バケーション・インフレ:物価の高騰が旅行熱を冷ます

しかし今のところ、物価上昇の痛手よりも、旅に出る楽しみの方が勝っているようです。

Ipsos | Vacation Inflation | Travel Plans

この夏は旅に出る予定ですか?それはあなただけではありません。

空港や ビーチ、パティオが混雑するのは当たり前となり、ガソリンやその他諸々の価格高騰も、このところ需要の高まりに歯止めをかけてはいないようです。

微々たる泡から沸騰へ

2020年のパンデミック期の最初の夏には、ワクチン接種前の世界では旅行意向は低かったものの、旅行が回復することへの期待感は高くなっていました。

2021年の夏には、#hotvaxsummerがトレンドになり、人々は「家族と再会してハグし、レストランで食事をするというようなシンプルな活動に戻ることにワクワクしていました」と、ユーロアシスト(EA)のグループトラベル責任者のFrancine Abgrall氏は述べています

パンデミック時代の3度目の夏、多くの人が待ちに待った休暇に出かけようとしているようです。

英国を含む世界中の空港が旅行者で賑わっていることから、「抑制された休暇需要」は今まさに沸騰しているように見える、とロンドンのIpsos Knowledge CentreのChief Knowledge OfficerであるSimon Atkinsonは述べています。

ユーロアシスト(EA)とイプソスによる2022版ホリデーバロメーター(Holiday Barometer)によると、4月26日~5月16日に15カ国*の15,000人を対象にしたオンライン調査で、大多数の人が今年の旅行について「とても楽しみ」「嬉しい」と答えていることがわかりました。

価格高騰に苦しむ 

その盛り上がりに水を差すのは、なんといっても猛烈なインフレです。

調査対象者の3人に2人強(69%)が、インフレや 価格上昇が今年の旅行意欲や熱意に「とても」または「やや」影響を与えたと回答しました。一方、半数強(55%)は個人的または家庭的な理由で旅行意欲が減退したと回答し、次いで新型コロナウイルスによる影響が53%、ウクライナ情勢が46%となっています。

こうした問題にもかかわらず、ヨーロッパ人の71%、タイ人の69%、カナダ人の61%、アメリカ人の60%、オーストラリア人の52%が、この夏に旅行をする予定だと回答しています。興奮と意欲は高いものの、イプソスの調査では、15カ国の平均で見ると、休暇中の支出予算は依然としてパンデミック前のレベルを下回っています。

(インフレの)熱を感じる

旅行を控える人の第一の理由は「お金に余裕がない」です。

2022年に旅行を計画していないアメリカ人の約半数(45%)が「余裕がない」と回答し、オーストラリア人の43%、カナダ人とヨーロッパ人の41%、タイ人の34%がそれに続きました。

今年旅行に行かない理由の第2位は「節約」でした。

すでにピンチを迎えている人もいるのは明らかです。

最新のイプソスの「世界が懸念していること調査 What Worries the World」(5月27日〜6月6日に実施)では、27カ国において、インフレへの懸念が3カ月連続でトップになっています。 

一方、新型コロナウイルスの流行に対する懸念は引き続き低下しており、国家間の紛争に対する懸念はウクライナ紛争からわずか数ヶ月で既に減少していることが分かりました。

悪寒が走るかも

国家間の紛争に対する懸念は減少傾向にありますが、東ヨーロッパの状況は当面の間、航空券から食料、燃料に至るまで、物価の上昇につながるドミノ効果をもたらし続ける可能性が非常に高いのです。新型コロナウイルスの再増加は言うに及びません。

「まだ、かなり流動的な感じですね」と話すAtkinsonは、オミクロンの変異型が大きくクローズアップされた1月に、不安から夏休みの計画を一部変更したといいます。

2022年後半を目前に控え、行楽客のビーチパラソルの上には暗雲が立ち込めています。

Atkinsonは「イギリス人は不安定な状況に置かれている」と言います。英国では英国銀行が秋までにインフレ率が11%に達すると警告しているからです。

加えてAtkinsonは、「世界中の多くの国で賃金がインフレ率の上昇に遅れをとっているため、給与と物価の格差が2023年の旅行計画にどのように影響するかを知るのは時期尚早だ」と述べています。

今のところ、空港、ビーチ、パティオの混雑は、費用の上昇にもかかわらず、人々が長きにわたり計画したバケーションにまだブレーキを踏んでいないことを示しています。

もっと読む


*ユーロアシストとイプソスによる2022年版ホリデーバロメーターは、米国、カナダ、英国、イタリア、フランス、スペイン、スイス、ドイツ、オーストリア、ポルトガル、ベルギー、ポーランド、チェコ、タイ、オーストラリアの15カ国において実施され、各国において、18歳以上の消費者1,000名がオンラインアンケートに参加しました。

社会