) 、フランス (52%) で過半数を占め、以下、日本 (44%) 、オーストラリア (43%) 、米国 (41%) と高い割合が続いています。
Shankman教授は、これらの結果は、人々の回復力と、私たちが目にしてきた過去の多くの自然災害やトラウマに対応する姿を浮き彫りにしていると述べました。
しかし、Schaffer教授は人々に、ソーシャルディスタンスを保ちながら、できるだけ動き回るよう勧めています。「外に出て、日常生活のリズムを取り戻し、体を動かして運動を続けましょう」 と述べています。