同性婚に賛成は世界平均71%、同性婚に対する世界の意識調査:イプソスLGBT+プライドレポートより

イプソスLGBT+プライドレポートの中から「世界の同性婚の考え方」をご紹介します。

同性婚とは?

同性婚とは、同性の2人が法的に婚姻関係を結ぶことを指します。これは、従来の「異性間の結婚」に限定されていた法律や社会制度に対して、多様な性的指向や性自認を尊重する動きの中で認められるようになってきた新しい結婚の形です。世界では1990年代から2000年代にかけて、同性婚の合法化が進み、2025年現在では約30カ国以上が同性婚を認めています。

 

法律上の結婚とパートナーシップ制度の違い

同性カップルに対する法的な保護には、主に以下の2つの形があります:

 

法律上の結婚(Legal Marriage)

異性婚と同等の権利(財産共有、相続権、税制優遇、養子縁組など)がすべて認められます。また、国際的にも「結婚」として認められることが多く、ビザや移住手続きにも有利になります。アメリカ、カナダ、フランス、台湾 などが同性間の婚姻が合法となっています。

パートナーシップ制度(Civil Union / Registered Partnership)

パートナーシップ制度は、「結婚」とは別の制度であり、部分的な権利のみが付与されます。そのため、相続や医療同意は認められても、税制や養子縁組は制限されることがあります。また、「結婚」とは法的に区別され、他国での承認が難しい場合もあります。多くのLGBTQ+団体は、パートナーシップ制度では不十分とし、完全な婚姻平等(Marriage Equality)を求めています。

 

日本における同性婚の現状

現在、日本では同性婚は法的に認められていません。近年同性パートナーシップ制度を導入する自治体は増えていますが、その法的効力は限定的です。このような状況は、G7サミットなど国際会議でもたびたび指摘されています。
同性婚が法的に認められると、異性婚と同様に、相続や税制上の優遇措置、配偶者ビザの取得などの権利が得られます。日本国内でもLGBTQ+の権利に関する議論が活発化しており、憲法の平等原則に基づき、同性婚を認めないのは違憲とする判決も出ています。今後の法整備に注目が集まっています。

 

同性婚または法的承認に賛成する割合は、世界23か国平均71%

イプソスのプライド調査によると、同性婚に賛成する割合は、世界23か国で平均71%という結果になりました。
以下のグラフは、「同性のカップルの権利に関するあなたの個人的な意見に最も近いのは次のうちどれですか?」の問いに対し、「同性婚のカップルは、法的に結婚することを許されるべきである」と「同性のカップルは結婚ではない他の法的承認を得ることを許可されるべきである」と回答した割合です。最初の「法的に結婚を許されるべき」と回答した割合が多い国順に並んでいます。調査レポートの詳細はこちらからご確認ください。


同性婚に賛成する割合

国名

同性婚・法的承認に賛成

同性婚合法化

スウェーデン

86%

オランダ

85%

スペイン

86%

ドイツ

81%

ベルギー

78%

アルゼンチン

78%

アイルランド

76%

英国

77%

カナダ

75%

チリ

81%

オーストラリア

77%

フランス

78%

イタリア

77%

 

タイ

78%

メキシコ

71%

南アフリカ

67%

ブラジル

68%

米国

65%

コロンビア

65%

ハンガリー

62%

 

日本

67%

 

ポーランド

67%

 

ペルー

66%

 

韓国

52%

 

シンガポール

54%

 

トルコ

37%

 

 

同性婚・法的承認に賛同する割合の多い、スウェーデンやオランダ、スペイン、ドイツといった欧州の国々では、同性婚の合法化以前から、同性パートナーシップ制度など、同性カップルの権利を保障する制度が整備されていた歴史があります。同性婚に賛成する割合が高かった上位3か国のLGBTQ+の状況を見ていきましょう。

 

スウェーデン:北欧が誇るLGBTQ+先進国

合法化年:2009年(2009年5月1日より同性婚が完全に合法)
スウェーデンは世界で最もLGBTQ+フレンドリーな国のひとつです。性教育にもLGBTQ+の多様性を組み込み、子どもから大人まで「多様性の尊重」が根づいています。また、教会でも同性婚の挙式を認めており、宗教界の理解も進んでいます。参道の背景として、政教分離、個人の人権重視、リベラルな価値観が国全体に広がっていることが挙げられます。プライドイベントも大規模で、行政や企業も積極的に支援しています。

 

オランダ:世界初の同性婚合法国

合法化年:2001年(世界で初めて同性婚を法的に認めた国)
アムステルダムを中心にLGBTQ+文化が非常に活発で、「自由と寛容」を重視する国民性が根底にあります。教育機関でも多様な性のあり方を尊重する方針があることや政府主導で差別禁止法を整備しており、LGBTQ+の権利保護が制度として確立しています。カトリックの影響はありますが、宗教の多様性も受け入れる風土があり、LGBTQ+の理解が進んでいます。

 

スペイン:カトリック国でも同性婚を実現

合法化年:2005年(カトリック国としては異例の早さ)
マドリード・プライドは世界最大規模のLGBTQ+イベントの一つで、若年層を中心にLGBTQ+への理解が非常に高いです。賛同の背景としては、長年のカトリック支配から脱却し、社会改革を進める政治的潮流がありました。

これらの国々では、LGBTQ+の権利を擁護する団体や活動が活発に行われてきたこと、そして、政治家やメディア、国民の間で議論が重ねられてきたことが、同性婚の受容度の高さにつながっていると考えられます。

同性婚に対する考え方は、宗教、文化、個人の価値観など、様々な要因によって影響を受けます。世界的に見ると、同性婚に対する法整備や社会の受容度は国によって大きく異なり、現在も議論が続いている国や地域が多く存在します。

 

宗教や文化的背景による影響

同性婚の法制化は、宗教的・文化的価値観によって大きく左右されます。

宗教の影響

キリスト教、イスラム教、ユダヤ教などの伝統的宗教では「結婚は男女間の神聖な契約」とされることが多く、同性婚に反対する声が強いです。しかし、アイルランドやスペインなどの一部のキリスト教系国家では、宗教的背景がありながらも、世論の変化により合法化が進みました。

 

文化的な価値観

アジアや中東、アフリカの多くの国では、「家族の存続」「子孫繁栄」といった文化的価値観が重視され、同性婚に対する社会的抵抗が根強い傾向にあります。一方、北欧諸国や南米の一部では、個人の権利や自由を尊重する文化が同性婚の受け入れを後押ししています。
重要なのは、同性婚の問題は単なる法改正にとどまらず、社会全体の価値観や道徳観の変化と密接に関わっているという点です。

 

まとめ:同性婚をめぐる世界の価値観の広がり

同性婚に対する考え方は、国や地域によって大きく異なります。その背景には、宗教、文化、歴史、そして個人の価値観が深く関わっています。イプソスの調査によれば、世界では7割以上の人々が同性婚や法的承認に賛成しており、多くの国で実際に制度化が進んでいます。同性婚は単なる法律の問題ではなく、「誰もが平等に愛し、共に生きる権利を持つべきか」という社会全体の問いかけでもあります。世界の動きを知ることは、日本における議論を前進させるヒントにもなるでしょう。今後の変化に目を向けながら、私たち一人ひとりも多様なあり方を尊重する姿勢を持つことが求められています。

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