仮想現実:煽りか、それとも未来か?
バーチャルリアリティ (VR) 技術が身近になってから、少なくとも10年ほどが経ち、SFの世界だったものから現実のものになったと言えるでしょう。しかしそれはまだ新しい技術として見られ、広く取り入れられているとは言い難い状況です。どこが間違っているのでしょうか。
仮想現実(VR)と拡張現実(AR)は、多くの人が期待していたとおりの成功を収めているとは言いがたい状況です。2016年には4.4億米ドルの利益を生むと言われていましたが、実際には1.8億米ドルにしかならず、アメリカでの導入率は6%に止まっています。スマートフォンの場合、アメリカで40%の導入率を達成するまでにわずか10年しかかかりませんでした。しかし、VR/ARに関しては、現在どういう状況にあるのでしょうか。多くのベンチャーキャピタルとテクノロジー企業が業界に巨額を投じているじょうきょうから、自信は回復していると言えるでしょう。過去12ヶ月での調達額は3.6億米ドルに上りました。
イプソスでは、より良く、より早く、より費用対効果の高い、そしてより調査対象者やクライアントとの関わりを深めることのできる魅力的なリサーチを実現するために、この技術を研究しています。消費者の実際の行動と感情と、新しいレベルのインサイトに近づくためのものです。
私たちの道のりはまだ始まったばかりですが、私たちは、研究の最初の時点からそこには画期的な機会があることを知っています。BBCでの視聴者利用状況理解から、ヘルスケア(VR手術)、エスノグラフィー・イマージョン、空港でのジャーニー調査、自動車プロトタイプテスト、FMCGトップブランドでの行動科学の原則を統合した潜在意識下の消費者行動の検証まで、数多くの機会があります。
要点
- 私たちの道のりはまだ始まったばかり。技術の進歩につれ、ソフトウェア/コンピュータ生成画像(CGI)のコスト効率が上がり品質もよくなるため、さらなる経費削減が期待される
- AI、IoT、3Dモデリングなど、他の技術開発の基盤を提供している
- ショッパーイマージョン、放送用VRコンテンツテストなど、調査業界には既に多くの機会が存在している
- 多感覚テストはVRとARの不可欠な部分であり、究極の消費者理解に近づくというリサーチャーの目標である